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2003年8月

アルディレスが惚れ込む、小林の才能

2003/08/28(木)

 オジー・アルディレスは、一目でミッドフィルダーの才能を見分けることができる。
 今、アルディレスは、東京ヴェルディ1969で小林慶行という素晴らしい才能に出会ったと感じているようだ。
「彼があまりに素晴らしいのには驚きました」
 1978年のワールドカップで優勝したアルゼンチン代表チームのミッドフィルダー、アルディレスの言葉である。
「代表入りも間近でしょうね。他にも代表入りの候補はいるけど、ヨシ(小林のこと)が最有力でしょう」

 アルディレスは、6月に監督に就任して以来、かつて栄華を誇ったヴェルディの建て直しを進めてきた。
 Jリーグが発足した1993年と翌年の1994年に2年続けてチャンピオンシップを制した名門ヴェルディは、降格ゾーンから抜け出し、セカンドステージでは降格候補どころか優勝候補と見られるようにまでなった。
 小林は、劇的な変貌を遂げたチームの象徴でもある。
「私が就任した当初は、彼はプレーしていませんでした。ベンチにもいなかったので、どこかに移籍するのかと思っていました」とアルディレス。
「前の監督から批判を受け、起用もされなかったので、自分は用無しだとヨシは思ったのです。」
「これまで私が見た限りでは、ごく近いうちに代表入りを狙える選手になるでしょうね」
 小林の素晴らしい点を挙げてほしいと頼むと、アルディレスはこう答えた。
「パサーとして優秀ですし…知性的で…ポジショニングがいつも良く…空中戦が強くて…シュート力もありますね。一言で言えば、とても素晴らしい選手なのです」

 25歳の小林は、1999年に駒沢大学からヴェルディに入団し、J1での出場試合数は、日曜日の鹿島アントラーズ戦で92となった。
 ゴール数がわずかに3というのは明らかにこれから改善しなければならない点である。とりわけ、ワールドカップのカメルーン代表ストライカーである、パトリック・エムボマが、日曜日に傷めた右足の外転筋が原因となり長期の離脱を余儀なくされるようであれば、小林にとって得点能力の改善は緊急の課題となるかもしれない。
 アルディレスが指摘するように、小林はエレガントで、ボール扱いに秀でた、天性の素質を持つミッドフィルダーである。
 小林は、スペインに短期留学の経験もあるが、そのときもケガに悩まされた。
 しかし、今年予定されている国際試合のいくつかで、ジーコが中田英寿や中村俊輔、小野伸二、稲本潤一などの招集を断念するようなことがあれば、代表監督の注目が小林に向けられるときが来るかもしれない。

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日本サッカー協会はFIFAに抗議すべき

2003/08/25(月)

日本サッカー協会(以降、協会)がナイジェリアサッカー協会に対して、水曜日に東京で行われた親善試合に来日したスーパーイーグルスの質について抗議したのは、やむを得ない事であった。
いや、協会としては、こうした国際マッチを認定する組織であるFIFAにまで抗議すべきであったかもしれない。
FIFAのモットーは「サッカーの発展のため」である。しかしこうした事はサッカーのためには百害あって一利なしである。

おそらく協会は、ナイジェリアに対してかなりの出場料を来日に際して支払っているだろう。
ただし、それは彼らがそれなりのチームを派遣すると期待しての事である。
ところが実際に来日したチームは、経験も、チームとしてのまとまりさえもないもので、試合が始まるや否や闘う意志さえないことが明白だった。
ジーコ監督は7回目の挑戦でようやく初勝利をあげ喜んでいたが、私はこの試合には何の意味もなかったと思う。
もちろん、私はジーコ監督の初勝利に対してケチをつけるつもりはない。日本代表にできる事は、目前の相手を破る事だけだからだ。

