ジーコの通訳である鈴木国弘氏に対してFIFAが下した1試合のベンチ入り禁止処分については、日本サッカー協会(JFA)も申し立てはできないだろう。
マスカットのスルタン・カブース競技場で、私は日本ベンチの真後ろの席に座っていたが、審判団に対する鈴木氏の抗議はまさに度を超えていたと言っていいものであった。
それまでの長い時間は、ジーコが試合を支配しており、中国の陸俊主審に事細かに指示しているように見えた。
たとえば、後半7分の日本の先制点に結びついた、鈴木(ここでは国弘ではなく隆行)へのファウルに対するフリーキック。
まったく痛くない時でもよくやるように鈴木がピッチ上を転がり回っていると、ジーコは主審に4本の指を立てて見せ、鈴木へのファウルはこれが4度目であるとアピール。主審はオマーンのディフェンダーにイエローカードを与えた。
試合終了間際には中村がファウルを受けた。またも日本ベンチの前で、ジーコがピッチサイドにいる時だった。しかし、ジーコよりは通訳のほうがどちらかといえば声高で、ジーコの発言を翻訳するのではなく、明らかに事態を自分で処理しようとしているようであった。
たとえジーコの発言をポルトガル語から日本語に翻訳していたのだとしても、どちらの言語も話さない主審には理解できなかっただろう。
それでもレフリーは発言の要点を把握したようで、日本ベンチに近づいてきた時には激怒していた。
通訳には退席処分が下されたが、ルールを知らなかったのか、控え選手と並んでゲームを観戦しようとした。
もちろん、そんなことは許されないので、彼はピッチを歩いて半周し、選手入場口に行くよう命じられた。入場口に向かう途中、鈴木通訳にはボトルが投げつけられ、そしてアラビア語の辛辣なヤジが浴びせられた。
試合後、レッドカードを受けたのだから彼は次の試合ベンチ入り禁止になるかもしれないと私が言うと、多くの人が笑った。私が冗談を言っていると思ったのだろう。
しかし、彼だけが罰を回避できるというわけにはいかない。
選手が退場処分を受けたり、監督やベンチの選手が退席処分を受けた時には罰が与えられるのに、通訳だけが違う扱いを受けるなんてことはありえるだろうか?
結局のところ、通訳もゲームの一部であり、ベンチの日本選手団の一部なのだ。それに、彼は退席処分を受けたのである。
ブラジル育ちの日本人が何人かいるのだから、11月17日のシンガポール戦は、日本は鈴木通訳がいなくても大丈夫だろう。
ジーコはアレックスを通訳にして、左ウィングには三浦を起用するのだろう!
あるいは、カズやゴン、秋田と一緒にラモスを通訳として代表復帰させるかも!