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2004年5月

いよいよ本番!山本監督率いるヤングブルース

2004/05/30(日)

水曜日の対トルコ選抜チーム戦を1−1で引き分け、山本監督がオーバーエイジの選手を呼び寄せる前に、U−23日本代表の選手が自分を証明する機会は残り1試合となった。
最後のテストは火曜夜に札幌ドームで行われる対マリ五輪代表戦である。
すでに皆さんの中にも、どのポジションを補強しなければならないか、それぞれ考えがあるのではないだろうか。
私個人のチョイスとしては、ゴールキーパー、左サイドMF、そしてセンターフォワード(日本語で言うなら“ポストプレーヤー”)である。
聞くところによるとゴールキーパーのポジションでは曽ヶ端が候補としてあがっているらしい。楢崎、土肥、高木、そして櫛野と、毎週試合出場を果たしているどのJ1キーパーをとっても良い選択であろうが、より経験があり、指揮を執ることができるキーパーは、コミュニケーションや組織といった点から闘莉王のプレッシャーをやわらげてくれるだろう。

左サイドMFには森崎浩司が山本監督の最有力候補となっているが、根本や駒野もいまだその視野に入っている。
森崎は几帳面かつ冷静で、貴重なレフティーではあるが、チームとしてはサイドを力強く突破する選手が必要だと思う。
私のチョイスはディフェンダーでなくアタッカーとして本来のポジションでプレーする三都主である。
徳永と石川のいる日本の右サイドは強い。しかし左サイドはパンチに欠ける。

水曜日に山本監督は5人のフォワードを使った。
レッズの田中を故障で欠いているため、山本監督は大久保と高松を先発させた。
平山は後半早々に高松と交代出場し、後半ロスタイムには試合を決めるゴールをもう少しで決めるところだった。
平山と同時に坂田が松井に代わって入り、そして残り19分で大久保に代わり前田(彼は攻撃的MFと言うよりFWだと思う)がピッチに入った。
高松、平山そして坂田。その誰もが、アテネでチームを引っ張ることができるとは思えない。だから攻撃面を考慮して高原直泰を、いや、鈴木隆行でも良いからチームに加えるべきだろう。
山本監督は将来を考えて、平山を選ぶかもしれない。しかしバーレーンや、レバノン、そしてUAEよりも強力なチームを相手に、平山では明らかにまだアテネの先発メンバーとしては荷が重い。

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嘉人か、ヒデか?

2004/05/27(木)

 ある特定の人物についてコメントを求められたとき、フィリップ・トルシエはいつもこう答えていた。
「そうだね、彼はとてもおもしろい選手だ。」
 これはトルシエが、“ある特定の人物”こと大久保嘉人に接触するようになる以前のことだ。

 セレッソ大阪のこのフォワードは、まさにとてもおもしろい選手である。
 私は、試合中の大久保の動きを観察するのが好きだ。もっとも、土曜の午後の市原スタジアムで私の前に座っていた、セレッソ大阪の女性ファンほど熱心ではないが。
 ピンクの、「Okubo 10」の文字入りシャツを着た、この女性ファンは、自身の若きヒーローの写真をできるだけ良い角度で撮ろうと、カメラを手にメインスタンドを動き回っていた。
 試合の序盤、この女性は私の前の席に座っていたが、あっという間に席を離れてしまった。最初、私は自分のアフターシェーブ・ローションのせいだと思ったが、あとになって、彼女は「嘉人パトロール」に出ているのだとわかった。

 試合終了後、私はセレッソのクロアチア人監督、アルベルト・ポボルと話をした。ポボルは大久保を「卓越した才能」と表現した。
 ポボルは、大久保はヨーロッパでプレーすべきだと語った。彼によれば、大久保はヨーロッパのどのレベルでもプレーでき、かの地に渡った多くの日本人選手とは違い、ベンチ要員に甘んじることもないそうだ。
 ポボルは、大久保は中田英寿より才能があるだろう、とまで言った。
「中田も素晴らしい選手で、偉大な選手だが、才能では大久保の方が上だと思う」とセレッソの監督は言う。
「大久保はとてもスピードがあり、素晴らしいテクニックがあり、まだ若い…、つまり大久保にはすべてが揃っているんだ。」