それよりも協会が直面する問題は、来月新潟で対戦するセネガルと11月に大分で対戦するカメルーン、この2つのホームゲームである。
ナイジェリア同様、これら2ヶ国のトッププレーヤー達の多くは、ヨーロッパのトップリーグでプレーしている。
しかし、所属チームでリラックスしながら練習したり、ケガの治療に専念したり、そして次のリーグ戦に備えている時に、彼らが地球を半周してまで親善試合に来てくれるのだろうか?
コンフェデレーションカップでの失望の後、ジーコ監督にはナイジェリア戦に勝たねばならないというプレッシャーがあり、そのためにベストメンバーがどうしても必要だった。

「ジーコ監督は代表チームを前進させているのか、後退させているのか?」
水曜日の試合はこの疑問に答えるものではなかったが、試合結果はジーコ監督に一息いれる時間をもたらしたのは事実だ。
対戦相手の質の低さだけが目立った水曜日の試合は、ファンを馬鹿にしたものだったように思える。ナイジェリアはベンチを埋めるだけの選手を集める事さえできなかったし、韓国の主審もGKが柳沢をエリア外で止めた、本来退場となるべき明らかなハンドさえ見逃した。

せめて、次の親善試合2試合はマシな試合が見られることを祈ろう。

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ジーコ・ジャパンの今後を占う一戦

2003/08/21(木)

 ジーコが代表監督に就任してから1年以上経つというのに、未だにこのブラジル人監督が率いるチームのホーム初勝利が待ち望まれている状況である。
 しかし、東京・国立競技場で行われる、水曜日のナイジェリア戦は、不名誉な記録を終わらせる、願ってもないチャンスであり、おそらくは最大のチャンスとなるだろう。

 ナイジェリア代表チームはスーパー・イーグルスの異名で知られているが、今回の試合の準備状況にはスーパーなものは何も見当たらない。
 アーセナルのカヌ、エバートンのヨボ、そしてボルトン・ワンダラーズ所属で変幻自在のオコチャといったスターの名前は今回の代表メンバーにはなく、火曜日の夜に行われた国立競技場での練習に間に合うように到着したのは、ほんの12名に過ぎなかった。
 運営者によれば、火曜日の夜にさらに3名が東京に到着し、さらに試合当日の朝に4名がやって来る予定らしい。
 どう考えても、万全の準備とは言いがたい!

 対して、日本はどうか。
 不運な小野伸二を除けば、ジーコはトップクラスの選手を全て呼び戻しているので、日本は7戦目にしてホームでの初勝利をなんとしても勝ち取ろうと、ワールドカップに出場した経験豊かな選手を多数揃えてくるだろう。
 これまで日本代表は、ジーコが監督に就任してから、ホームではジャマイカ、ウルグアイ、パラグアイと引き分け、アルゼンチンと韓国に敗れている(アルゼンチンには2敗)。

 今週の初めに、私は宮本恒靖と話しをした。ちなみに、6月のコンフェデレーションズカップでは、日本は宮本のミスにより、グループリーグ突破をかけたサンテティエンヌでのコロンビア戦に1−0で敗れている。
 ツネ(宮本)は、サポーターもホームでは勝つものと期待しているだろうし、自分自身も「家族のため、ジーコのため」に勝ちたい、と述べた。
 ツネによると、合宿では勝利に向けて盛り上がっていたそうだ。
 「コロンビア戦のあとでも、雰囲気は良かったよ」とツネ。
 「たぶん、みんな良い試合をしたと感じていていたんだろうね。結果が良ければもっと良かったんだろうけど。フランスでは良い経験をしたけど、まずい、と思う瞬間もあった。ミスが出たときなんかそうだったね。僕のミスも含めて」

 準備状況はひどいものであっても、ナイジェリアを取るに足らない相手と考えてはいけない。なんといっても、国際舞台では最近、素晴らしい実績を残しているチームである。
 ナイジェリア・チームはいつも予想外のことをやってのける能力を持っているし、選手たちは真のサッカー文化のなかで育ってきている。ナイジェリアの選手の多くが外国でプレーしているのも、そういうバックグラウンドがあるからだ。彼らには、ヨーロッパで成功するだけの基本的なスキル、戦術知識、強靱な身体能力がそなわっているのである。
 だが、今回は日本が勝たなければならない試合であり、私は勝つものと思っている。

