高木義成、代表GKコーチにアピール
土曜日、味の素スタジアムでのヴェルディ対サンフレッチェの試合。終わってみれば、「マン・オブ・ザ・マッチ」賞の候補は1人しかいなかった。
ゴールキーパーの高木義成がその選手で、まったくミスのないプレーでゴールを守り抜き、チームの0−0のドローに貢献した。
高木にしてみれば、賞をもらって喜んでいる場合ではなかった。フィールド・プレーヤーが待望久しい初勝利に貢献して「マン・オブ・ザ・マッチ」賞を獲得したほうが良かったのだろうが、その日のヴェルディは長いあいだ守備に専念しなければならなかった。
というわけで、論理的には高木しか選択の余地はなかった。後半の高木はアクロバティックで俊敏なセーブを次々と披露し、サンフレッチェにつけ入る隙を与えなかったからだ。
ローカールームでの高木は怒り心頭だったが、少しだけ慰めになるかもしれないこともあった。ジーコのチームのゴールキーパー・コーチであるカンタレリと、アシスタントを務めるジーコの実兄エドゥーが記者席で観戦していたのである。
これからたくさんの試合が予定されているオリンピック代表は3つのオーバーエージ枠の1つをキーパーに振り分けることになるだろうし、日本代表も今後数ヶ月はオリンピック代表を見据えて編成を組まなければならない。高木のヒロイックな活躍はきっとカンタレリの目に止まったことだろう。
高木はキーパーにしてはがっしりとした体格をしている。身長185cm、体重は86kg。年齢もキーパーとしてはまだ若いほうで、現在24歳。来月25歳になる。ヴェルディでのリーグ戦出場は53試合だ。
ヴェルディ入団当初から高木の実力を認めていたのは、かつてのキャプテン、北沢豪である。
2003年のシーズン開幕前、私はキーちゃんに、1993年のJリーグ発足から10年間のベスト・イレブンを選んでほしいと依頼した。
ベスト・イレブンには外国人選手も3人まで入れていいことにした。
キーちゃんが最初に選んだゴールキーパーの名前を聞いて、私は仰天した。高木だったのだ!
ただし、キーちゃんはしばらく考えた後、高木のJリーグでの経歴は他の多くのキーパーに比べて短すぎると判断し、ゴールキーパーを川口にした。
その時から、私は高木のプレーをじっくり見るように心がけてきた。そして、キーちゃんが高木を評価した理由がわかるようになった。
ヴェルディのファンもよくわかっていて、サンフレッチェ戦の終了直後から「義成コール」が沸き起こった。
高木と同じく、おそらくファンもフィールド・プレーヤーに「マン・オブ・ザ・マッチ」賞を受賞してもらいたかったのだろう、とは思うけれど。
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