 おもしろい話だと思う、本当に。
 個人的には、大久保の才能とゴール前での一途さは認めるが、ピッチの内外で自身を律する方法など、中田から学ぶべき点はまだたくさんあるだろう。
 中田は、冷静で、集中力があり、自制心をもってプレーしている。大久保も、昨シーズン以降、少しおとなしくなったように思える。これは良いことだが、同時に気迫や情熱を失ってもらいたくはない。
 この気迫と情熱をうまく活かしてほしいものだ。
 土曜日の市原戦の試合中、大久保は右サイドでマーカーの坂本は抜けなかったもののコーナーキックを得たのに、悔しそうにボールをコーナーフラッグに投げつけた。(ひょっとすると、ラインズマンを狙ったのかもしれない!)
 この態度は悪くない(ボールをコーナーフラッグに投げつけたことである、念のため)。彼がゲームに集中していて、ひたすら勝ちたいという執念を持っていることがわかったからだ。

 中田が最初、それほど強くないペルージャへ移ったのは、移籍としては完璧だった。ペルージャで、中田はいとも簡単にチームに溶け込んだが、さて、オリンピック後の大久保はどうなるのだろう?
 トルシエなら、こう言うかもしれない。
「大久保…、うん、彼はとても面白い選手だね。」
 しかし、中田以上の才能なのだろうか?
 それもやがて明らかになるだろう。

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ドゥドゥ、レイソル苦悩の1stステージ

2004/05/24(月)

選手を熟知した新監督、国際経験豊富な新しいセンターフォワード、そして新たな二人のブラジル人プレーヤー・・・。2004年は柏レイソルにとって復活の年になるはずだった。
しかし、ファーストステージ10試合を終了してレイソルは16位、勝点わずか7でJ1の最下位に甘んじている。
勝点のうち6ポイントは最初の2試合で挙げたもので、それ以来、対市原戦での引き分けによる1点のみに留まっている。
正直言って、レイソルのこのありさまにはただただ驚くばかりである。

シーズン前、日立スタジアムで行なわれた千葉銀カップでジェフ市原を一蹴した時は、それこそ準備万端、意欲も得点力もあるように見えた。
しかし、新しいセンターフォワード、山下の負傷が大きく響いた。10試合で挙げた得点はわずか7ゴールである。
おそらくレイソルの崩壊は、昨年12月にUAEで開催されたワールドユース選手権にブラジルU−20代表として脚光を浴びた後、華々しく契約したドゥドゥのパーフォーマンスに表れている。
長身で、エレガント、そしてパワフルな守備的MFドゥドゥは現在21歳。かの偉大なソクラテスと比較される。
読者の中にはかつて1982年のワールドカップで「黄金の4人」と称されたジーコ、ソクラテス、ファルカン、そしてトニーニョ・セレーゾを覚えている方もいるだろう。
確かにドゥドゥには、にじみ出る大器の雰囲気がある。

しかし、本人と池谷監督によれば彼の問題は日本のサッカーのペースが速すぎると感じている事だという。
他の名選手同様、ドゥドゥも中盤でボールをキープすることを好む。そして芸術家が華麗に絵筆をふるうようにパスを出すのだ。
しかし彼は中盤で捕まり、何よりチームのパターンにフィットしていない。

金曜日にレイソルが広島へ向けて出発した時、ドゥドゥはベンチ入りさえできず、柏に残った。
現在低迷しているレイソルだが、私には彼らがいつまでも最下位に甘んじているとは思えない。これだけ多くの良い選手を抱えているのだ。ファーストステージが終了するころにはリーグ中位に浮上してくるはずだ。
シーズンを通して見れば、レイソルにとって良いシーズンになるだろうと私は思う。

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新たなDFを必要とするブッフバルト監督

2004/05/20(木)