      *本コラム(原文)は8月19日に書かれたものです。

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勝利に飢えるジュビロ

2003/08/18(月)

横浜F・マリノスはジュビロの再現、すなわちリーグ完全制覇が難しい事にすぐ気づくだろう。
しかし、岡田武史監督率いるマリノスにそのチャンスがある事は疑うべくもない。

私は水曜夜に横浜で行われたナビスコカップ準々決勝、マリノス対ジュビロの第1戦を観に行ったのだが、ジュビロ磐田の熱意、組織、そして決意に感銘を受けた。
マリノスは出だしが遅く、前半にはこれといったチャンスも無かった。しかし、後半に入ってペースを掴み、同点にする決定的なチャンスがいくつかあったのだが、結果として1−0でのジュビロの勝利は妥当な結果だと思う。
アレクサンダー・ジヴコビッチの退場後、彼らは72分間を10人で闘い、西野泰正の素晴らしいゴールで得たリードを優れたディフェンスで守りきった。
このように、打倒マリノスに全チームが意欲を燃やす今、横浜にとってセカンドステージを勝ち抜くのはかなりタフになるであろうと思われる。

ファーストステージ2位のジュビロは、水曜夜の試合を見る限り、依然として勝利に飢えているようだった。ただ、セカンドステージでは藤田俊哉の抜けた穴は大きいだろう。
鹿島アントラーズもナビスコカップでグランパスを5−1で下し、そのセカンドステージにかける意気込みを見せたし、また、個人的には浦和レッズも良いのではないかと思う。
なぜかというとそれは、単にロシア人プレーヤー、ユーリ・ニキフォロフの加入だけでなく、ハンス・オフト監督が若い日本人選手を軸にしてチームを作ってきたからだ。
坪井、山瀬、長谷部、平沢、そして田中といった選手達がレッズにエネルギーと深さを与え、そして常にゴールを狙うエメルソンを擁し、セカンドステージ制覇のチャンスは高い。

一方、ファーストステージ3位のジェフ市原もまた、今やJリーグでの生活にも慣れたブラジル人FWサンドロがファーストステージ以上の働きをしたとしても、ファーストステージのようにはいかないだろう。
ファーストステージ4位のFC東京は失点が11と、確かに少ないのだが、得点が14では、真の挑戦者となるには得点力が低過ぎる。逆に、5位セレッソ大阪は失点が29と多いものの、得点力が29点と高くJ2降格から免れている。

セカンドステージを制覇するのはジュビロだろう。そして、プレーオフはマリノス対ジュビロ。そして人員不足ではあるが、日本が東アジア選手権を制するだろう。

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勝利しか見えない、ジーコ

2003/08/14(木)

 ヨーロッパのクラブが、8月20日に東京で行われるナイジェリアとの親善試合に、日本がわざわざ自分たちのクラブの選手を呼び戻したがるのを理解できないのは、当然である。
 しかしその一方で、ジーコが、どうしても彼らを呼び戻したい、というのも当然なのである。
 はっきり言えば、ジーコは勝って、一息つきたいのである。
 それに、ナイジェリアだけでなく、来月に控えるセネガル戦、11月のカメルーン戦と苦戦が続けば、ジーコの代表監督の座も危ういものとなるだろう。

 ジーコの代表監督1年目は、満足のゆくものではなかった。
 Jリーグにはオーソドックスなフルバックがほとんどいない状況であるのに、ジーコはシステムを3−5−2から4−4−2に変更しようとした。さらに、選手たちが自分で考えることを奨励した。そのような姿勢は、日本の一般の社会様式とはかけ離れたものであるのに、だ。
 上記の二つが主な原因となり、ジーコ・ジャパンは満足な成績を残すことができず、10試合でわずかに2勝したのみ。ホームでは未勝利が続いている。
 日本代表は、コンフェデレーションズカップではなんとしても準決勝に進むべきであった。せっかく緒戦のニュージーランド戦で楽勝したのに、戦力落ちのフランスに敗れ、最後は、日本にとって後々まで尾を引きそうな試合をして、前の世代のような才能、きらめきを持ち合わせていないコロンビア代表にも敗れてしまった。

