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降格は世界の終わりではない

2005/11/24(木)

いつかはそうなる運命だったのだろう。
ヴィッセル神戸のJ2降格が決まった。
実際のところ、ここ数シーズンずっとその恐れがあったわけだが、ヴィッセルはひたすら頑張って今年まで持ちこたえてきた。しかしついに、J1の地位を失ってしまったのである。
もちろん神戸のファンにはつらい日々だろうが、降格は世界の終わりではない。

1970年代にマンチェスター・ユナイテッド(マンU)がイングランドのトップリーグから降格したことを記憶している。マンUはそれから力をつけてトップリーグに戻り、以降、どんどん強くなった。
とはいえ、ヴィッセルにとって皮肉なのは、三木谷浩史氏が資金を提供するようになって2シーズン目に降格が決まったことである。
次々と投資がなされれば、ヴィッセルは後に誕生した「楽天ゴールデン・イーグルズ」と共に強くなってゆくのではないかと期待されていた。

しかし、結果はその反対。イルハン・マンスズは広告塔としては立派だったが、選手としては調子が上がらず、高価な無駄遣いとなった。短期間の日本滞在で彼がとてもリッチになったことは間違いない。
パトリック・エムボマも体調が不十分。彼を獲得したこと自体が不思議でもあった。ヴィッセルは明らかに「ネーム・バリュー」あるいはスター性を求め、三木谷社長がオーナーとなった最初のシーズンで2度も手痛い仕打ちに遭った。
それよりずっと良かったのは、三浦淳宏の獲得だろう。三浦淳は三浦知良に代わって今季途中からキャプテンを務めたが、短い蜜月の期間はあったものの、彼のリーダーシップもチームを救うことはできなかった。
フェアに評価すれば、ヴィッセルもシーズン半ばに効果的な選手獲得をいくつかしていた。たとえば、マリノスから遠藤、アントラーズから金古を獲得したし、チームにとって今季3人目の指揮官となったパベル・ジェハーク監督も、チェコの選手たちを呼び寄せた。

ヴィッセルがJ1残留に失敗したという事実は、Jリーグがどれほど質的に向上したかを示している。最近では層がかなり厚くなり、降格ゾーンから逃れ、残留を確実にするには、大分のように安定した成績を残さけなればならないのだ。
2つか3つ勝って、またスランプに陥るというのは、スランプの間に下位チームが調子を取り戻して上位に立ってしまうので上手くいかない。
最初に言ったように、神戸にとってはつらい日々になるだろう。とくに三木谷社長は、純粋に市の誇りになるようなチームを作ろうとしていたので、なおさらだ。

日曜日、降格が決まったあとの三木谷社長のコメントは心強いもので、ヴィッセルは1シーズンでJ1に復帰し、今後もトップクラスのチームを作るという目標に変わりはないと語っていた。
来シーズン、ヴィッセルは44試合を戦うことになる。これで忍耐強くチーム作りができるし、再建のチャンスにもなる。
問題の多い船出だったが、三木谷社長がサッカー、そしてヴィッセルから離れて行かず、またファンも同じように行動するよう期待しよう。

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