名匠ロブソン・ポンテ
これまで何度となく見た光景ではないだろうか?
浦和レッズの“ナンバー10”がゴールを挙げ、チームが勝利を収める。
いや、もちろんエメルソンのことではない。彼はもういないのだから。
私が言っているのは、エメルソンに代わってやって来たロブソン・ポンテである。
ここでハッキリさせておかなければならない。ポンテは横浜F・マリノスに移籍した山瀬の穴を埋めるために移籍してきたのであって、エメルソンから受け継いだのは背番号だけ。ポジションも違う。
事実、数週間前の日曜日、私がレッズの大原グランドへエメルソンを探しに行った時にはすでにポンテは来日しており、レバークーゼン(ドイツ・ブンデスリーガ)からの移籍が決定する直前だった。
エメルソンの代わりのストライカーとして獲得したのはトミスラフ・マリッチだが、レッズのゴールゲッターでありヒーローだった“エメ”が中近東の金持ちクラブへ移った衝撃をポンテが和らげてくれた。
エメルソンもポンテも、大して変わらないのではないだろうか。
エメルソンは瞬発力と爆発力で相手のディフェンスをこじ開ける、いわば正面の窓をぶち破るタイプ。ポンテはより繊細で創造的。ポンテはまるで腕利きの錠前師のように慎重に鍵をこじ開け、裏口から侵入する。
ポンテは移籍以来6試合に出場し、すでに4ゴールを挙げている。これはMFとしてはこの上ない数字。だからこそレッズはまだ優勝争いに残っているのだ。
24試合を終え、ガンバ(勝点47)とアントラーズ(勝点46)の上位2チームが優位に立っているが、レッズも勝点40で3位につけており、まだそれほど離されていない。
レッズの希望は、土曜日に吹田市で行なわれるガンバ対アントラーズ戦が引き分けに終わり、ホームで行なわれる対横浜F・マリノス戦で勝点3を得ること。ただ、勝点32の10位でタイトル争いから脱落したとはいえ、マリノスはさいたまスタジアムの大観衆の前で、プライドを賭けてレッズに立ち向かってくるだろう。
シーズン終了まで残り10試合。すなわちまだ勝点30がかかっている。上位下位を問わず、全てのチームが戦い続ける。
この記事へのコメントは終了しました。
コメント