 ジーコは、プレッシャーを感じている。
 最高の選手たちを呼び戻そうとするのも、そういう事情があるからだ。なんといっても、ヨーロッパでは新シーズンがすでに始まっていて、日本人選手たちは新たなチーム、新たな監督、新たなシステムに溶け込もうとしている最中なのである。
 8月20日はFIFAの国際Aマッチデーとなっているため、クラブには選手を送り出す以外に選択の余地は残されていない。他にも多くの試合がこの日に組まれているが、今回の日本人選手のように、きわめて短期の日程で、きわめて多くのタイムゾーンを通過する、きわめて長距離の旅が設定されている例はない。

 ドイツでは、すでにシーズンが開幕していて、高原はハンブルガーSVの先発メンバーに名を連ねている。イングランドのプレミアリーグは今週末に開幕で、稲本はイングランドでの3度目のシーズン、フルハムでの2度目のシーズンで地歩を固めようと必死だし、イタリアのセリエAは今月末に開幕を控え、レッジーナ(中村が所属するチーム)とサンプドリア(柳沢が所属するチーム)が対戦する。ただし、中田が2週間後にもパルマにいるかどうかはわからない。

 ジーコはすでに、ナイジェリア戦では高原と大久保をトップに使う予定で、コンフェデレーションズカップで感じた勢いをそのまま持続させたい、と発言している。
 ならば、なぜジーコが、ベンチに座っているだけのために、あるいは45分程度プレーするだけのために柳沢を呼んだのかが不可解である。その期間に柳沢はジェノアでトレーニングを積み、腰を落ち着けることだってできるのである。

 日本サッカー協会は、これからの3試合は来年2月に始まるワールドカップ予選の準備である、と言明している。協会は各クラブに対しても同じような説明を行い、クラブとの関係をできるかぎり円満に保とうと努めている。
 しかし本当の理由は、ジーコが何試合かで勝利し、代表チームが後退ではなく、前進しているというアピールをしなければならないということなのだろう。
 チームとしての規律より個人の能力に大きく依存するジーコの戦略を考えれば、最高の選手たちを呼び戻し、チームに活力を与えてもらおうとしているのだということがわかる。
 現状では、ジーコにとっては自身の将来のほうが、ヨーロッパの日本人選手たちの将来よりも明らかに重要なのである。

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欧州組を外してのテスト

2003/08/11(月)

さあ、またはじまるぞ!
コンフェデレーションズ・カップが終わり数週間の休息の後、来週再びナショナルチームにスポットライトがあたる。
月曜日には、ジーコ監督が8月20日に東京・国立競技場で行われるナイジェリアとの親善試合(キリンチャレンジカップ)の代表メンバーを発表する。
欧州組は開幕直前の強化に入っていたり、あるいはすでにリーグが開幕してしまっているため、ジーコ監督が彼ら全員を呼び戻す事は考えられない。
こうしたシーズンの大事な時期にあって、選手達には快適な環境の中でチームに専念し、なるべく早いうちに監督に好印象を与える事が重要だ。
この点について、ジーコ監督もすべてを熟知しており、中田英寿、小野伸二、稲本潤一、柳沢敦、中村俊輔、そして高原直泰といった選手達を何としても招集しようとは思わないだろう。
それにしても、まさにそうそうたる顔ぶれではないか。

仮に、ジーコ監督が代表をJリーグの選手達から選ぶとすれば、どこから始めるだろう?もちろんその筆頭は、ファーストステージの覇者、横浜F・マリノスである。
マリノスのGKコーチ、デイド・ハーフナーは、榎本達也が楢崎についでリーグNO.2のゴールキーパーであると言う。その彼が、曽ヶ端や土肥を抑えて代表のポジションを手に入れられるか見ものである。思うに、ジーコ監督はコンフェデ杯の時に怪我をしていた曽ヶ端を選ぶのではないだろうか。
ディフェンスでは松田が選ばれるはずだ。彼はJリーグにおける日本人プレーヤーのベストDFだと思う。そして、彼のチームメートである中沢も選ばれるかもしれない。
ミッドフィールドには、右サイド候補に佐藤由紀彦、そしてジーコ監督は経験ある奥を選ぶだろう。また、久保竜彦はFWとして選出されるだろう。

次にファーストステージ準優勝のジュビロだが、福西以外に何人が選ばれるのだろうか。個人的にはより高いレベルでプレーする前田を見てみたい。
3位のジェフ市原では、阿部勇樹がMF中央で有力だし、左ウィングの村井慎二も良いのではないか?

