オリンピックでの女子サッカーの参加国を10ヶ国から12ヶ国へと増やす。国際オリンピック委員会(IOC)のこの決定に、国際サッカー連盟(FIFA)は当然のごとく歓声を上げた。
これは女子競技の価値を正等に評価したもので、人気が上がっていることの表れでもある。
例えば昨年、男子サッカーと同じように感動的でドラマチックだった2つのスポーツシーンがある。
1つ目はアテネオリンピック予選、国立競技場で行なわれた北朝鮮戦の快勝。そしてもう1つは、アテネオリンピックで強豪スウェーデンに劇的な勝利を収めたこと(1−0)だ。
いや、正確に言うと、試合はアテネではなくギリシャ北部の都市で行なわれたんだけれどね。
16個もの金メダルを取った日本だが、この試合はオリンピックのハイライトとして記憶に残るものだ。奪った得点はわずか1点だったが、あと2点は取れていた(澤穂希はあまりにもアンラッキーだった)。決意と魂のこもったプレーを見せ、試合終了のホイッスルがなった時には、日本サッカー協会の川淵三郎キャプテンに感激の涙を流させた。
その後は連敗したが、女子代表は国民に誇りをもたらし、Lリーグに新たな息吹を生む環境を作り上げ得たのだ。
女子の試合は、男性から批判を受けることが多い。これは私も長年同じように感じていた。パワフルでない、展開が遅い、テクニックにばかり注目が集まる、などである。
しかし、女子サッカーはフェアプレー精神にあふれており、ダイビングや、怪我を装った時間稼ぎはほとんど見られない。例えばスウェーデン戦。日本は試合終了間際にさまざまな作戦をとることもできた。しかし彼女達はオープンに、そして笑みさえ浮かべながらプレーし続けた。それは近代サッカーに見る爽やかな変化であったと言える。
10チームというのは良くない。12チームでも完璧とは言えない。ただし、北京ではおそらく4チームずつ3グループに分かれてリーグ戦を戦い、8チームが準々決勝に駒を進めることになるだろう。すなわち、各組の上位2チームと3位のうち上位2チームが進出する。
個人的には、この方式には大きな不満がある。8チームが準々決勝に進むのなら、10チームや12チームでなく16チームが望ましい。
しかしFIFAは現状を踏まえて動かなければならない。そう、北京では12チーム(に増える)ということなのだ。
今回の、参加チーム数増加の決定は、至極当然のことだと思う。そして、女子サッカーは世界中のサポートを受けて然るべき競技なのだ。