« 湧き上がる興奮、だけど・・・ | トップページ | 欧州組を外してのテスト »

あまりに性急だった、グランパスのベルデニック解任

2003/08/07(木)

 名古屋グランパスエイトが、土曜日のファーストステージ最終節終了後に監督のズデンコ・ベルデニックを解任したというニュースを聞いて、私はショックを受け、少なからぬ怒りを覚えた。
 ベルデニックの名古屋での仕事ぶりは堅実で、素晴らしく、グランパスをJリーグの強豪チームにするためには何が必要であるかをよくわかっている、と感じていたからだ。
 ファーストステージ終了まで残り2試合となった時点で、グランパスには、わずかながらも優勝のチャンスが残されていた。
 グランパスはトップリーグで無敗を続けていた唯一のチームであり、ファーストステージの13試合を終えた時点での成績は5勝8引き分けであった。
 しかし、最後の2試合、ホームでの東京ヴェルディ戦とアウェーのセレッソ大阪戦を連敗したことで、最終的にグランパスの成績は順位表の中位という不満足なものとなり、ベルデニックには解任が告げられた。

 ベルデニックと最後に話をしたのは、5月18日、豊田スタジアムで行われたグランパス対ベガルタ戦のあとだった。
 その日の試合は、オーストラリア代表、イヴィツァ・ヴァスティッチの「お別れ試合」となり、ヴァスティッチは試合終了直前に見事なゴールを決め、感動とともに名古屋での選手生活を締めくくった。
 試合後、ベルデニックは、ヴァスティッチには残留して欲しかったが、ヴァスティッチの放出はトヨタ社の上層部が決めたことだ、と言った。
 彼の説明によれば、ヴァスティッチがうまくチームに溶け込んでくれたおかげでチームは好調だったそうだ。それに、代わりの選手も決まっていなかったらしい。結局、ヴァスティッチを戦力と考えてやってきたことがすべて無駄になり、未知の外国人選手を加えて新たに戦力を練り直さなければならない、というのがベルデニックの弁であった。

 また、ベルデニックは、戦う意志の見えなかった選手を何人かクビにし、どん欲に成功を望んでいる若手選手と入れ替えた、と述べた。
 ベルデニックは、ファーストステージはセカンドステージで優勝するための基礎作りの期間だと考えていた。
 シーズンは構想通りに進み、グランパスは守備のリーダー役のパナディッチを大森と古賀がサポートして、ゴールキーパーの楢崎の前に強固な壁を形成する、なかなか負けないチームとなった。
 グランパスがほんの2試合、引き分けではなく勝利していたら、最後の2週間はグランパスがトップの位置におり、F・マリノスやジュビロ、ジェフと優勝争いを繰りひろげていたことだろう。

 グランパスのフロントによるベルデニック解雇は、あまりに性急であったと思う。ベルデニックは名古屋の前にも市原で素晴らしい仕事をしてきた実績があるからだ。
 優勝する実力のあるチームを作り上げるには時間もお金もかかるものだが、名古屋は目標に向かって着実に進んでいた。
 グランパスがベルデニックと同じ元スロベニア代表監督、シュレチコ・カタネツに興味を示しているという噂は昨シーズンも聞いたが、ワールドカップのあと、カタネツはギリシャに移った。
 セカンドステージは8月16日に始まるが、グランパスは優勝を狙うどころか、またも「再出発」になりそうである。
 グランパスのファンは、もっと報われて然るべきである。

固定リンク | | コメント (0)

コメント

この記事へのコメントは終了しました。