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優先選択権は山本にあり

2004/03/25(木)

 日本のアテネオリンピック出場がようやく決まり、日本サッカー協会(JFA)もそろそろ選手選考方針について本格的な議論を進めなければならない時期に来た。
 オリンピックのサッカー競技は8月11日、アテネでの開会式の2日前に開始される。
 そのわずか4日前の8月7日には、アジアカップの決勝戦が北京で開催される。 日本は、フィリップ・トルシエ指揮の下、レバノンで4年前に奪取した王座を防衛する立場にあり、言うまでもなく、JAFは決勝まで進むものとして計画を立てておかなければならない。

 ジーコは、中国に遠征する代表チームに大久保や石川、茂庭、闘莉王、田中、その他の選手たちを選ぶのだろうか?
 山本昌邦は、アテネに行く23歳以下代表に加えることのできる、3つのオーバーエイジ枠に誰を選ぶのだろうか?
 これらの問題は、日本代表がシンガポールから帰国すれば、ジーコと山本、それからJFAの田嶋幸三協会技術委員長の間で議論されるべきことである。
 ただし、次のような方式なら、みんなが満足するかもしれない。

1)オリンピックの参加年齢制限を満たしているあらゆる選手に関しては、山本に選択権があるものとする。
 突き詰めれば、高原、柳沢、鈴木、久保、本山がいるのに、なぜジーコに大久保が必要なのか? 中澤、坪井、宮本がいるのに、なぜジーコに茂庭が必要なのか?

2)オリンピック参加年齢制限を満たしていないあらゆる選手に関しては、ジーコに選択権があるものとする。
 つまり、ジーコは海外組全員を招集し、数多くいるJリーグの選手を選ばないこともできる。オリンピック参加資格がある選手を選んで、ずっとベンチに置いておく必要もないのである。

3)山本は、ジーコにとって必要不可欠でない選手であれば、24歳以上であっても選ぶことができるものとする。
 たとえば、楢崎がトップのゴールキーパーであれば、曽ケ端か土肥の2人のうちどちらかを選び、選ばれた方がアジアカップではバックアップのゴールキーパーとなる。

 この戦略は、ほとんどの国では、おかしなものに思えるだろう。代表チームがオリンピック代表に優先するのが当たり前だからだ。
 しかし、日本ではオリンピックは特別なものであり、オリンピックのサッカー競技は、実際、他のどの国よりも高い注目を集めている。
 バーレーン、レバノン、UAEと日本で戦った先日の最終予選でも、埼玉スタジアムと国立競技場には合計16万人もの観客が押し寄せた。
 世界のどの国でも、オリンピックの予選がこんなに大勢の観客を集めることはないだろう。

 アジアカップとオリンピックの両方に出場するのは、明らかに無理である。両方の代表監督が事前に合宿を行うし、調整試合もあるからだ。
 しかし、山本には、大久保、茂庭、石川らを含め、23歳以下のレベルでは最高の選手を選ぶ権利がある。
 もし大久保に、異常な暑さゆえに「火炉」と呼ばれる重慶でのアジアカップを戦うか、アテネのオリンピックに行くか、どちらを選ぶかと訊ねれば、大久保はきっとオリンピックを選ぶだろう。

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