 最近の浦和レッズの監督は、外国人選手にあまり恵まれていないようだ。
 最高の状態のネド・ゼリッチをレッズ・ファンが見ることはなかったし、今では「ロシアのロールスロイス」ことユーリ・ニキフォロフのキャリアも終焉を迎えようとしているように思える。
 監督のギド・ブッフバルトが怖れる最悪の状況は、ニキフォロフのプレーが絶望—つまり、シーズン前に受けたヒザの手術のリハビリのためにオランダに帰ってしまうことである。
 そのため、8月中旬のセカンドステージ開幕までに、チームを率いる新たなセンターバックを獲得するというのが、ブッフバルトの最優先事項となっている。

 土曜日、駒場でレッズ対ジェフの試合を観戦したファンには、ブッフバルトが経験豊富なディフェンダーの獲得にこだわる理由がわかったかもしれない。
 試合は、前半を2−0で折り返した時点で、ジェフが勝利をものにしたように思えた。
 まず、阿部の左サイドからのコーナーキックにマルキーニョスがヘディングを見事に合わせて、ジェフが先制。
 その直後にはマルキーニョスがまたも才能を発揮し、闘莉王を振りきって右側にパス。サンドロが完全にノーマークのままボールを受け、繊細なタッチのシュートを決め、前半のうちにジェフが2−0とリードした。
 浦和に追い撃ちをかけるように、前半終了4分前には長谷部が足を傷めて交代。さらに、後半4分にはエメルソンもピッチを去った。

 ジェフの監督のイビチャ・オシムは、この時点で選手たちがプレーをやめてしまった、と語った。ジェフの選手たちは、もう大丈夫だ、と安心してしまったのである。
 ビジター・チームは、その代償を払わなければならなかった。
 永井がゴール前でボールを押し込んで、レッズが1点を挽回。さらに、茶野がアレックスを倒した後のPKを闘莉王が決めて同点。なぜ茶野があえて無理をする必要があったのか、私には理解できない。アレックスが茶野の外側に逃げようとしたとき、ボールはアレックスの右足にあったからだ。
 あのポジションでアレックスがボールを巧妙に処理できるとは思えないのに、茶野は捨て身のタックルを敢行し、PKを献上。アレックスは、まるで自分が決勝のゴールを決めたかのような喜びかたをした。

 私の感想は、フェアプレーを重んじる無邪気な英国人の感想に過ぎないのかもしれないが、PKをもらったプレーヤーが大喜びする姿は見ていて気持ちの良いものではない。まるで、実際にゴールを奪うより、ペナルティを奪うのが目的だったみたいではないか!
 その後、完全に混乱してしまったジェフはディフェンダーの中途半端なプレーによって、「野人」にレッズ復帰後のリーグ戦初ゴールを決められてしまった。

 今度は浦和が3−2で勝利を手中にしたように見えたが、鈴木が山岸を倒した。鈴木本人はペナルティーエリア外の出来事だと思ったようだが、レフェリーはペナルティーエリア内での反則という判断を下し、阿部が冷静にPKを決めて、ゲームは3−3となった。
 レッズが優勝に値するだけの攻撃力を擁しているのは確かだが、新しいディフェンダーを獲得して、失点を抑えることも必要であるとブッフバルトは感じているのだろう。

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稲本:移籍か残留か?

2004/05/17(月)

現在の稲本潤一の状況には、皆さんも同情せざるを得ないことだろう。
彼はフルハムに残るのだろうか、それとも去るのだろうか?

