守備ではなく、攻撃で光る三都主
ジーコ監督と日本代表がここまでの親善試合で何を学んだのか、一口に言うのは難しいが、ある1点については明白である。
その1点とは、三都主アレサンドロはディフェンダーではなく、ジーコ監督の4バックシステムの左サイドバックをやらせるべきでないという事である。
三都主の左サイドバック起用はジーコ監督の思い切った大胆な決断ではあるが、私にはそれが的確な起用であるとはどうしても思えない。
理由は明らかである。彼は攻撃の選手であって、守備の選手ではないという事だ。
コンフェデレーションズ杯で表面化した問題点は未だ解消されていない。そしてそれはワールドカップ予選で日本代表に重くのしかかってくる可能性が高い。
例えば、スタッド・ドゥ・フランスで行われた対ニュージーランド戦、試合が始まってまもなく、特に危ない状況でもなかったのに三都主はまずいファールでイエローカードを受けた。前半その後、ニュージーランドペナルティエリア内でのあからさまなダイビングで、三都主が退場となるはずの2枚目のイエローカードを受けなかったのはラッキーとしか言えない。
わずか1点のリードでチームが10人になってしまっていたら、試合結果がどう違ったか考えてみると良い。
対コロンビア戦では、三都主は自陣ゴール上にヘディングでボールをクロスさせるという中学生並みのミスをした。これはGK楢崎の素晴らしいブロッキングにより、コロンビアに先制を許す事を免れた。
今週、新潟で三都主は経験不足からくる不注意なヘディングでセネガルにコーナーキックを与えてしまうという同じ間違いを再び犯した。これは、セネガルがまったく同じ状況でゲーム唯一の得点を挙げた直後の事であった。
常に上がり気味で、後方にスペースを空けてしまいがちな彼のポジショニングと、彼のヘディングの弱さは、ディフェンダーの一番の仕事は守ることであるということを考えると、このポジションに彼が適していないという表れである。
仮に日本が3−5−2システムを適用するのであれば、三都主の攻撃能力、速さ、そしてトリッキーさは中盤の左サイドにあって有効である。さらに、彼のディフェンスの甘さも守備的MFがカバーしてくれるし、その後方にはまだ3人のバックが控えているため、チームにそれほどの打撃は与えない。
それでも私は、三都主は日本代表に必要だと思う。ただし、控えかもしれないが左ウィングとしてである。現状では左バックとしては的確ではない。
ジーコ監督のこの起用はワールドカップ予選早々の弱いアジア諸国相手ならば、何とか切り抜けられるだろう。しかし、新潟でのセネガルのアンリ・カマラのような強い相手にはトラブルを自ら招くようなものである。
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