« 2004年9月 | トップページ | 2004年11月 »

2004年10月

オマーンでの鈴木通訳の退席処分について

2004/10/29(金)

ジーコの通訳である鈴木国弘氏に対してFIFAが下した1試合のベンチ入り禁止処分については、日本サッカー協会(JFA)も申し立てはできないだろう。
マスカットのスルタン・カブース競技場で、私は日本ベンチの真後ろの席に座っていたが、審判団に対する鈴木氏の抗議はまさに度を超えていたと言っていいものであった。
それまでの長い時間は、ジーコが試合を支配しており、中国の陸俊主審に事細かに指示しているように見えた。

たとえば、後半7分の日本の先制点に結びついた、鈴木(ここでは国弘ではなく隆行)へのファウルに対するフリーキック。
まったく痛くない時でもよくやるように鈴木がピッチ上を転がり回っていると、ジーコは主審に4本の指を立てて見せ、鈴木へのファウルはこれが4度目であるとアピール。主審はオマーンのディフェンダーにイエローカードを与えた。

試合終了間際には中村がファウルを受けた。またも日本ベンチの前で、ジーコがピッチサイドにいる時だった。しかし、ジーコよりは通訳のほうがどちらかといえば声高で、ジーコの発言を翻訳するのではなく、明らかに事態を自分で処理しようとしているようであった。
たとえジーコの発言をポルトガル語から日本語に翻訳していたのだとしても、どちらの言語も話さない主審には理解できなかっただろう。
それでもレフリーは発言の要点を把握したようで、日本ベンチに近づいてきた時には激怒していた。

通訳には退席処分が下されたが、ルールを知らなかったのか、控え選手と並んでゲームを観戦しようとした。
もちろん、そんなことは許されないので、彼はピッチを歩いて半周し、選手入場口に行くよう命じられた。入場口に向かう途中、鈴木通訳にはボトルが投げつけられ、そしてアラビア語の辛辣なヤジが浴びせられた。

試合後、レッドカードを受けたのだから彼は次の試合ベンチ入り禁止になるかもしれないと私が言うと、多くの人が笑った。私が冗談を言っていると思ったのだろう。
しかし、彼だけが罰を回避できるというわけにはいかない。
選手が退場処分を受けたり、監督やベンチの選手が退席処分を受けた時には罰が与えられるのに、通訳だけが違う扱いを受けるなんてことはありえるだろうか?
結局のところ、通訳もゲームの一部であり、ベンチの日本選手団の一部なのだ。それに、彼は退席処分を受けたのである。
ブラジル育ちの日本人が何人かいるのだから、11月17日のシンガポール戦は、日本は鈴木通訳がいなくても大丈夫だろう。
ジーコはアレックスを通訳にして、左ウィングには三浦を起用するのだろう!
あるいは、カズやゴン、秋田と一緒にラモスを通訳として代表復帰させるかも!

固定リンク | | コメント (0)


ねえジーコ、村井にチャンスをあげようよ!

2004/10/28(木)

土曜日(25日)、ジェフユナイテッド市原の村井慎二が素晴らしいタイミングでアピールした。
名古屋に2−0で勝利したジェフの先制点となるゴールも見事であったが、ゴールを決めたタイミングがなんとも良かった。

「消化試合」となってしまった11月17日のシンガポールとのワールドカップ予選で、どうやらジーコは実験を行なうつもりのようだ。
カズやゴンや秋田を起用するというアイデアには、私は強く反対だ。
ただし、オリンピック代表や(茂庭、今野、石川、大久保なんかどうだろう?)Jリーグで良いプレーを見せている選手の起用には賛成である。
オリンピック代表には左サイドに傑出した選手がいなかったが、ジーコがいつも選ぶアレックスや三浦淳宏以外にも、Jリーグには優れた左サイドの選手が何人かいる。
そうした事情があり、村井は良いタイミングでゴールを決めたと書いたのだが、日曜日の新聞紙上でも、当然といえば当然だが、いくつか好意的な評価が下されていた。