6月末にガンバ大阪からのレンタル契約が切れる彼の将来は、ここ数ヶ月非常に不確かなものであった。
フルハムは、彼の完全移籍のためにガンバが要求するような額の移籍金は払うつもりはない。しかし、チームの一員として有能である事を証明してみせた彼をキープしたいとは考えている。
果たしてガンバはフルハムにチームが支払えるような額で稲本との契約を許すだろうか?
ここは稲本のために、何とかガンバがリーズナブルな移籍金で合意してくれる事を願おう。たとえその額が2年前にガンバが同意した400万ドルに満たなくてもだ。
あれ以来状況はかなり変化してきているのだ。

稲本はアーセナルでむなしい1年を過ごした。しかし2002年のワールドカップではベルギー戦、ロシア戦で得点を挙げ日本をベスト16に導いた。
彼は一躍、時の人。アーセナルでの経験にも関わらずロンドンに残りたかった彼にとって、フルハムへの移籍は申し分のないものだった。
フルハムでの1シーズンを終えても、チームは彼の能力に今ひとつ確かなものを掴めず、そこでガンバに2年目のレンタルを申し入れた。

2002年から移籍市場の事情は変化しており、なかでもフルハムは、仮のホームスタジアム、ロフタスロードにプレミアリーグの中でも最少の観客しか呼ぶことができない。
ある週にはフルハムの稲本は移籍先を探していると聞かされ、その次の週にはチームへの完全移籍もありえると伝えられる。
イナには本当に同情に禁じえない。

こういう状況の中、試合に集中することは非常に難しいに違いない。
ピッチに出れば、ボールにタッチする度に自分の価値を証明しようと非常なプレッシャーを味わっているに違いない。
願わくば、ガンバとフルハムが合意に達し、イナが、そう、例えば3年契約を結べないものだろうか。
100万ポンド、もしくは160万ドルの契約ぐらいが双方にとって妥当ではないだろうか。
国際経験豊富で、正直かつ素晴らしいプロフェッショナル プレーヤー。また、チームのために喜んで学び、プレーする稲本のため、そのくらいの額はフルハムだって惜しくはないはずだ。
またガンバも、イナには日本に戻る気がない事を受け止めなければならない。したがってそのくらいの額が帳尻をあわせるのに丁度良いのだ。
このゴタゴタが解決した時、我々はまた、イナのベストプレーを見ることができるだろう。

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岡田監督がこだわる日本人の得点能力

2004/05/13(木)

 先日のことだが、アジアチャンピオンズリーグで横浜F・マリノスがベトナムのビンディンを6−0で破った後の、岡田武史監督のコメントを読んで驚いた。
 岡ちゃんは、マリノスの選手は非情さに欠けると語っていた。また、少なくとも10点差で勝つべき試合だった、とも言っていた。
 この発言は私には意外だったし、少し厳しすぎるような気もした。ホームで6−0の勝利なら悪くない結果だからだ。

 数日後、岡ちゃんの発言の真意がわかった。
 火曜日(5月11日)の夜、アジアチャンピオンズリーグでマリノスと同じグループに入り、マリノスの最大のライバルとなっている城南一和が、インドネシアのペルシク・ケディリを15−0で破ったのである!
 そう、15点。6分に1点の割合だ!
 これで、マリノスが4チームからなるグループGで最終的に1位になり、準々決勝に進出できる可能性はかすかなものとなった。残り1試合の時点で、韓国のチームが得失点差で圧倒的に有利であるからだ。

 では、日本人選手の得点力不足の原因はどこにあるのだろう?
 一般的な意見は、日本人選手はシュートを打つ回数がともかく少ない、というものだ。
 私が観戦してきたほとんどの試合でも、シュートのチャンスがある選手がシュートを打たず、クロスを上げたり、チームメートにショートパスを送ったりして、ゴールに迫らずチャンスを無駄にしてしまうことがしばしばあった。
 日本人選手は、シュートを打つのを怖れてはいけない。言い換えれば、シュートを外すことを怖れてはいけない。

 世界のトップクラスのストライカーをテレビで観てみると良い。シュートを外した時—完璧な選手などいないのだから、もちろん誰でもシュートを外すことはある—、彼らは次の機会でシュートを打つのをためらうだろうか?
 ためらいなどしない。彼らはミスなど気にしていないのだ。ミスはすぐに忘れて、次のチャンスにひたすら集中するのである。

