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バティ、スーケル、そして“ヤマゴール”

2006/04/17(月)

東京発(4月14日):日本の有力なフォワード達がスタイルを真似すべきゴールゲッターを探すとしたら、それは彼らが想像しているよりもずっと身近にいるだろう。
そう、そのゴールゲッターは日本でプレーしている。しかも、そのゴールゲッターは日本人なのだ!

私のこの意見に、皆さんは驚かれるかもしれない。その選手がジーコ監督のもとで、日本代表として頻繁にプレーしていたと聞けば更に驚くことだろう。
まだ、分かりませんか?
それは、山田暢久をおいて他にない。浦和レッズの万能DFの彼は、水曜夜に駒場で行なわれたナビスコカップ、アビスパ福岡戦でその卓越した得点能力を再び見せ付けてくれた。
アビスパの右サイドのMF平島からボールを奪うと左へ切り込みGK神山の守るゴールへボールを叩き込んだのだ。クール!
GKまで凍らせてしまう山田。“アイスマン”と呼ばれるべきだ。
しかし、ここ最近で彼の見事なゴールを見たのはこれが最初ではない。その前にも、叩き込むのではなく、デリケートなタッチで、まるで撫でるかのように見事なゴールを決めている。

私は山田のゴールでUEFAのテクニカルディレクター、アンディ・ロクスバーグ氏との会話を思い出した。彼は1998年フランスワールドカップ時のスコットランド代表監督だ(日本代表監督就任直前のフィリップ・トルシエ氏が、アフリカのサッカーについて素晴らしいスピーチをしたそのセミナーでの出来事である)。
日本はアルゼンチン、クロアチアに0−1で敗戦。さらにジャマイカにも1−2で敗れ、1次リーグで敗退していた。ロクスバーグ氏は、アルゼンチンにバティストゥータ、クロアチアにスーケルがいるという事実は別として、これらのチームとは少し違いがあると語った(実際にはこれは非常に大きな違いだ)。

「世界のトップストライカーを見ると良いよ」。ロクスバーグ氏は言った。
「ゴールを挙げるチャンスを得た時に、いかに彼らがリラックスしているかを見るんだ」。「日本のFWを見てみるとね、彼らは急ぎすぎているんだ。チャンスが来るとパニックに陥りチャンスを逃してしまっている」。

もう8年も前の事になるが、そんな内容の会話だった。
水曜日の夜にロクスバーグ氏が駒場にいて、山田の美しいゴールを見ていたなら、彼はきっとこう思っただろう。
『ワォ!日本のストライカーも1998年に比べて随分と良くなったものだ』

水曜は黒部と並んでトップでプレーした山田だが、ご存知のとおり、彼は決してストライカーではない。
4−4−2では右サイドバック、3−5−2では右ウィングバック、そしてトップ下と、山田はこれらのポジションを全てこなしてきた。しかし彼がFWとしてプレーするのを見たのは今回が初めてだった。
この夜、山田はGKとの1対1であっさりゴールを決めた。バティストゥータやスーケルがそうしたように…。
そう、最高のゴールだった。
かつてバティストゥータのゴールが“バティゴール!”と呼ばれたように、レッズの新たなスコアリングセンセーションを“ヤマゴール!”と呼ぼうじゃはないか!

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