24歳の左ウィングである村井の存在は、右サイドの坂本とともに、ジェフのタイトな3−5−2のフォーメーションで絶妙なバランスを保っている。
村井には相手を抜き去る技術とスピードがあるし、左足で巧妙なクロスを上げることも、自身でゴールを狙うこともできる。
村井が市原に入団したばかりの頃、ライアン・ギグスをとても尊敬している、と語っていたのを憶えている――村井のポジションでは、ギグスは目標とすべき完ぺきなロールモデルなのである。
(ピッチの外でも、ギグスはマンチェスター・ユナイテッド(マン・U)のファン以外にも人気がある。余談になるが、マン・Uの選手の多くは他チームのサポーターに毛嫌いされているが、ギグスだけは例外である。ギグスはいつも敬愛されているのだ。)

名古屋戦の後、ジェフのオシム監督は、「村井は才能に恵まれた選手だから、今日のようなプレーをもっとたくさんできるはずだし、ゴールももっと決められるはずだ」と語った。

村井は明らかにゴールに飢えているように見え、ディフェンダーを2度かわしてから、得意の左足で自信を持ってシュートを放ち、楢崎の守るゴールの上隅にボールを叩き込んだ。
2週間前にも、村井は国立競技場の東京オリンピック記念試合でハンガリー選抜と戦った日本選抜チームの一員として、印象に残る成熟したプレーを見せていた。
ジーコがニュー・フェースを何人か試したいのであれば、左サイドに村井を起用すれば失望はしないだろうし、アレックスも安穏としていられなくなるだろう。
アレックスはいつも無理することなく要領良くプレーしようとし、何か特別なことがあった時のために余力を残しているように見える。しかし、特別なことなどは起こらないし、今シーズン、浦和でのアレックスのプレーぶりは少しがっかりさせるものだった。また、コーナーキックやフリーキックを蹴っても、一番前にいるディフェンダーの頭を越せないことがよくあったが、これにもイライラさせられた。

ねえ、ジーコ、だからシンガポール戦では村井に左サイドを任せてみようよ。
村井のような選手をリーグ戦で起用し、育ててきたのはJリーグの各クラブなのだ。このあたりでクラブの努力が報いられてもいいんじゃないかな。

固定リンク | | コメント (0)


レイソル対セレッソ、Jリーグの過酷なサバイバル戦

2004/10/21(木)

間違いなく、日本では、土曜日の「注目の一戦」となるだろう。
もちろん、千葉県柏市でレイソルがセレッソ大阪を迎え撃つ一戦のことである。両チームがJ1残留を賭けた、負けられない試合である。
セレッソは大分やジュビロとともに勝点はわずか7でセカンドステージ最下位に低迷中。一方のレイソルは勝点8で13位である。
しかし、話はセカンドステージの順位だけでは終わらない。両ステージの勝点を合計し、大変なトラブルに見舞われているチームを発見しなければならない。
総合順位では、やはりセレッソが勝点17で16位、つまり最下位におり、レイソルは勝点20で15位。14位の大分とは4ポイント差がある。
つまり、最下位争いは両チームのマッチレースであり、最下位となったチームは、J1が来シーズンから18チームに拡大されるため、J2の3位チームとJ1の残りの席を賭けてプレーオフを戦うことになる。
レイソル対セレッソ戦は午後3時キックオフ。この重要な試合、柏には騒々しい観客が大勢やって来るに違いない。

レイソルが勝てば、セレッソに6ポイント差をつけることになる。セレッソにとって、残り5試合で詰めるには大きすぎる差だろう。
セレッソが勝てば、レイソルと勝点20で並び、自力でプレーオフを回避する望みが生まれる。セレッソにとって最後のチャンスというわけではないが、限りなく最後のチャンスに近いのは確かである。
賭かっているものがあまりにも大きいなか、両チームとも勝ちに行く試合をするだろう。
引き分けは両チームにとって、とりわけアウェーのチームにとって、満足のゆくものではないため、ファンは、コンパクトな日立柏サッカー場で、なかなか攻撃的な、ひょっとすればほとんどヤケクソ気味のサッカーを見る機会に恵まれるかもしれない。

