オシムも期待する、阿部のW杯代表入り
日曜夜の日立柏サッカー場、阿部勇樹が中盤で見せたプレーは、今シーズン私が見たなかで屈指のものだった。
ジェフのキャプテンを務める阿部は、あらゆる場所に出没した。
薩川に強烈なタックルをお見舞いしたかと思えば、その直後に前線に繰り出し、攻撃に加わっているのである。
ディフェンスで素晴らしいプレーをするストヤノフ、中盤を統率する阿部、いつも掴みどころがなくクレバーな羽生。彼らを揃えたジェフが長い時間ゲームを支配し、2−1よりもっと楽なスコアで勝ってもおかしくなかった。
試合後、私は「オシム・ショー」に出席し、いつも魅力的で、楽しい、この監督の発言を待っていた。
これまで、オシムは自分のチームの選手については控えめな論評を下す傾向があり、常に地に足をつけた堅実さ、石橋を叩いても渡らないような慎重さを好んでいた。
だから、阿部のプレーは素晴らしかった、と話を向けたとき、私はオシムに一蹴されるのを楽しみにしていたのだ!
しかし、そうはならなかった。彼は微笑みを浮かべ、次のように話した。
「阿部にはいつも満足しているよ」。
そしてさらに、もう少し努力すれば、阿部は代表チームの一員として来年ドイツに行ける、とも言ったのである。
「どんな努力ですか?」私は質問した。
「あらゆる努力だ。ランニング、タックル、シュート、あらゆる面で向上しなければならない」。
オシムによれば、ディフェンス面における阿部の力量はすでになかなかのレベルに達しており、とりわけタックル、フィジカルでの強さ、プレーの読み、ヘディングは素晴らしいが、攻撃面での成長が必要だそうだ。
「彼は、もっと危険な選手にならなければならない」とオシムは言う。
「中盤から良いタイミングで上がって行けるし、どちらの足でも20メートルあるいは25メートルのシュートが打てる。しかし、もっと努力しなければならない。今後3ヶ月で、あらゆることを10パーセント向上させなければならない」。
オシムは、小野や稲本、中田浩二、福西、遠藤、今野らが名を連ねる守備的ミッドフィールダーのポジションは競争が熾烈だということを十分理解している。しかしそれでも総合力を上げれば阿部にもチャンスはあると感じているのである。
経験豊富な監督からこのような心強い言葉を与えられた阿部は、今後数週間で何をすべきかをよく心得ているはずだ。
それに、チャンスがあるとオシムが言ったのなら、本当にチャンスはあるのである。
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