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苦境に光る、三浦淳宏

2005/09/01(木)

3試合で勝点7。なかには浦和レッズと引き分けた試合もある。
まるで優勝争いをしているチームのような成績。
でも、そうじゃないんだなぁ。これは優勝争いとは正反対の位置にいる、ヴィッセル神戸の成績なのだ。

8月20日のJ1再開以来、ヴィッセルはホームで名古屋グランパスエイトを破り、浦和でレッズと引き分け、その後ホームで大分に勝利した。
勝点19で順位はまだ最下位であるものの、17位の大分と勝点で並び、低迷している他のチームも視界に入ってきた。
この復活の触媒となっているのが、新キャプテンの三浦淳宏である。

先日の夜、駒場スタジアムでの彼のフリーキックをご覧になっただろうか?
ゴールまでおよそ35メートルの地点からの絶品のフリーキックで、全力で蹴り、しかもカーブがかかっているというデビッド・ベッカム並みの右足フリーキックだった。その後もアツの活躍は続き、土曜日にトリニータに勝利した試合でも、レッズ戦ほどスペクタクルなものではなかったがゴールを決めている。
明らかに、アツはキャプテンとして、それからウイングではなく攻撃的ミッドフィルダーとして、自身の役割を楽しんでいるようである。
右利きの左バックだったアツだが、ヴェルディではスランプに陥り、相馬崇人(ここ数試合は体調不良で欠場中)にポジションを奪われてしまった。
アツに必要だったのは新たにチャンレンジする機会で、神戸にはそれがあった。
シーズン当初とは構成ががらりと変わってしまったチームで、アツはピッチの内外でリーダーとなっている。また、ピッチ上での顔ぶれも変わり、バックには金古とマルティン、中盤には遠藤彰弘、前線にはイヴォが入るようになった。

一連の補強は、1シーズンに松永とエメルソン・レオンという2人の監督を唐突に解任したクラブをJ1に残留させるために、オーナーの三木谷浩史が打った最後の策のように思える。
ヴィッセルの3人目の監督、パベル・ジェハークに、これまでの一連の解任劇は気になるかと尋ねたときの、彼の回答が見事だった。
「私で最後になればいいね」。パベルはそう答えたのである。

今シーズンの勝点の目標については、他のチームの状況がほとんど予測不可能だから特に定めていないと語った。そのかわり一戦一戦に集中し、近い順位にいるチームに追いついてゆくつもりなのだろう。
この計画は功を奏しており、アツは中盤でチームを鼓舞する役割を果たしている。
ポジションが変わったせいで、アレックスのバックアップとしてワールドカップに出場するチャンスが減るかどうかは、議論の分かれるところである。ジーコは一度信頼を寄せた選手はあまり変えたがらない。
もっとも、そんなことは今のアツにとってはどうでもいいことなのかもしれない。ヴィッセルが彼を雇った目的、そして彼がすべき仕事は、チームをJ1に残留させることだからだ。
今のところ状況は好転しつつあり、パベルが依然として今季3人目の監督として指揮を執っている。

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