中田の移籍は前向きでなく横向き!?
ヨーロッパの2003−04シーズンが終了する時が、中田英寿にとってイタリアを飛び出し、新天地へと移る時だと私は思っていた。
だから彼がフィオレンティーナと契約したと聞いた時、私は非常にがっかりした。
もちろん中田にとっては新しいチームであり、フィオレンティーナの盛衰をめぐる話はおもしろいが、それは日曜の午後、スタジアムに半分しか観客の入らないセリエAの泥沼でもう1シーズン過ごすことを意味する。
周りから聞こえてくるのは、中田はイングランド、特にロンドンへ行きたかったらしいということだ。
ペルージャで1年半、ローマでも1年半、パルマで2年半、そしてボローニャで半年の合計6シーズンをイタリアで過ごした彼には転換期が来ていた。
私はスター選手とトップリーグでの経験を必要とする新興チーム、クリスタル・パレスに彼が加わることを想像していた。
中田のスタイルはプレミアリーグで要求されるものにピッタリだし、彼はこのチームが求めているものを与える事ができたはずだ。
彼には強靭な体力があり、速いペースでもプレーできる。またスタミナもあり視野も広い。そして、期待されているほどは得点を挙げていないが、彼には得点力もあり、何よりもチームメートの得点をアシストする力がある。
英語も流暢に話せるのでチームに溶け込むのも早かっただろう。
一体何が彼のイングランド移籍を阻んだのだろう?
恐らくはイングランドのチームが日本人選手の獲得を決めかねたのだろう。アーセナルで1年、フルハムで2年と、3年たった今も稲本は果たして「当たり」だったのか「ハズレ」だったのかはっきりしない。
また金額面の事もある。
中田の移籍金については、それほど高いものではない。しかし彼の年俸は高く、この点が彼に興味をもっていたいくつかのチームを遠ざけたのかもしれない。
中田は現在27歳、フィオレンティーナと3年契約を結んだ。すなわち引退するまでイタリアに残留することもできる。
サッカー以外にも興味があり、自分自身のサッカー人生後の将来についても準備を進めているほど賢い彼が、そういう年齢までサッカーをするとは私には思えない。彼は仮に明日引退することになったとしても、過去を振り返ることなく歩いていけるタイプの人間だ。
イングランドへ移籍すればきっと大成功だったろうし、個人的にはとても残念である。華やかなプレミアリーグの舞台で彼がプレーすることを見る日は永遠にないかもしれない。
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