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巻のチャンスはどれくらい?

2006/04/06(木)

ワールドカップが近づけば近づくほど、私には、巻誠一郎がドイツに行くのではないかと思えてならない。
ただし、「弾丸ツアー」の1ファンとしてではない。
23名の日本代表の1人として、ドイツに行くという意味だ。FIFA(国際サッカー連盟)指定の最終登録期限が5月15日という早めの時期に設定されており、代表メンバーはそれ以前にジーコにより選出される。

さて、データを見てみよう。
第一:巻は体調に問題がない。完璧な状態といって良いほどだ。つまり、全く故障を抱えておらず、毎週のゲームに出場しているのである。
第二:試合への対応が万全だ。ピッチでは動きが切れているし、ゲーム勘も冴えている。
第三:毎週90分間プレーしている。
第四:ゴールを挙げている。今シーズンは、Jリーグの6試合で3ゴールを記録している。

通常は、上記のような要素が揃っていてもさほど特別なことではない。
しかし、日本代表のFWは普通の状況にはないのだ。巻のライバルで、上記の要素すべてにチェックマークが入る選手は何人いるだろう。
柳沢は負傷。久保は復調の途中でいつ壊れるかわからない状態。高原はハンブルガーSV(ドイツ)の控えメンバー。(鈴木)隆行はベオグラードの霧の彼方。マジョルカにいる(大久保)嘉人はジーコのレーダーの射程外。玉田は昔の姿を取り戻そうと苦闘中。大黒はフランスの草サッカーのようなレベルでプレーしている。

他に、誰かいたかな?
ああ、そうだ、佐藤寿人がいた。エクアドル戦のゴールは鮮やかだったし、ゴールに負けず劣らず見事なクロスを供給したアレックスも、2年間の沈黙の後、ようやく再点火の兆しが見え始めた感じだった。
日本代表“C”チームで彼の相棒である巻を除けば、佐藤はすべての要素にチェックマークが入る唯一の選手である。

土曜日、私は巻が出場した等々力でのフロンターレ対ジェフ戦を観た。
展開が速く当たりの激しい試合で、午後の間ずっとタックルが飛び交っていたが、レフェリーの穴沢努氏の試合コントロールは素晴らしかった。このレフェリーは、見え透いたダイブ(たとえば、ジュニーニョのやったようなもの)と純粋な転倒の違い、そして正当なショルダー・チャージ(伊藤が巻にやったようなもの)とプッシングの違いをわかっており、ゲームの進行をできるだけ妨げないようにしていた。
フロンターレのスリーバックは箕輪、寺田、伊藤の身長がいずれも180センチ以上――佐藤羽生が勇人の肩の上に立ったときと同じ高さ――あり、「バスケット・スリー」と呼んでも良いほどだが、このトリオがあまりうまく活用されていない。
しかし、巻は試合中ずっと疲弊した状態で、ストッキングをずり下ろしながら走り回り、チームの2−2の引き分けに貢献した。
試合後、ジェフのオシム監督に話を聞くと、「どんなチームにも、それが日本代表であっても、巻のような選手が不可欠だ」と語った。
オシム監督によれば、代表チームでの巻は、たとえばハーフタイムか残り30分くらいのところで途中出場させ、疲れの見える相手DFをかき回す役割を与えると最も効力を発揮するそうだ。

「3年間まったく故障なし。奇跡だ!」。
「とても勇気があり…タックルもできる…テクニックはそれほどすごくはないが、チームに対する思いは、とてもとても強い」。
これが、巻に対するオシムの総評。
私は、前述したさまざまな要素を考慮して、巻にチャンスが来るのではないかと考えるようになっている。
しかし、ジーコはどう考えているのだろう?

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