横浜F・マリノスは、アジア・サッカー連盟(AFC)のチャンピオンズリーグ制覇に向けて順調にスタートした。
2週間前にベトナムでビンディンを3−0で破ったあと、若い選手で構成された岡田武史のチームが、グループGの2戦目である、火曜日の夜の三ツ沢でのペルシク・ケディリ戦に4−0で快勝した。 マリノス・チームは、昨年Jリーグの王者となったチームとはまったく別のチームのようであった。というのも、年長の選手たちのほとんどが、A3・NISSANチャンピオンズカップのため上海にいるからだ。
両チームの選手たちがピッチに向かう前、私はロビーをうろつき、選手たちのムード、モチベーションをすぐ近くから観察した。
最初、私はマリノスの選手たちをボール・ボーイだと思っていた。FIFAのフェアプレー・フラッグを持って行進するのを待っているのだと。
だが、そうではなかった。彼らがマリノス・チームだったのである。インドネシアから来た相手チームは、間違った大会に来てしまい、ユース大会でプレーするのかと思ったに違いない。
寒い夜であったが、3,500人以上のファンが観戦していた。しかも、ファンの多くはキックオフの2時間ほど前から整然と列を作っていた。
日本のファンの規律正しさと忍耐強さには、私はいつも感動する。なぜなら、イングランドでは、誰もがキックオフの10分前までパブにいて、それからスタジアムに向かって猛烈な勢いでダッシュするのである。その際、もっとも大切なことはまずトイレを見つけること。さらに、キックオフまでに用をすませ、ハーフタイムまでに2度目のトイレ訪問の必要がないように祈ることである。
この戦術の唯一の問題点は、たとえば2万人いるスタジアムでは、1万9,000人が同じことを考えている点にある。その結果、苦肉の策が必要になることもしばしばある。苦肉の策がどのようなものであるかについては、敢えてここでは言及せず、みなさんの想像力に委ねることにしよう。
健全な話題に戻り、緑に囲まれた三ツ沢の話しをしよう。
岡チャンの望みは、AFCチャンピオンズリーグ制覇である。そうなれば、FIFAが2005年12月に日本での開催を検討している世界クラブ選手権に、マリノスはアジア代表として出場することができる。
しかし、クアラルンプールのAFCの声明によれば、2004年あるいは2005年のAFCチャンピオンズリーグ優勝チームがアジア代表となり、ヨーロッパや南米、アフリカ、CONCACAF (北中米カリブ海サッカー連盟)、オセアニアの代表チームと戦うかどうかは未定であるらしい。
この声明が意味するのは、ホスト国のクラブが予定されている参加6クラブに入らないというような事態もありえるし、そうなればファンの関心が大きく落ち込むということである。
ともかく、マリノスとジュビロにはなんとかして今年のAFCチャンピオンズリーグに優勝してもらい、レアル・マドリードあるいはマンチェスター・ユナイテッドとのゲームを実現させて欲しいものである。