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真っ赤に燃える、崔龍洙

2003/05/01(木)

 シーズン終了後の表彰の話をするにはあまりにも早すぎるが、すでに受賞に値すると思えるような、素晴らしいプレーを続けている選手が一人いる。
 6試合で5ゴールを挙げ、2試合連続でハットトリックを達成した崔龍洙(チェ・ヨンス)は、今、Jリーグで最もホットなストライカーである。
 今年は、この29歳の韓国人選手にとってジェフユナイテッド市原での3年目のシーズンになるが、どうやら最後のシーズンになりそうでもある。複数の韓国人ジャーナリストの話によると、母国で選手生活を終えるのが崔の希望らしい。

 日本に来るずっと前、韓国のオリンピック代表チームやA代表のメンバーであった頃から、私は崔の能力を買っていた。
 崔は体が大きく、強靱で、ひたむきにゴールを狙い、そしてとことんチームプレーに徹することのできる選手である。端的に言えば、理想的なターゲットマンであり、攻撃陣のリーダーなのだ。
 苦しい時、チームメートは崔を探せば良い。どんなボールにも必ず競りかけて、ひたすらゴールを目指してくれるからだ。
 ジェフ・サポーターの間でも、崔の人気は圧倒的だ。サポーターたちは、崔のことが本当に好きなようだ。
 それはそうだろう。崔は給料に見合うだけの働きをしてくれている。この点は、他の外国人選手と比べてみると、明らかである。
 巨額の契約を交しているが、どのゲームでも契約に見合った働きをしようと全力を尽くしているのだ。
 空中戦では、崔は相手ディフェンダーにとってまったく油断ならない選手である。ある時は自分でヘディング・ゴールを狙うし、またある時は、ペナルティー・エリア内のチームメートに正確で、素早いボールを頭で折り返すこともできる。
 ボールが空中にない時も精力的に動いて、ボールを求めてピッチを縦横に駆け巡り、相手ディフェンダーを引っ張って味方にスペースを提供することができる。

 日本での最初のシーズンでゴールを量産した2001年と、MVPの高原直泰に比肩する活躍を見せた昨シーズン、崔がJリーグのベスト・イレブンに選ばれなかったのは、とても残念であった。
 安養LGチータースから移籍してきた、このストライカーの日本での通算成績を見ると、2シーズンで49試合に出場、37ゴールを記録している。
 試合数に対するゴールの多さが印象的だが、試合対ゴールの比率は現在さらに上がっており、2003年には6試合で8ゴールを記録しているため、現時点での通算成績は55試合出場で45ゴールとなっている。
 このような崔の活躍により、ホームで神戸相手に3−0で敗れるという、信じられないような試合をしたあとも、チームは立ち直ることができ、勝ち点を13にまで伸ばした。火曜日にガンバ大阪を下し、6試合終了時の勝点を15とした首位の鹿島アントラーズとは、わずかに2差だ。
 韓国の記者たちの話が真実で、今シーズンが崔にとって日本での最後のシーズンであるとすれば、崔はチームに最高の恩返しをしようとしているのかもしれない。

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