日曜日(17日)のセレッソは、ホームの関西ダービーでヴィッセル神戸に1−2で敗れるという散々たる結果であった。試合は、播戸竜二がヴィッセルの先制ゴールを決め、先日国立競技場で行なわれた日本選抜対ハンガリー選抜戦での印象的なプレーに続き、代表チーム招集をアピールした。
一方、ホームにグランパスを迎えたレイソルも、セレッソのホームでの敗戦に充分につけ込むまでには至らなかった。
前半を0−1で折り返したレイソルは、後半に明神と大谷が立て続けにゴールを挙げ逆転したものの、終了間際に同点ゴールを許してしまい、名古屋から勝点3を奪うことはできなかった。レイソルにとって、逃した勝点2はあまりに大きかった。

この週末には、非常に魅力的な試合が他にもいくつかある。例えば、アントラーズがホームでレッズを迎える試合や、横浜でのマリノス対FC東京戦。しかし、レイソルとセレッソの激突が、両チームの近い未来を占う、もっとも見逃せない試合となるだろう
さあ、本当の降格争いを楽しもう!

固定リンク | | コメント (0)


日本代表の成熟とプロ意識が輝いた夜

2004/10/18(月)

オマーンで行なわれたワールドカップ・アジア1次予選は、ほぼ予想通りの結果となった。
試合開始早々はホームチームが積極的に攻撃していたが、この一時的な攻勢をしのぐと日本代表は徐々に試合をコントロールしはじめた。
そして後半7分、中村俊輔のクロスを鈴木隆行が華麗なヘッドでゴールし、日本に待望の先制点をもたらした。
このゴールが結果として試合を決定付け、日本にグループ3の1位を確定させた。

5戦5勝、得点15に対して失点1、勝点15という日本代表の対戦成績が、全てを物語っている。
全般的に日本代表の成熟と集中力を感じさせる試合内容であり、随所でオマーンとのレベルの違いを感じさせた。
これはJリーグのプロ意識とヨーロッパ組の選手たちの経験の賜物である。
皆さんにも小野が堂々たる指揮官に見えたのではないだろうか?

とは言え、この試合のMVPは中澤だと私は思う。
アジアカップと同じく、彼は日本ディフェンス陣の大黒柱だった。
オマーンが日本サイドのペナルティエリア内に放り込むボールはことごとく中澤のヘッドに阻まれた。
彼は試合の流れをよく読んでいたし、タックルも目を見張るものがあった。

以前にもこのコラムで述べたことがあるが、もう一度言いたい。中澤はヨーロッパで成功するための要素を全て持ち合わせている。Jリーグのシーズン終了後にはヨーロッパでのチャンスを掴んでもらいたい。
試合後、全ての観客が帰ってしまったスルタン・カブース・スポーツコンプレックスは寂しいくらいに静まり返っていた。その中で私はアジアサッカー連盟のマーケティング部の人間と立ち話をした。
「今日の試合に出場した選手の一人が、今年のアジアの“プレーヤー・オフ・ザ・イヤー”候補ですよ。誰だと思いますか?」と彼は言った。
私は即座に中澤だと答えた。
「その通りです!彼は素晴らしい選手だ。ノミネートされると良いですね」彼はそう言った。
まったくその通りだ。クリエイティブで目立つ攻撃側の選手が必ずしも選ばれることはないのである。私は日頃からこのような賞の選考においてディフェンダーは軽視されていると思っていた。

全体的に見て、格下の相手とは言え油断できないテストに合格した日本代表にとって、非常に満足のいく夜であった。
日本は2006年ドイツワールドカップ・アジア最終予選出場の8ヶ国に残った。各グループの上位2チーム、そして3位のチームにもワールドカップ出場のチャンスがある。日本は出場を決めることができるはずである。
ただし、日本はマスカットで見せたような支配力と成熟ぶりを見せなければならない。そして全ての対戦国に敬意をもって対峙することだ。

2005年は騒がしい1年になりそうだ。

固定リンク | | コメント (0)


熱く盛り上がるマスカット

2004/10/14(木)

