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マカオで光る伊野波

2005/11/03(木)

ここマカオで、土曜日の午後に東アジア大会の日本とチャイニーズ・タイペイの試合を観戦しているなんて、妙な気分である(チャイニーズ・タイペイとは台湾のことだが、中国を刺激しないためという政治的な理由でスポーツ団体ではこのような名称を使っている)。
なんにしろ、マカオ理工科大学の運動場のメインスタンドに足を踏み入れると、いつものように青いシャツを着た熱心なサポーターたちがいて、そのうちの1人が太鼓を叩き、もう1人が歌の指揮をしていた。
驚いたことに、彼らはチャイニーズ・タイペイから来たサポーター。“Taiwan”の文字がプリントされた青のスカーフを振り、おそろいの青のTシャツの背中には“Soul? Just”というスローガンが入っていた。
日本で見る多くのスローガンと同じように、私には全く意味がわからなかったが、このような文化的衝突はいつも楽しいものだ。

日本はとても良いプレーを見せ、後半に4点を決めて6−1で勝った。
とはいえ、チャイニーズ・タイペイは強い相手ではなく、とくにバックが弱点。大柄のセンターフォワード小松が優位さを生かし、2ゴールを挙げた。187センチのこの選手は関西学院大学でプレーしており、第2の平山といったところ。
また、オランダで行なわれたワールドユースでキャプテンを務めた兵藤(ただし、今回のチームでは徳永がリーダーとなっている)が、長い距離からドライブがかかった見事なシュートを決めた。彼にはどうやらファンクラブもあるようだ。

試合後、私はフェンス越しに桜の花が付いたプラスチック製の枝を振り、選手たちの注目を引いていた数人の日本人に取材を試みた。
彼らが持っていた横断幕の1つには、“Hyodo – Pride of WMW”と書かれている。“WMW”は、Waseda(早稲田)Maroon(えび茶)White(白)の略で、かなりしゃれているが、正直言うと、私には20歳の学生の選手にこんなに熱心なサポートがいることが驚きだった。

日本のチームでは、セントラルミッドフィルダーの伊野波(宮崎出身・阪南大)が本当に気に入った。
伊野波のプレーを見て、私は、伊藤卓がキャプテンを務め、中田英寿もいた1994年インドネシアのユース日本代表で熊谷(浩二)を初めて見たときのことを思い出した。ディフェンスの少し前にいた伊野波は、中盤のスィーパーのようにルーズボールを処理し、タックルやパスのようなシンプルなプレーを正確にこなしていた。
基本的なことを言っているように思われるかもしれないが、正確なパス、安全なパスを仲間に送りつづけることは、ことあるごとに華々しいスルーパスを狙うのと違ってかなりの自制心と成熟度が必要とされるのである。

今夜(水曜日)、日本はメインのマカオスタジアムで韓国とあたるが、すでに準決勝進出は決まっている。
マカオでの日韓戦。そのあとはポルトガル料理のレストランでディナーと赤ワイン。それからたぶん、新しくできたオシャレなカジノにくり出し、ヴィッセル神戸を買えるくらい大勝ちするかもしれない(笑)。
そう、サッカーライターは大変なのだ――でも、誰かがこの仕事をやらないとね!

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