 J1の得点ランキングを見ても、このことがよく分かるかもしれない。
 現在のところエンルソンが得点ランキングのトップで、11ゴール(40シュート)。ロドリゴ・グラウが8ゴール(29シュート)、ウェズレイが5ゴール(46シュート)でこれに続く。
 さらに、6人の選手が4ゴールを挙げている。小笠原、サンドロ、アラウージョ、マルケス、マグロン、大久保である。
 つまり、ランキングのトップ9のうちの7人までもがブラジル人選手で、日本人はミッドフィルダーの小笠原と、下位を低迷するチームでプレーしている大久保の2人だけなのだ。
 他の日本人選手たちも上記の2人を見習い、ゴール前でもっと責任を負ってもらいたいものだ。

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最下位だけは避けたい各チーム

2004/05/09(日)

今シーズン、J1の最下位争いはこれまでとまったく違ったものになるだろう。
2005年度からJ1が16チーム制から18チーム制に移行されることに伴い、J1下位の2チームがJ2に降格するというこれまでの方式のかわりに、新しい方式が必要となっている。
今シーズンは、現在のJ1のうち最下位のチームのみが降格の危機にさらされる。とは言え、J2の3位チームとのプレーオフに敗れたら降格という事である。J2の上位2チームはこれまでどおり自動的にJ1に昇格する。

J1のいくつかのチームはこの新しい方式の採用に安堵のため息をつくだろう。
特に先シーズン終了とともにJ1に昇格した2チーム、アルビレックス新潟とサンフレッチェ広島はそうだろう。
要は最下位を避ければ良いので、彼らにとってJ2からJ1にアジャストする多少の余裕ができる。
もちろん彼らの狙うところはもっと上位である。しかし両チームとも今シーズン8節を終了してわずか1勝しかできていない。
サンフレッチェは1勝4分けで勝点7、そしてアルビレックスは1勝3分けで勝点6である。

現在最下位は6敗を喫しているセレッソ大阪で、勝ち点はわずか4である。
元旦の国立競技場でジュビロ磐田に敗れはしたが、昨年のセレッソは天皇杯の決勝まで駒を進め、楽観的な気分でシーズンを終えた。
しかしその後度重なる監督後退の結果、水曜日にはホームでサンフレッチェに1−2で敗れ絶不調である。

苦戦を強いられているもう一つのチームが柏レイソルである。
彼らはきっと今シーズンは良いだろうと私は思っていた。若手とベテランのバランスも良く、さらに才能溢れるブラジル人トリオ、特に昨年11〜12月にUAEで開催されたFIFAワールドユース選手権のスター、ドゥドゥがいる。
しかし最初の2試合に勝利した後に得た勝点はわずかに1ポイント、さらに水曜日のホームゲーム、対ガンバ大阪戦に0−2で敗れた。
ジュビロ磐田が2位との勝点差を7に広げた今、最下位争いが今後の焦点になってくるかもしれない。

*このコラム(原文)は5月8日に書かれたものです

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他チームに希望を与えたエスパルス

2004/05/06(木)

「ダービー・デー」の勝敗は、調子の良し悪しで決まるものではない。
 このことが実証されたのが、日曜日にエコパスタジアムで行なわれた、清水エスパルス対ジュビロ磐田の静岡ダービーであった。
 シーズン当初から控えめに言っても惨憺たるチーム状態であった、清水エスパルスがジュビロ磐田を破るなんて、誰が想像しただろう?
 さらに、J1でのジュビロの連勝記録が6で終わり、しかも連勝を止める相手が不調に喘いでいた同県のライバルだとは、一体誰が想像しただろう?

 まさしく、調子の良し悪しは関係なく、試合は太田が60分にこの試合唯一のゴールを決めて、勝敗が決した。
 左利きのゲームメーカー、アラウージョからのパスを受けた太田は右サイドから切り込み、ジュビロの2人のディフェンダーを背後に置き去りにしてシュートをゴールの上部に突き刺した。
 トップチームでの初ゴールが、このような時に訪れるとは!

