ヴェルディの投資に応えたエムボマ
東京ヴェルディ1969がパトリック・エムボマと契約するのは大きなリスクだと感じていたJリーグファンは手を挙げて欲しい。
そう、私もその一人である。
今シーズン初め、エムボマが日本に帰ってくるというニュースを聞いた時、私は少なからず驚いた事を白状しよう。
ここ数シーズンパルマで、そして短期間ではあったがサンダーランドでそれほどプレーしていなかったし、32歳の彼がヴェルディのためにシーズンを通して働けるのか疑問だったからだ。
しかし、ヴェルディとエムボマは私を含めそうした疑問を持った人たちが間違っていた事を証明してみせた。
今週末、セカンドステージ第12節を前に、ヴェルディは11試合で勝ち点20をあげ首位に立っている。そしてエムボマは19試合に出場、13得点をあげチームの得点王だ。
ジュビロのロドリゴ・グラウが首位に立つ得点ランキングでは6位。グラウはエムボマより多い25試合出場で17得点と、その差はわずかに4ゴールだ。
ガンバ大阪に在籍していた1997年の28試合で25得点という記録には届かないものの、カメルーンのスター、エムボマはこの結果には満足できるだろう。
ヴェルディはと言えば、もちろん得点力だけで彼と契約したわけではない。
ヴェルディグリーンをまとい素晴らしい働きをしたエジムンドに代わる、経験豊富で精神的支柱となれるリーダーが必要だったのだ。
金曜朝、読売ランドでのヴェルディの練習を見ていたが、なぜエムボマがヴェルディにとって重要なのかよく分かった。
彼はとにかくサッカーに夢中だ。そしてこれが同じサッカー文化の中で育ってこなかった彼のチームメートにも伝わっているに違いない。
通常のグランドの1/4のサイズで行う練習試合でさえも、エムボマのゴールに対する喜びは一見の価値がある。
ボールがゴールに吸い込まれネットに当たる音がした後、エムボマはワールドカップで得点を挙げたかのように右手を空に突き上げ走ってみせたり、喜びのあまりグランドにパンチする仕草をする。
どちらのポーズも、見ていてとても楽しい。なぜなら、そこに彼のサッカーに対する、そして得点を挙げることに対する純粋な喜びを見出せるからだ。
私は彼に全シーズンを通して活躍できる体力があるとは思えなかった。そして、確かに彼は数試合欠場している。しかし、彼はこの契約が単にヴェルディのためと言うよりJリーグのために素晴らしいことだったという事を証明してみせた。
日曜日正午から午後1時にかけて、エムボマはチームを代表して「江戸開府400年記念イベント in たちかわ」に参加し、夕方にはかつてのチームメート、マルク・ビビアン・フォエの家族のためにリヨンで火曜日に行われる慈善試合に出場するためフランスへと向かう。
*本コラム(原文)は11月7日に書かれたものです。
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