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高校サッカーの悪しき兆候

2006/01/12(木)

月曜日(9日)に国立競技場で行なわれた高校サッカー選手権の決勝は、全体的にはとても楽しいイベントだった。
知的で創造的な攻撃サッカーが見られたし、競技場の雰囲気と熱気がさらに花を添えていた。
しかし準決勝と決勝には、若干の憂慮すべきことがあった。

まず、このレベルのこれまでの試合よりはるかに多くのダイビングが見られた。私が日本で高校サッカーを初めて見たのは1998年のことだが、FKやPK目当ての小賢しいプレーをしない選手たちの姿がとても印象的だった。正直にプレーしている選手たちが新鮮に見えたものだ。
トップ・レフェリーのレスリー・モットラムも当時、私と同じように感じており、選手たちがダイブをするようになるのはプロになってからだと話していた。現在のサッカーには、多額の金銭が絡んでいるのである。

本年の高校サッカー選手権。大会が佳境にさしかかると、ダイブという点に関しては高校生もJリーグの選手もほとんど違いがないようだった。
ドリブルしていた選手が、激しくもフェアなタックルでボールを奪われると、つんのめって空中で体をひねったり回転させたりするのだ。幸いなことに、レフェリーも注意深く対処し、ゲームをそのまま流していた。すると、件(くだん)の選手は自分で立ち上がるのである。

また、タックルを受けたあとに倒れたままでいる選手があまりにも多いとも感じた。彼らはさっと立ち上がってゲームに戻るのではなく、サポーターの声援が起こるのを待ち、それからふらふらと立ち上がる。

以前にも書いたが、イングランドではフットボールは男のゲームとみなされている――つまり、男は痛そうな素振りをしない。それは相手に弱みを見せることになるからである。言い換えれば、いつまでも文句を言い、 ケガをしたふりをしているのを見ると、相手ディフェンダーは「敵のフォワードは軟弱なやつだ」と考えるのだ。
フォワードがタックルをものともせず平然としていると、ディフェンダーは厄介な相手だと感じる。

将来的には、高校サッカーのレフェリーには特別な配慮を持って試合に臨んで欲しい。
現在のサッカーには姑息なプレーがあまりにも多いが、若い年代の試合から、そのようなプレーを罰するようにしなければならない。
コーチもサッカーの精神を守る義務を負っている。FKをもらおうとするような行動は慎むよう、選手たちを教育すべきである。それはベンチから見ていて分かるはずだし、適切なタイミングで自分の選手を物静かに叱るのは当然の行為。
今後、若者たちには芝居がかった振る舞いではなく、サッカーだけに集中してもらいたい。みんな最初はとても立派なのだが、悪いことほど上達が速いのである。

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