日本では誰もが、水曜日に陽光輝くここマスカットの地で行なわれるゲームの大切さを知っている。
ただし、湾岸のサッカー界の小国に過ぎないという理由だけで、オマーンの人々はゲームの重要性を理解していないに違いない、などと考えるのは良くない。
オマーンには英語の新聞が3紙あるが、これら新聞でサッカーがクリケットを追い落としてスポーツ欄のメインになっていることからも、今回の試合が重要視されているのが分かる。
この地には在留インド人の大きなコミュニティーがあるため、毎日クリケットに多くの紙面が割かれている。本当なら、インドチームがホームでオーストラリアを迎え撃っている今の時期は、クリケットにもっと多くの紙面が割かれてもおかしくないのである。

「ジーコ・ジャパン、オマーン戦への準備完了」というのが、『オマーン・デイリー・オブザーバー』紙の見出しだ。
この記事は、月曜日のスルタン・カブース競技場での練習中に気温と湿度を測定する装置が使用されていたことに着目し、日本チームの精緻な調整方法を紹介するものであった。
また、オマーンチームが同国スポーツ相の訪問を受けたという記事、それから練習中の日本代表の写真も掲載されていた。

『タイムズ・オブ・オマーン』紙は今回の試合に半ページを割き、「対決間近、興奮は最高潮に」という見出しを掲げていた。
この記事では、かなりの数の日本人が街を歩いている様子とともに、マスコミ関係者の数が140人を越えていることに対する驚きが伝えられていた。
もちろん、ジーコの写真も掲載されていた。その表情はいつにも増して厳しく、いかめしくなっており、写真の傍らには、「日本はいつものようにプレーし、引き分けは狙わない。勝って最終予選に進むのが望ましい」というコメントが引用されていた。

日本チームは月曜日に試合会場で激しいトレーニングを行ない、とりわけコーナーキックの練習に力を入れていた。接戦になることが予想されるので、フリーキックやコーナーキックといったセットプレーが勝敗を左右するかもしれない。
スタジアムは見た目に豪華で、岩肌がむきだしの山々に囲まれているものの、付近の道路は両側にヤシの木が植えられている。
日本の練習中、1 人のイスラム教徒が唱える祈祷の声がラウド・スピーカーで増幅され、グラウンド中に響き渡っていた。

テレビカメラの前で行なわれたジーコの記者会見のあとは、「生ビール」が主な話題となった。
このような話題が出るのはジャーナリスト同士の会話では珍しいことではない。「記事を書いたあと、どこに飲みに行く?」なんて話をしょっちゅうしているからだ! しかし、今回は趣が異なっていた。
何人かの日本人ジャーナリストとのおしゃべりから、ジーコが水曜日の試合会場の雰囲気を生ビールのグラスの上の部分に喩えていることを知った。

「オマーンのサポーターは白い衣装を着用しているので、スタジアムはビールの入ったグラスのようになるだろうが、白はビールの泡にすぎないので、さほど重要ではない。重要なのは下のほう、つまりビールそのものであり、今回の試合の場合はピッチで起っていることなのである。」

う〜む、とても面白い。これが哲学者ジーコの発言だ。どちらかと言えば、エリック・カントナの発言のようではないか。
水曜日の夜は日本代表にとって本当に厳しい試練となるだろうが、私は以前に発表した0−0(ひょっとすると1−1!)という予想をそのまま維持する。日本が負けるとはどうしても思えないのだ。

さあ、リラックスして「生ビール」を楽しもう!

*このコラムは10月12日に書かれたものです。

固定リンク | | コメント (0)


日本には“アウェー・アドバンテージ”があると宮本キャプテンは語る

2004/10/11(月)

水曜日に行なわれる日本対オマーン戦、もしオマーンが自分たちにはホーム・アドバンテージがあると考えているのなら、もう一度考えなおしたほうが良い。
もちろん紙上では、オマーンの美しい首都、マスカットで行なわれる試合では彼らにホーム・アドバンテージがあるとされている。
しかし、だからといってこれはビジターである日本代表がナーバスになったり、攻めのサッカーをすることをためらうという事ではない。

