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大宮公園サッカー場のイングランド的雰囲気

2005/05/05(木)

2002年のワールドカップを契機として、日本のあちこちに壮大な建造物がいくつも存在するようになった。
しかし正直に言うと、私はより小さな、よりコンパクトなスタジアムでのサッカー観戦が好きだ。
大宮アルディージャがJ1に昇格してくれたおかげで、飽和状態の関東エリアでも中立の観戦者に新たな選択肢が与えられるようになった。

ここ数週間、私は大宮公園サッカー場に2度足を運び、Jリーグの試合を観戦した。いずれも素晴らしい雰囲気だった。
特にヴェルディ戦では、ビジターチームのファンがゴール裏を濃い緑色に染め上げていたが、それを取り囲むように、スタンドの他の場所は明るいオレンジ色が支配していた。
スタジアムには陸上トラックも、遮蔽物(しゃへいぶつ)もなく、ピッチと観客席の距離がとても近い。
大分戦のように5,000人のファンしか入らなかった試合でも、やっぱり独特の雰囲気があった。大宮が時おりホーム戦を行なう埼玉スタジアム2002では、たとえ観客数が2倍になってもスタジアムの巨大さゆえにこのような雰囲気は醸し出されないだろう。

大宮公園サッカー場は、在りし日のイングランドのノンリーグ、つまり4つのプロリーグに所属していないクラブのグラウンドを思い起こさせる。
イングランドのFAカップのとりわけ1回戦では、下位のプロリーグのチームが地域リーグのクラブとアウェーで戦うことがあった。
こういう時、FAカップの「ロマンス」が生まれ、地域リーグの、パートタイムの選手ばかりのクラブがアウェーのプロチームを破るという番狂わせがよく起った。肉屋や教師、パン屋、配達員の選手たち…決勝ゴールを決め、プロリーグのチームをFAカップから敗退させると、全員がニュースの主役となるのである。

さまざまな街にある、さまざまなスタジアム…やがて屋根裏部屋に積み重ねられる運命にある、試合の日の記念プログラム…ひょっとしたら、ピッチには勾配があるかもしれない…それから、ハーフタイムに食べる、選手たちのワイフが作り、売っていた温かいミートパイ。
休みの日はいつもこんな感じだった。大宮のような素朴な雰囲気のスタジアムを訪れると、このような思い出で胸の中がいっぱいになる。
収容能力は小さいけれど、大宮公園サッカー場にはいつまでもJリーグのホームスタジアムであって欲しい。大宮公園サッカー場は、ファンが間近にプレーを見ることのできる、真の意味でのサッカー・スタジアムだからだ。

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