 エスパルスが勝ったというニュース、いや、ジュビロが負けたというニュースを聞いて、ジュビロを追いかける各チームはやる気をかき立てられたに違いない。
 それまでジュビロは開幕から6試合で満点の勝ち点18を挙げていて、競馬にたとえれば、ファーストステージの優勝レースは半分も過ぎていないのに、レースを走っているのは1頭だけという状態になりつつあった。…その馬が、水色と白のジャージを着ていたわけだが。

 しかし、現在では、ジェフユナイテッドと横浜F・マリノスが勝ち点4の差でなんとか食い下がっており、まだ8試合を残している状況だ。
 マリノスはアウェーでFC東京に2−0で完勝。中澤や松田、ドゥトラ、久保といった中心選手をさまざまな理由で欠いた上での勝利であった。

 日曜日の夜、ホームに柏レイソルを迎えたジェフは、ジュビロとの差をなんとか勝ち点2に縮めておきたいところであった。
 しかし、千葉もやはり「ダービー・デー」であり、レイソルはプライドをかけて戦い、勝ち点を得た。試合はホームチームにとっては不満の残る1−1の引き分けという結果になり、ジュビロとの勝ち点の差は4となった。
 最近のジェフにとってはおなじみの成り行きであった。いつも絶好の位置にいるのに、本当に必要なときにほんの少しの差を詰められないのだ。

 ジェフとマリノスに続くのは、勝ち点11の4チーム。ジュビロとの勝ち点の差は7あるが、まだまだ優勝を狙える位置である。
 これらのチームは、ジュビロの取りこぼしは今後も起りえることであり、その時ジュビロのミスにつけ込むのは自分たちだ、とひたすら信じなければならない。
 エスパルスは、あらゆるチームに希望を与えた。なにが起っても不思議ではない、「ダービー・デー」での勝利であっても。

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ブラッターは本気!?

2004/05/02(日)

あるドイツ人スポーツジャーナリストがかつて、セップ・ブラッターFIFA会長は毎日50もの新しいアイデアを考え、そしてそのうち51はろくなものでないと言っていた。
先日ブラッター氏が引き分けを廃止すべきだと言っているという記事を読んだ時、私はその言葉をふと思い出した。
全ての競技には勝者と敗者が必要であり、なぜサッカーがそれと異ならなければならないのだとブラッター氏はコメントしていた。
90分を経過した時点でスコアが同点の場合、PK戦で決着をつけるべきであるとFIFA会長は付け加えた。
皆さんはどう思われますか?
いかなる競技においても、勝者と敗者は必要だと思われますか?

そのブラッター氏の新しいアイデアを読んだ時、私は正直驚いてしまった。何故なら、私は引き分けもサッカーには必要不可欠であると思っていたからである。
Jリーグでも数シーズンに渡り、延長サドンデス方式とPKによって試合を決着させ、引き分けを許していなかった時期があった。
最初にPKが廃止され、つづいて延長戦が廃止された。現在Jリーグは世界の主流派同様、90分で引き分けた場合、両者に勝ち点1を与えている。

個人的には引き分けだって勝利と等しくエキサイティングであり、そして重要だと思う。
93年のドーハでの日本対イラク戦、2−2の引き分けはドラマティックで特筆すべき結果ではなかっただろうか?
国内に目を向けてみても、昨シーズン終わりの浦和レッズ対鹿島アントラーズ戦、2−2の引き分けは重要な結果だったのではないだろうか?
そしてまた、ジュビロ磐田はその同じ日の対横浜M戦を、どれだけ1−1の引き分けのまま終わることを願っていただろうか?
引き分けで終えていれば、ジュビロは第2ステージを制覇していた。しかし久保のヘッドがそれを打ち砕いた。

カップ戦ではどうしても勝者が必要になる。だから延長戦を行い、ゴールデンゴール、シルバーゴール、そしてPKで決着をつける。しかし、FIFAはゴールデンゴール、シルバーゴールを廃止し、30分の延長戦を行い、それでも決着のつかない場合はPK戦を行うことになる。
ブラッター氏の案が真剣でないことを祈ろう。さもなければ、ますます守備重視でPK戦を狙ったプレーがサッカー界にはびこるようになってしまう。

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