日本代表のキャプテンである“カイザー(皇帝)・ツネ”によると、日本は実際のところアウェーでの方がデキが良いと言う。
ホームゲームには毎回素晴らしいサポーターが集まることを考えると、少々変に聞こえるかもしれない。
ただツネは、 “美しいサッカー”や“怒涛の攻撃”、“ゴールラッシュ”をファンが求めると、それは選手にとってプレッシャーにもなると考えている。
そして、毎回毎回、ファンの望んだとおりの試合になるとは限らないのだ。

2月18日に埼玉で行なわれた対オマーン戦を思い出してみると良い。
日本代表は勢いやリズムを得られないまま闇雲に攻め立て、最後の最後、後半ロスタイムに決めた久保の決勝ゴールにより1−0で勝った。本当にラッキーだった。
ボールはオマーンのペナルティエリアの端でまるでパチンコ玉のように跳ね、そこに久保が飛び込んだのだが、みなさんは覚えているだろうか。

ホームグラウンドから離れると、チームはよりリラックスできるとツネは言う。そしてボールを奪ったらすぐに総攻撃をかけなければならないというプレッシャーを感じることもなく、より慎重なサッカーができる。
それは、ヨーロッパ遠征や中国で行なわれたアジアカップを見れば明らかだろう。だからこそ私は、水曜の夜に、よりナーバスになっているのは日本代表でなくオマーン代表だと思うのだ。

仮に日本が先制点を挙げたなら、そこで試合は決まるだろう。オマーンは今年になって埼玉で0−1、そして中国でも0−1で敗れたチームを相手に2点を奪わなければならなくなる。言い換えれば、オマーンは日本と2度対戦しているが、まだ1ゴールも奪っていないのだ。
オマーンの戦略としては、前半はとにかく日本に点を与えないように守備を固めてくるだろう。そして残り30分になった時点でゴールを狙いにくる。日本にとっては理想的な展開になるだろう。
ボールをキープして落ち着いてプレーし、攻撃のタイミングを見計らうこともできる。そしてオマーンのペナルティエリア周辺で鈴木隆行がフリーキックを得て、中村俊輔が魔法の左足でゴール!1−0で日本の勝利だ!

正直、私にはマスカットで日本が負けるとは思えない。
キャプテンのツネが言うように、日本代表はホームよりアウェーでプレーする時の方が、より試合をコントロールできているように見える。水曜の夜には、すべてのプレッシャーがホームのオマーンにかかる。
私のシナリオ通りに試合は進まないかもしれない。しかし、私の予想は0−0もしくは1−1のドロー。日本は順調に次のラウンドに進むだろう。

固定リンク | | コメント (0)


アルパイが絶賛する日本のサッカーファンのひたむきさと観客数の関係

2004/10/07(木)

1993年のJリーグ発足以来、観客数にはいつも大いなる関心を抱いてきた。
先週末から、状況はリーグ全体にとってとても好ましいものとなっている。
現時点でJ1のセカンドステージの平均観客数は1万9,175人。
ファーストステージ15節の平均は1万8,763人であった。
このままいけば、シーズン全体の平均観客数は1万8,969人となり、240試合で1万7,351人という2003年の記録を大幅に上回りそうである。
浦和レッズが首位、アルビレックス新潟も上り調子にあるため、多くのファンを擁するこの2チームの勢いだけで、J1リーグの年間平均観客数1万9,000人越えが達成されそうである。
もしそうなれば、1万9,000人越えは1994年以来となる。その年はJリーグ発足2年目で、平均観客数は最高記録の1万9,598人となった。
1994年以降、一度離れてしまった観客がまたスタジアムに帰ってくるようになった。これは、日本のサッカー界にとってとても健全な兆候だ。
つまり、サッカーを理解せず、ファッションに追随していただけの発足当初のバブル期のファンに代わり、純粋なサッカーのサポーターが増えてきたのである。

