カフーなんて、知らない
横浜F・マリノスのファンは、ブラジル人ディフェンダー、カフーの新しいスペルを発見した。
現在、マリノス・ファンは、カフー(Cafu)を“Caf-Who”と綴っているそうだ。
そう、これは英語のジョークで、言葉遊びの類いだが、私なりにこのジョークを翻訳してみよう。
意味は明白で、カフーがF・マリノス入団を拒否したおかげで、現在アジアで有数のオールラウンド・プレーヤーがJリーグに復帰できるようになったということだ。
それはもちろん、柳想鐵(ユ・サンチョル)のことである。私にとって、柳は韓国のブライアン・ロブソンである。つまり、マンチェスター・ユナイテッドとイングランド代表の伝説のスターと比較するほど、彼を評価しているのである。
柳はどのポジションでもプレーできる。おそらくGKだってできるだろうが、土曜日の夜、東京・国立競技場で行われた、清水エスパルス戦ではライトバックを務め、横浜への復帰緒戦を飾った。
試合開始1分、柳は右サイドのコーナーフラッグ付近から素晴らしいクロスをエスパルスのゴール前ファーサイドに供給した。さらにその後、マリノスのペナルティー・エリア内の奥深くで、トゥットがヒールキックしようとしたボールを奪った。
柳は背番号2のジャージを着ていたが、これはクラブがカフーのためにとっておいたものであった。
しかし、ワールドカップの覇者、ブラジル・チームのキャプテンは契約から手を引き、横浜は彼の代わりに柳を獲得した。
土曜日のゲームのあと、マリノスの岡田武史監督は新たに獲得した選手に満足そうであった。
「本当に驚きました。チームのメンバーとの練習は4日しかやっていませんでしたからね」と岡ちゃん。
「彼が、(ディフェンスの)サイドでもプレーできるとは知らなかったけど、完ぺきだった! とても満足していますよ」
つまり、岡田監督はカフーのことなんか完全に忘れてしまったのである。それで、Caf-Who? というわけだ。
「カフーには、プロはこうあるべきだというものを見せて欲しかったけれど、柳想鐵のほうが、使いやすい選手ですね。いろんなポジションでプレーできますから。」
「日本のサッカーを知っているし、マリノスには親しい選手もいる。チームにとってはとても貴重な新戦力です」
岡田監督によれば、柳は当分の間、ケガで欠場中の波戸康広に代わってライトバックのポジションに入る予定だが、チーム内に新たなケガ人が出た場合には他のポジションに入る可能性もあるらしい。
「メンバーが揃えば、ウチもそんなに悪くはない」と岡田監督は謙遜する。
「でも、ケガ人が1人でも出たら、チーム全体のパフォーマンスが落ちてしまう」
この点に関して言えば、フィールドの10あるポジションのどこでも任せられる、柳を獲得したのは申し分のない補強であった。
柳はダイナミックな選手で、現在アジアでプレーする最高のアジア人選手だろう。昨年、柏レイソルが退団を認めたあと、どうしてヨーロッパのクラブに入団しなかったのかが不思議でならない。
ヨーロッパの移籍市場が冷えきってしまったのが、おそらく原因なのだろう。クラブが、ワールドカップのセミファイナリスト獲得に見合った金額、あるいは柳本人の能力や経験に見合った金額を払えなくなってしまったのである。
ヨーロッパの損失はJリーグの利得である。
もっと具体的に言えば、それはマリノスの利得である。
カフーなんて、知らない。
この記事へのコメントは終了しました。
コメント