トップリーグは、Jリーグのライバル?
Jリーグが、瞬く間に日本のスポーツ・シーンになくてはならない存在となったのは、誰もが認めるところだろう。
発足はほんの少し前の1993年であったが、リーグはしっかりとした基盤を築き、ほとんどのクラブはそれぞれの地域に溶け込んでいる。
だからといって、Jリーグの役員がふんぞりかえり、悠々と構え、将来の展望を考えてもいない、ということでもないようだ。
今週私が耳にしたところによると、先週の土曜日、フェアプレーと面白いゲームを呼びかけたマッチコミッショナーが少なくとも一人はいたらしい。新たに全国リーグを発足させたスポーツが他にあり、新たなファンの獲得を狙っているから、というのがその理由だったそうだ。
マッチコミッショナーが言及していたのはラグビー協会のことである。先週の土曜日、12チームが参加するラグビーの「トップリーグ」が東京・国立競技場で開幕したからだ。
マッチコミッショナーは試合前に両チームの代表者を同じ席に集めるのも仕事の1つだが、この時のマッチコミッショナーは、ミーティングの席上で、スポーツファンの土曜日、日曜日の午後の過ごし方にラグビー観戦という選択肢が増えたのだ、と述べたそうだ。
つまり、今後も観客が集まるようにするには、健全かつ公正で、楽しいショーを披露することがJリーグにとって大切である、ということらしい。
この話を聞いて、私はとても興味深いニュースだと思った。
これは、Jリーグがラグビーを恐れているということではなく、選手たちがもっと大きな視点を持ってゲームに臨まなければならないということなのである。
スポーツ記者として私は、イングランド、香港、日本でラグビーのニュースを伝えてきたし、ラグビーの魅力も知っている。
特に今年は、10月と11月にオーストラリアでラグビーのワールドカップが開催され、そして日本は、スコットランド、フランス、フィジー、米国と対戦する予定だ。
イングランドと香港では、それぞれの競技の観客層は完全に異なっている。
イングランドでは、ラグビーはアッパーミドルクラスのためにあり、サッカーは労働者のスポーツだった。
ラグビー・ファンは、サッカー・ファンはみんなフーリガンで野蛮人だと考えていて、サッカー・ファンには、ラグビー・ファンはお上品な家柄に育ったスノッブだと考えていた。
香港では、サッカーは地元の中国人のためにあり、ラグビーは英国、オーストラリア、ニュージーランドや他の国々から来た外国人のものだった。
おそらくJリーグにとっての大きな懸念は、1993年のJリーグ・ブームと同じように、2003年にラグビー・ブームがおこるかもしれないということだろう。
新たなラグビー・シーズンの開幕を告げる神戸製鋼対サントリーの試合に3万5000人の観客が詰めかけたという事実は、興味を抱いている人がそれだけいるといことであり、大学ラグビーの大人気から推し量っても、ラグビーにそれだけの集客力があったということだろう。
しかし、ラグビーのクラブはいまだに企業に所属しており、ホームタウンそのものとの結びつきはさほどではない。
この点については、Jリーグのやり方は見事で、クラブは企業の支援を受けるだけでなく、地域全体に貢献するものであると言い続けてきた。
Jリーグはラグビーをそれほど恐れる必要はないと私は思う。いろんなタイプのスポーツファンがいるのだから、二つのスポーツは両立できるはずである。
それでも、Jリーグが新たな挑戦者の存在を意識している様子は、なかなかに興味深い。
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