スペイン、イングランド、イタリア、ドイツといったヨーロッパの4大リーグ、それからたぶんフランスリーグを別にすれば、Jリーグの観客数は、オランダやベルギーを含むヨーロッパのほとんどのリーグを上回るようになるだろう。
実際、華やかであると言われるイタリアのセリエAでも、日本のクラブが受けるサポートをうらやんでいるクラブがいくつかある。

土曜日のジェフ市原対浦和レッズ戦のあと、私はトルコの勇者アルパイ・オザランと話をした。
トルコ代表の試合を現地で観戦したことがある者なら誰でも、ファンの熱烈さを身に染みて知っている。そこで私は、東京とイスタンブールがどれくらい違うのか聞いてみた。
アルパイは即座に、日本のほうが雰囲気が良い、と答えた。
彼が言うには、1チームが優勝争いで独走するようになるとトルコのファンはサッカーを観に行かないようになるが、日本のファンは変わらずスタジアムにやって来て、声援を送り続けてくれるそうである。
アルパイ自身は、試合に負けたあとも長い時間、黄色いシャツのヒーローたちに声援を送り続けていたジェフのファンにとても感動したらしい。
「我々のファンもそうだ。埼玉から2時間もかかる場所だというのに、2万人以上のファンが来てくれたんだよね」とアルパイ。

観客数が堅実に伸びている現状を、世界中の多くのリーグがうらやんでいるに違いない。
日本の野球の世界が分岐点にさしかかっているのに反して、Jリーグは一歩一歩、静かに事業を拡大しているのである。

固定リンク | | コメント (0)


復調に向けて模索する田中

2004/10/04(月)

レッズファンにとって嬉しいことは、チームが依然として首位を保っていること、そして田中達也の復調が近いということである。
私はアウェーでの対FC東京戦、ホームでのガンバ大阪戦と、最近のレッズの2試合を見たが、田中は、彼とは思えないくらい静かだった。
得点を挙げる機会もほとんど無く、ディフェンダーを粉砕しようという猛烈な勢いも感じられなかった。

駒場で行なわれた対ガンバ戦、2−1の勝利の後、私はギド・ブッフバルト監督に田中について尋ねてみた。
アテネオリンピックでの体験が田中を少し意気消沈させているのだと、監督は認めた。
「オリンピックは彼にとっては良いものにはならなかったね。プレーできなかったわけだから。」
ブッフバルト監督はそう言った。
「3〜4週間、観光に行ったようなものだ。それで心身ともに良い状態でいられるはずはない。」

しかし、ブッフバルト監督は田中の低迷についてはそれほど心配しておらず、それはレッズのファンも然りだろうと私は確信している。
「彼は一歩一歩、確実に復調してくるよ。心配はいらない。彼は我々にとってとても大事なプレーヤーだ。」
物腰のやわらかいドイツ人監督はこう言った。
田中は、いくつかゴールを決めるだけでなく、ボールに絡まないプレーをとおしてすぐに復調できるはずだ。

エメルソン、田中が揃えば、レッズはそのスピードとダイレクトランニングでディフェンダーをかき回すことができる。彼らを抑えるのはよほどのチームでないと大変である。
ジャーンと茂庭がFC東京のディフェンスの中心で素晴らしい働きをみせ、FC東京は先日、レッズを1−0で完封した。
茂庭と今野が代表メンバーに選ばれる日も近いのではないだろうか。

マスカットで行なわれる対オマーン戦が片付けば(日本が負けるとは思えないし、少なくとも引き分けに持ち込めるはずである)、ジーコ監督は11月17日にホームで行なわれるグループ3の残りの試合に何人かのオリンピック代表選手を使うかもしれない。
茂庭、今野、石川、そしてもちろん大久保が代表でプレーするのを私は見たい。それもずっと先でなく近いうちに、だ。しかしジーコ監督は、たとえベテラン勢がチームを離脱していても、これまで監督に忠実に従ってきた彼らを犠牲にしてまで若手をひきあげるつもりはないらしい。
田中もいずれチャンスを掴むだろう。しかしまずオリンピック前の調子を取り戻すことだ。
そうなった時には、相手ディフェンダー達は田中に注意した方が良い。

固定リンク | | コメント (0)


« 2004年9月 | トップページ | 2004年11月 »