FIFAの“観客なし”の裁定は行き過ぎ
6月8日に行なわれるワールドカップ(W杯)アジア最終予選、北朝鮮戦の開催地が平壌(ピョンヤン)から第三国に変更されるというチューリッヒからのニュースに、協会関係者、選手、そしてファンは一様に喜んだことだろう。
前回のイラン戦での北朝鮮のファン、そして選手たちの酷い行ないを考えれば、FIFA(国際サッカー連盟)の決断は勇気ある正しいものだった。
新たな開催地はまだ発表されていないが、日本サッカー協会の川淵三郎会長が提案するクアラルンプールと、それたからシンガポール。候補地は2ヶ所あるが、いまだ決定には至っていない。
平壌への輸送や管理の面倒から解放され、日本にとっては肩の荷が下りたといったところだ。
しかしFIFAはなぜ、試合を観客なしで行なうことまで命じたのだろう?
この決定は行き過ぎだ。2万スイスフラン(約180万円)の罰金を課された北朝鮮に、さらに経済的制裁を加えるようなものだと思う。
仮に、試合がシンガポールで開催されるとしよう。
東南アジアには何千という日本人が住んでいる。彼らが試合に押し寄せてくるだろうし、さらには香港など東アジア、そしてもちろん日本からも大勢の日本人がやってくるだろう。
シンガポール人も世界のサッカーファン同様、自国のサッカーが好きで、1966年W杯での北朝鮮の快挙を今も忘れていない。
すなわち、2万人近い日本人、プラス1万人もの現地の人々が集まり、中立国での開催でも素晴らしい環境が整うわけだ。
日本にとってはホームゲームのようなもので、おそらくFIFAは、この状況は避けたいのだろう。
開催地を平壌から変更すること自体、政治的に微妙な現在では日本贔屓(びいき)ととられる。そのうえ、日本の第二の“ホーム”ゲームの状態にすることは度が過ぎるとみられるかもしれない。
個人的には、中立国で、観客を呼んで開催するのが良いと思っている。そうすれば、北朝鮮サッカー協会にも入場料収入が入るのだ。
北朝鮮は金曜の発表から3日の間に上訴することができ、また、その後7日間で彼らの言い分を主張できる。
北朝鮮には“観客なし”の決定について異議を申し立ててほしいし、要請があれば、日本にもそれをサポートしてもらいたい。できればシンガポールで、観客を入れて開催することをFIFAが認めてくれると良いのだが…。
しかし、それで万事めでたし、とはいかない!
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