J2降格は終わりではなく新たなスタート
J2に降格したからといって、何も世界が終わるわけではない。
J2のシーズンスケジュールには、鹿島アントラーズやジュビロ磐田といった豪華なチームとの対戦はないが、J2でのひと時はチームを若返らせ、よみがえらせてくれる。
昨シーズンの天皇杯覇者、京都パープルサンガを見ると良い。
また、昨シーズン大分トリニータに続いてJ2から昇格したセレッソ大阪は、今やどのJ1チームにだって勝てる力をつけた。
次に続くのはサンフレッチェ広島だ。
12試合終了時点(5月14日)で、サンフレッチェは2位のアルビレックス新潟に9差をつけ、勝ち点31でJ2の首位を独走している。
水曜夜、等々力スタジアムでのサンフレッチェ対川崎フロンターレ戦を見に行ったのだが、どうやら私は彼らにはバッドラックを運んだようで、試合は0−1で負けてしまった。10勝と1引き分け後、今シーズン初の黒星である。
監督はフランスワールドカップで岡田武史監督の下、アシスタントコーチを務めた小野剛である。彼は聡明で、また人望も厚く、さらにはJFAのコーチングプログラムを通した的確な人選だったと言える。
敗戦後も、彼は一切不満を口にすることなく、フロンターレの善戦を褒めていた。一番大切なのは、サンフレッチェが次の試合にこの敗戦をどう活かすのかだと彼は強調した。この敗戦で選手達の自信は揺らいだりはしないと主張し、そして次戦は勝たねばならないと言った。
チームのゼネラルマネージャーは、JFAの理事でもある高田豊治氏である。
福島のサッカー総合施設「Jビレッジ」の成功における高田氏の力は大きい。そして今また、サンフレッチェの成功に寄与している。
「我々は確かに今シーズン幸先の良いスタートを切りました。しかしまだ先は長いのです」高田氏は言う。
「我々の今シーズン第一の目標はJ2から抜け出す事です。そして、4年の間にJ1のトップを争うまでになりたいと考えています」
オリンピック最終予選が来年3月に延期されるなど、SARS騒動はサンフレッチェにとっては良い方向に働いたようだ。
それはすなわち、森崎兄弟や駒野友一がシーズンを通してプレーできるという事だ。
ベテランブラジル人選手、35歳のセザール・サンパイオは、若い選手と経験ある選手のチームバランスが良いと言っている。
1998年ワールドカップ代表であり、チームを攻守にわたって引っ張れるサンパイオを獲得した事は、サンフレッチェにとって素晴らしい事だった。
チームとしてはJ1に残留する事を望んでいただろうが、J2降格を機にチームの再編成に取り組み、試合に勝ち、自信とチームワークをつけた。また、より多くのファンを獲得し、地元のメディアの注目を受ける機会を得る事もできたのである。
要するに、全ては終わりではなく、新たな始まりだったということだ。
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