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熱く盛り上がるマスカット

2004/10/14(木)

日本では誰もが、水曜日に陽光輝くここマスカットの地で行なわれるゲームの大切さを知っている。
ただし、湾岸のサッカー界の小国に過ぎないという理由だけで、オマーンの人々はゲームの重要性を理解していないに違いない、などと考えるのは良くない。
オマーンには英語の新聞が3紙あるが、これら新聞でサッカーがクリケットを追い落としてスポーツ欄のメインになっていることからも、今回の試合が重要視されているのが分かる。
この地には在留インド人の大きなコミュニティーがあるため、毎日クリケットに多くの紙面が割かれている。本当なら、インドチームがホームでオーストラリアを迎え撃っている今の時期は、クリケットにもっと多くの紙面が割かれてもおかしくないのである。

「ジーコ・ジャパン、オマーン戦への準備完了」というのが、『オマーン・デイリー・オブザーバー』紙の見出しだ。
この記事は、月曜日のスルタン・カブース競技場での練習中に気温と湿度を測定する装置が使用されていたことに着目し、日本チームの精緻な調整方法を紹介するものであった。
また、オマーンチームが同国スポーツ相の訪問を受けたという記事、それから練習中の日本代表の写真も掲載されていた。

『タイムズ・オブ・オマーン』紙は今回の試合に半ページを割き、「対決間近、興奮は最高潮に」という見出しを掲げていた。
この記事では、かなりの数の日本人が街を歩いている様子とともに、マスコミ関係者の数が140人を越えていることに対する驚きが伝えられていた。
もちろん、ジーコの写真も掲載されていた。その表情はいつにも増して厳しく、いかめしくなっており、写真の傍らには、「日本はいつものようにプレーし、引き分けは狙わない。勝って最終予選に進むのが望ましい」というコメントが引用されていた。

日本チームは月曜日に試合会場で激しいトレーニングを行ない、とりわけコーナーキックの練習に力を入れていた。接戦になることが予想されるので、フリーキックやコーナーキックといったセットプレーが勝敗を左右するかもしれない。
スタジアムは見た目に豪華で、岩肌がむきだしの山々に囲まれているものの、付近の道路は両側にヤシの木が植えられている。
日本の練習中、1 人のイスラム教徒が唱える祈祷の声がラウド・スピーカーで増幅され、グラウンド中に響き渡っていた。

テレビカメラの前で行なわれたジーコの記者会見のあとは、「生ビール」が主な話題となった。
このような話題が出るのはジャーナリスト同士の会話では珍しいことではない。「記事を書いたあと、どこに飲みに行く?」なんて話をしょっちゅうしているからだ! しかし、今回は趣が異なっていた。
何人かの日本人ジャーナリストとのおしゃべりから、ジーコが水曜日の試合会場の雰囲気を生ビールのグラスの上の部分に喩えていることを知った。

「オマーンのサポーターは白い衣装を着用しているので、スタジアムはビールの入ったグラスのようになるだろうが、白はビールの泡にすぎないので、さほど重要ではない。重要なのは下のほう、つまりビールそのものであり、今回の試合の場合はピッチで起っていることなのである。」

う〜む、とても面白い。これが哲学者ジーコの発言だ。どちらかと言えば、エリック・カントナの発言のようではないか。
水曜日の夜は日本代表にとって本当に厳しい試練となるだろうが、私は以前に発表した0−0(ひょっとすると1−1!)という予想をそのまま維持する。日本が負けるとはどうしても思えないのだ。

さあ、リラックスして「生ビール」を楽しもう!

*このコラムは10月12日に書かれたものです。

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