ジーコと日本代表が逸したもの
(日本代表の)プラスの面に目を向けてみよう。日本は2006年ワールドカップ(W杯)アジア最終予選にパーフェクトレコードで進出した。
6戦全勝、そして許したゴールは3月31日にアウェーで行なわれたシンガポール戦(2−1で勝利)でのわずか1点だけである。
次はマイナス面。水曜夜に行なわれたホームでのシンガポール戦で、ジーコ監督がなぜ代表メンバーの選択肢を広げようとしなかったのか、私には理解できない。
玉田のゴールで1−0の勝利を勝ち取ったとはいえ、ジーコは来年はじまる最終予選のための新たな選手を見る良い機会を逸したのではないだろうか。
ジーコの選択は、ヨーロッパ組の選手たちの陰でベンチに座っていた忠実なプレーヤーに対するご褒美のようだった。
ただしディフェンダーは、三浦淳宏と松田直樹の2人がプレーしているし、必ずしもそうではないらしい。これについてはまた別問題である。
さらに、だ。ジーコはなぜ、選手たちが好み、チームもうまく機能する3−5−2から4−4−2のフォーメーションに戻したのだろうか。
数週間前のコラムで私は楢崎、茂庭、宮本、中澤、石川、今野、中田(浩)、村井、小笠原、鈴木、そして大久保というメンバーをシンガポール戦の代表候補として書いた。
思うに、このラインナップならチームのバックボーンを保ち、これまでのチーム方針を妨げることもない。また一方で、調子の良いJリーグの選手たちにW杯という経験を積ませることもできる。
仮にジーコが、このメンバーではあまりにも変更が多すぎる、また、これでは松田、三浦、藤田そして本山といった控え選手たちとの信頼関係が損なわれると考えたのだとしたら…。ただ単に、新メンバーに「代表とはどういうものなのか」を理解させるために、また来年の代表招集が困難にならないようにするためだけにでも、招集してみてもよかったのではないだろうか。
グループ3ではすでに最終予選進出チームが決定しており、ジーコにはプレッシャーも何もなかった。彼の選手選出のポリシーが、私にはまったく理解できない。大久保は再び代表でプレーするチャンスを得た。しかしまたしてもゴールはならなかった。
それにしても、ジーコはなぜ大久保を先発させなかったのだろう?途中交代では、限られた時間内で初ゴールを挙げたい彼にプレッシャーを与えるだけではないか。できることなら、試合の2〜3日前に大久保を呼び、「先発させるが、リラックスしていつものプレーをするように」と話をする。そうしていれば大久保はゴールを挙げられたかもしれないし、彼につきまとう汚名を晴らすことができたかもしれないのだ。
先にも述べたが、ジーコのW杯予選の記録は6勝0敗である。ただし、この先には強力な対戦相手が待ち受けている。
次の対戦相手の3ヶ国は12月9日、クアラルンプールでの抽選会で決まる。
来年について今言えることは、どうかジーコがフォーメーションを4−4−2に戻さないように、そして、ヨーロッパ組の全選手を同じMF−FWラインで固定するように、ということだ。
もちろん、ジーコも1次予選で様々なことを学んだであろう。今度は全ての代表監督がそうであるように、難しい決断をしなくてはならなくなる。
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