勝利と優勝をもたらしたストライカー
友人に完璧なクリスマス・プレゼントを贈りたいとお考えの方には、「A Miscellany of Football(サッカー雑文集)」がおすすめだ。
これは、Past Times of Oxford発行の小型の本で、表紙に書かれているとおり「サッカーファンが喜ぶ、気の利いたセリフ、ためになる話、名言」が満載である。
名言のなかには、アストン・アストン・ビラとダービーカウンティで監督を務めたジョン・グレゴリーの言葉も入っている。
「ストライカーは勝利をもたらすが、ディフェンダーは優勝をもたらす」というのがそれだ。
ただし、これはガンバ大阪にはあてはまらない!
ガンバの場合、まったく正反対。リーグ戦34試合で58ゴールも許したのに、幸運にも84ものゴールを挙げ、その結果、勝利が次々と転がり込んできたのだ。
だからガンバでは、ストライカーが勝利をもたらし、さらに優勝をももたらしたのである。
12月20日のJリーグ・アウォーズの夜、アラウージョがJリーグMVPに選ばれると私が考える理由も、そこにある。33試合で33ゴールという記録は文句なし。土曜日の等々力での2ゴールは、見ているだけで楽しくなるものだった。
最初のゴールは、フェルナンジーニョとのワン・ツーのあと、左足でボールをカーブさせ鮮やかにファーポストの内側に決めたもので、キーパーにはどうすることもできないシュート。また、2点目のゴールは、生粋のストライカーらしく、どんぴしゃりの時間に、どんぴしゃりの場所に完璧なタイミングで走りこみ、至近距離から決めたものだった。
マン・オブ・ザ・マッチやシーズンMVPを選ぶとき、私は、決勝ゴールや複数のゴールを挙げた選手を避けがちだ。それでは安易すぎる。それよりも私は、もっと堅実で、あらゆる局面でチームに貢献した選手、派手でなくともチームに不可欠な働きをした選手を好むのである。
おかしな選考基準だと思われるかもしれないが、たとえば、レアル・マドリードなら、ベッカムでも、ジダンでも、ラウールでも、ロビーニョでもなく、やっぱりエルゲラ! 彼は私好みの選手で、いつも素晴らしい仕事をしている(アルゼンチンのハビエル・サネッティも同じようなタイプの選手)。
しかし、2005年のJリーグではアラウージョ以上に賞にふさわしい選手は考えられないし、来シーズン、彼がガンバでプレーしないのはとても残念だ。
エスパルスからアラウージョを獲得するという決断をした人物は、それが誰であれ、大いに賞賛されてしかるべきだ。アラウージョがいなくてもガンバが優勝したとは、とても思えない。
それとは別に、ガンバがあんなにたくさんのゴールを許した理由を探すのも難しいことではない。寺田がヘディングで決めたフロンターレの1点目を見れば明らかだ。ガンバのディフェンスはコーナーキックの時、すでにフリーでヘディングするチャンスを寺田に与えていた。その時は、ボールはバーの上を越えたが、その後すぐにまたフリーになるチャンスを与えてしまい、今度は寺田がチャンスをものにしたのである。
ディフェンスのミスはあったが、ガンバは立派なチャンピオン。34試合を終えた後の順位表はうそをつかないのだ。
アラウージョには、さらにたくさんのトロフィーが与えられるだろう。得点王と、そして、おそらくMVPのトロフィーが…。
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