藤田は日本代表にとっての模範
ジュビロ磐田を嫌う人もいれば、応援する人もいる。その中で、誰からも好かれる選手が一人いる。
水曜夜のシンガポールで日本を救った藤田俊哉、その人である。
熱帯気候の中、疲れを見せる日本代表を見てジーコ監督は67分に中村俊輔に代えて藤田をピッチに送り込んだ。
スコアは苦しい1−1のタイ、63分にホームチームが同点に追いついたところだった。
藤田が日本代表に活気を与えた。
もう一人途中から出場した鈴木隆行の右ウィングでの素晴らしいプレーから、70分に藤田がファーポストから左足で放ったシュートは横へそれてしまった。ここは得点を挙げておくべきであった。
日本代表は必死だった。引き分けなど屈辱以外の何物でもなかったし、ムシムシと蒸し暑い夜、盛大な歓声を送っているファンに対しても申し訳ない事だった。
82分、しかしここで藤田俊哉がやってくれた。中田の左コーナーキックをゴールキーパーが弾いたルーズボールをゴールネットに叩き込んだのである。
その直後のシーンは彼のゴールへの執念以上に私を感心させた。
彼はタッチラインへ走り、歓声を上げる日本のファンに向かってこぶしを宙へ突き上げて見せ、控え選手の腕の中に飛び込んだ。
こうでなくては!
これこそ32歳のベテラン藤田の情熱と誇りの表れである。ゴールは彼にとっても、またチームにとっても大きなものであったし、彼の行動がそれを示している。
試合後、私はジーコ監督に藤田の姿勢について尋ねた、しかし彼はカンカンに怒りながら答えた。
「こういうものをもっと他の選手にも期待していたんだ。ピッチ上にいなくてもね。チャンスがあるのだから、何ができるのか見せないと」とジーコ監督は語った。
中田の評価はさらにはっきりしたものだった。
彼は英語で、藤田の経験から他の選手はもっと学べるはずだと言った。
「僕にはこのチームから真の意気込みというものを感じられないのです。いつも親善試合を戦っているようで、真剣勝負に見えない。僕には理解できません。精神的な物だと思います」と中田は言った。
選手達への批判。そしてヨーロッパ組へ、代表の座が脅かされているとの警告。これこそまさにジーコ監督が答えなくてはならない事だ。
同時にコーチたちも、シンガポールに日本への勝利をチラッとでも思わせるような試合中の選手達の怠慢なプレー、不用意なプレーに対して大声で注意を与えるべきであった。
ジュビロファン達が藤田俊哉を敬愛するはずだ。
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