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松井の大成には自制心が必要

2003/05/08(木)

 私は、ずっと松井大輔の大ファンであった。
 J2に降格する2シーズン前、京都パープルサンガに入団してきた頃の松井を、私は今も憶えている。
 ボール扱いのうまさに聡明さと利口さが備わった松井の才能は、すぐに目についた。
 ボールを持っている時の松井の体の動きは、ニューカッスルやリバプールでプレーした私の生涯のお気に入り、イングランドのピーター・ベアズレーを彷彿させた。
 しかし、最近私は松井のことが心配で、彼が真の才能を充分に発揮できるかどうかが不安でならない。
 そう感じるようになったのは、昨秋韓国で開催されたアジア大会が最初で、先日のミャンマーと2試合戦った、アテネ・オリンピック予選でも同じような感情を抱いた。

 もちろん、松井はいまでも抜群のテクニックを持っている。だが、彼のプレーには自制心が欠けているように思えるのだ。
 試合では、単純にプレーしなければならない時がある。ボールをコントローしたり、キープしたり、あるいはチームメートに簡単なパスを送ったりするのがそうだ。
 また、派手にアピールする時もある。たとえば、3−0でリードしていて、残り時間がわずかな時は、ファンを喜ばせることも必要だろう。
 私が松井に感じるのは、その持てる実力、才能ゆえに派手なプレーが多すぎ、一生懸命サッカーに取り組み、チームプレーに集中するという姿勢が見られないということだ。
 フィリップ・トルシエと数日一緒にいれば良い薬になるかもしれない。あのフランス人なら、現在クラブや代表で松井がやっているような勝手なプレーは決して許しはしないだろう。

 オリンピック予選が佳境に入り、相手がどんどんタフになってくると、危険な時間帯での不用意なプレーが、日本のオリンピック出場のチャンスを台無しにしてしまうかもしれない。
 だから、大切なことは、いざというときに不用意なプレーが出ないように、事前にその芽を摘んでおくことなのである。
 前述したように、私は松井の技術を評価しているが、経験が豊富で、ずる賢くて、粗っぽいチームと対戦するとき、松井が華麗にプレーしたいと思っていると、ケガに繋がりかねない。
 そういう事態になって欲しくはないが、日本代表について事前にきちんと分析をしてきた監督なら、試合の序盤から松井だけを徹底マークするように指示するかもしれない。つまり、松井を削って、松井の働きを弱めようとするのだ。
 ミャンマーも何回か松井にファールを仕掛け、レッドカードの対象となったプレーもあった。私は、1999年の国立競技場、フィリピンの選手になぎ倒された小野伸二の姿をまざまざと思い出した。あの時の負傷で、小野は1年後のシドニー・オリンピックになっても、完全復調できなかった。
 ゲルト・エンゲルスと山本昌邦は松井を厳しく指導すべきだ。そうすることが、チームのためであるだけでなく、前途有望な選手のためになるからである。

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