5児の父・エムボマから森本へのアドバイス
東京ヴェルディ1969のメンバーとして、今シーズンのJリーグで衝撃的なデビューを果たして以来、15歳のストライカー、森本貴幸には「日本のロナウド」という呼び名がすっかり定着しているようだ。
その坊主頭と骨太の長身、素早いステップを刻む走法により、森本はロナウドを若く、スリムにしたように見える。
プレー・スタイルもちょっぴりロナウドに似ている。ただし、ロナウドならヴェルディでこれまで出場した3試合で5点か6点はとっているだろう。
私が、プレーする森本をいわゆる「生」で初めて見たのは、土曜日、味の素スタジアムでのFC東京戦であった。
ほとんどの人と同じように、私もすっかり気に入ってしまった。
ロナウドのように強靱で、速い。ロナウドのように素早い足の動きで相手ディフェンスを簡単に抜き去ることができる。それに、ロナウドのようにゴールの位置を常に認識している。
ただし、ロナウドと違って、森本のシュートはセーブされてしまった。もちろん、森本を批判しているわけではない。彼は恐ろしく高い可能性を秘めたティーンエイジャーである。ただ、「フェノメノ(怪物)」と呼ばれているロナウドの、その真に驚異的な才能も強調しておきたいのである。
土曜日のゲームのあと、私は森本ではなく、森本のパートナーで、もっと経験豊かなストライカーである、33歳で5児の父、パトリック・エムボマとおしゃべりをした。
森本が生まれた時、パトリックはすでに17歳であったが、アフリカや世界のサッカー界で敬愛される存在となっているにもかかわらず、今も遠い異国で現役を続けている。
「みんなと同じように、森本は良い選手だと思うけど、少しプレッシャーを感じているようにも見えるね。だって、みんなが彼のことを話しているんだもの」とエムボマ。
「彼には、今の状況には注意しろと言っているんだ。」
「デビューして間もない時期に良いプレーをすると、みんなが、最高だとか、素晴らしいとか言う。それで、いつも集中している状態になり、試合でも、練習でも一生懸命になり、毎日何かを学ぼうとする」
森本は70分過ぎに交代し、ヴェルディは2−3で敗れたものの、このティーンエイジャーは試合終了後も注目の的であった。
かつてのアフリカ最優秀選手であるエムボマは、味の素スタジアムのロビーの人込みの中でも常に目立つ存在である。
「森本には、新聞を読むなと言ってるんだ。新聞は、いつも厄介なものだからね」とエムボマは言う。
「良いプレーをして、みんなが誉めてくれるのなら、問題はない。しかし、その反対になれば、自分の心の中で疑問を抱くようになる。
「彼にとって大切なことは、周囲の雑音は忘れて、ピッチのなかで全力を出せるようにすることだけだよ」
土曜日、ヒザの手術後を受けたエムボマは今シーズン初出場を果たし、週の終わりには奥さんが5番目の子供を出産した。女の子で、名前はケイナだそうだ。
「ヘブライ後で反逆者という意味だ。…日本には、反逆者はあまりいないからね」エムボマは、笑いながらそう説明した。
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