FC東京はリーグ1タフなディフェンスを誇る。中央に茂庭、そして左サイドの金沢にもチャンスがある。FC東京は4バックシステムを採用しており、それこそジーコ監督の望むものだ。金沢はまさにそのシステムにフィットしている。石川はコンフェデ杯では選に漏れたが、今回は選ばれるだろう。

コンフェデ杯代表選手でJリーグ在籍の選手の中からは、楢崎、小笠原、大久保、三都主、中田浩二、宮本、遠藤、坪井、山田、奥、そして永井は残るだろう。しかし、ディフェンスの名良橋、秋田、森岡、そして服部には少々疑問が残る。
この4人はジーコ監督が、山田、坪井、宮本、そして三都主の4人をディフェンスとしてプレーさせたため、3試合で1分もプレーしていない。
もしジーコ監督がJリーグ在籍の選手のみで対ナイジェリア戦の先発メンバーを選ぶなら、以下のようになるのではないだろうか。

GK:楢崎
DF:山田、宮本、松田、三都主
MF:佐藤、福西、中田浩二、小笠原
FW:大久保、久保

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あまりに性急だった、グランパスのベルデニック解任

2003/08/07(木)

 名古屋グランパスエイトが、土曜日のファーストステージ最終節終了後に監督のズデンコ・ベルデニックを解任したというニュースを聞いて、私はショックを受け、少なからぬ怒りを覚えた。
 ベルデニックの名古屋での仕事ぶりは堅実で、素晴らしく、グランパスをJリーグの強豪チームにするためには何が必要であるかをよくわかっている、と感じていたからだ。
 ファーストステージ終了まで残り2試合となった時点で、グランパスには、わずかながらも優勝のチャンスが残されていた。
 グランパスはトップリーグで無敗を続けていた唯一のチームであり、ファーストステージの13試合を終えた時点での成績は5勝8引き分けであった。
 しかし、最後の2試合、ホームでの東京ヴェルディ戦とアウェーのセレッソ大阪戦を連敗したことで、最終的にグランパスの成績は順位表の中位という不満足なものとなり、ベルデニックには解任が告げられた。

 ベルデニックと最後に話をしたのは、5月18日、豊田スタジアムで行われたグランパス対ベガルタ戦のあとだった。
 その日の試合は、オーストラリア代表、イヴィツァ・ヴァスティッチの「お別れ試合」となり、ヴァスティッチは試合終了直前に見事なゴールを決め、感動とともに名古屋での選手生活を締めくくった。
 試合後、ベルデニックは、ヴァスティッチには残留して欲しかったが、ヴァスティッチの放出はトヨタ社の上層部が決めたことだ、と言った。
 彼の説明によれば、ヴァスティッチがうまくチームに溶け込んでくれたおかげでチームは好調だったそうだ。それに、代わりの選手も決まっていなかったらしい。結局、ヴァスティッチを戦力と考えてやってきたことがすべて無駄になり、未知の外国人選手を加えて新たに戦力を練り直さなければならない、というのがベルデニックの弁であった。

 また、ベルデニックは、戦う意志の見えなかった選手を何人かクビにし、どん欲に成功を望んでいる若手選手と入れ替えた、と述べた。
 ベルデニックは、ファーストステージはセカンドステージで優勝するための基礎作りの期間だと考えていた。
 シーズンは構想通りに進み、グランパスは守備のリーダー役のパナディッチを大森と古賀がサポートして、ゴールキーパーの楢崎の前に強固な壁を形成する、なかなか負けないチームとなった。
 グランパスがほんの2試合、引き分けではなく勝利していたら、最後の2週間はグランパスがトップの位置におり、F・マリノスやジュビロ、ジェフと優勝争いを繰りひろげていたことだろう。

