柏レイソル、満開近し
『ちばぎんカップ』は、日本でもっとも注目度の高いプレシーズンマッチの1つとなった。
10回目を迎えた柏レイソル対ジェフユナイテッド市原の千葉ダービーは、日曜日の午後、日立柏サッカー場で行われ、ホームの柏が3−0で完勝した。その結果、大会の通算成績は柏レイソルの8勝2敗となった。
レイソルのプレーは、とても印象的だった。好調そうで、やる気に満ちていて、何人かの若い選手は自分のスタイルを確立しつつあり、順調に成長して素質の開花も間近であると感じられた。
そうした若手選手の代表は、ともに20歳である、バックラインの永田と近藤、そしてベテランの下平と並んで中盤の中央でプレーした19歳の大谷であった。
また、ともに19歳である、ストライカーの矢野とミッドフィルダーの谷澤、21歳のディフェンダー中澤も、途中出場を果たした。
レイソルのプレーには、最近の数シーズンにはなかった活気と自信が見られ、ジェフのプレーが緩慢で、混乱しているように見えるほどであった。
コンディションは厳しいもので、ピッチは硬く、風が渦巻いていたが、ジェフの攻撃にはあまり見るべきものはなかった。
韓国の鷲、崔龍洙(チェ・ヨンス)が抜けたため、攻撃の基点ができず、空中戦でも怖さがない。クレバーで、経験も豊富なマルキーニョスといえども、ジェフのシステムに順応できるようになるには、まだまだ時間がかかりそうである。
レイソルの新監督である池谷は、この試合への準備がよくできていた。
池谷は、明神を中盤の右サイド、当たりが強くて、信頼のおける渡辺(毅)の前に置き、ジェフにとってきわめて重要な、左サイドでの村井の突破を防ごうとした。
この戦術は期待通りの効果を発揮し、村井は試合のほとんどの時間で力を出せず、79分で交代してしまった。あまりにも簡単に奪われすぎたし、サイドで魔法をかけるためのスペースをまったく見つけることができなかったのである。まだ、調整は十分とは言えず、今後数週間で村井の仕上がり具合も大幅に良化することだろう。
一方のレイソルは、今すぐシーズンが開幕してもよいというような仕上がり具合であった。前線では山下が新たな発見であり、彼と玉田―天性の非凡な才能がはっきり見てとれる左利きのストライカー―とのコンビネーションは、今シーズン日本中のディフェンダーをきりきり舞いさせることだろう。
楽しみな大会にジェフのファンも大挙駆けつけており、一方のゴールの後ろには、レイソルカラーの黄色と黒のイエローモンキーが控えており、もう一方の側には明るい黄色と緑、赤のアウェーのサポーターが控えているという図式であった。
しかし、『第10回ちばぎんカップ』を良き思い出とするのは、レイソル・ファンだけなのだろう。
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