 グランパスのフロントによるベルデニック解雇は、あまりに性急であったと思う。ベルデニックは名古屋の前にも市原で素晴らしい仕事をしてきた実績があるからだ。
 優勝する実力のあるチームを作り上げるには時間もお金もかかるものだが、名古屋は目標に向かって着実に進んでいた。
 グランパスがベルデニックと同じ元スロベニア代表監督、シュレチコ・カタネツに興味を示しているという噂は昨シーズンも聞いたが、ワールドカップのあと、カタネツはギリシャに移った。
 セカンドステージは8月16日に始まるが、グランパスは優勝を狙うどころか、またも「再出発」になりそうである。
 グランパスのファンは、もっと報われて然るべきである。

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湧き上がる興奮、だけど・・・

2003/08/04(月)

2003年ファーストステージもいよいよ最大のヤマ場を迎えている。
今週末、最終戦の第15節を迎えるにあたって、横浜F・マリノス、ジュビロ磐田、そしてジェフ市原の3チームに優勝のチャンスがある。
1週間前には上記3チームに加え、名古屋グランパスエイト、鹿島アントラーズ、そしてFC東京の6チームにファーストステージ制覇のチャンスがあったわけだ。
このような接戦は多くの観衆を引き寄せる事ができるし、それは日本のサッカーにとって喜ばしいことだ。
ただし、興奮に沸き立つことと公平なチャンピオンシップは別物である。
私はかねてから2試合のプレーオフ(チャンピオンシップ大会)を伴う2ステージ制には賛同できなかった。なぜならシーズンを終わって年間のベストチーム、最もコンシスタントであったチームが優勝することが少なかったように思うからだ。
リーグチャンピオンとはシーズンを通して最もコンシスタントだったチームに送られるべきだと思う。

先週土曜日、私は清水エスパルス対ジェフ市原の試合を観に日本平スタジアムへ行った。もし、その試合にジェフが勝ち、マリノスとジュビロの両チームが負けていれば1試合を残してジェフのファーストステージ優勝が決まっていた。
この事については試合前に日本人の同僚とも話したのだが、2ステージ制に対する反証として以下のようなシナリオを思い付いた。
仮にジェフが先週末にファーストステージ優勝を決めていたとしよう。その時点で12月に行われるセカンドステージ優勝チームとのプレーオフ(チャンピオンシップ大会)への出場が決定する。すなわち、J2降格の危機もなくリーグ優勝か準優勝が約束されるわけだ。
論理上は、ジェフはファーストステージ最終戦とセカンドステージ15試合、さらにはプレーオフの緒戦と、その全てに負けたとしても12月13日のプレーオフ第2戦に勝ってリーグ優勝を果たす事ができることになる。
という事は、ジェフはたとえ17連敗をしたとしても、日本で最強のチームとしてJリーグチャンピオンになれるというわけだ。
これでいいのだろうか?
これで公明正大と言えるのだろうか?
こんなことは世界のどこでも起こりうる事なのだろうか?

もちろん私の言っているのは極論であるし、先に述べたような事は実際にはまず起こらないだろう。
しかしポイントは、こうした事が起こり得るということなのだ。12月13日のプレーオフ第2戦まで、8月から11月の4ヶ月間勝っていないチームがリーグチャンピオンとなり得る。
現状でもそれなりに興奮をかきたてられるとは言っても、私が2ステージ制に感じる根本的な欠陥とはそこなのである。
Jリーグはこれまで延長戦の廃止、ゴールデンゴール方式の廃止、そして4人目の交代枠の廃止と、大きな改革をしてきた。そして今では試合は90分で終了するようになった。
次の思い切った改革は2ステージ制を改めるという事だろう。
ファンも興奮も必ずついてくるだろう。
必ずである。

*このコラム(原文)は、8月1日に書かれたものです。

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