J1リーグは、代表チームの試合が控えているため、6週間の中断期間に入った。
第1ステージの第10節を終わって、ジュビロ磐田が勝ち点21で首位。ジェフユナイテッド市原(勝ち点20)、鹿島アントラーズ(同19)、名古屋グランパスエイト(同18)がこれに続き、さらに横浜F・マリノスと柏レイソルも勝ち点17を挙げている。
つまり、勝ち点4の差で上位6チームがしのぎを削っており、7月5日のリーグ再開から劇的なクライマックスに至るのは必至の状況である。
観客数も増加している。
合計で135万2,973人のファンが開幕からの10節を観戦し、1試合当たりの平均観客数は、2002年の1万6,368を上回る1万6,912人。
Jリーグの鈴木昌チェアマンによれば、観客数増加の要因の一つはエキサイティングな試合が増えたことであり、もう一つは延長戦とVゴールを廃止したことであるそうだ。
私は、延長戦に関する論評では、鈴木さんは的を射ていると思う。
延長戦を止め、世界のサッカーに合わせてリーグ戦を90分制にしたことは、Jリーグにとって大きな前進であった。
ファンや、選手とともに、監督やテレビの編成担当者たちも、きっと現在の制度に感謝していることだろう。
試合が90分で終了すると思えば、監督だって3人の交替選手を戦略的に起用することができる。以前なら、延長戦が頭にあるので、ケガ人が出たときのために交替選手を温存するかどうかが、悩みの種であった。当時、Jリーグでは90分間での交替は3人までで、延長戦では4人目の交替を認めるという制度を採用していたが、これは世界のサッカーの趨勢から完全に逸脱するものであった。
さらに、新しい制度はフェアーであるとも思う。
私は、90分間を立派に戦ったのに、延長戦のラッキーなゴールで負けてしまったチームを、いつも気の毒に思っていた。努力はまったく報われず、相手チームだけが勝ち点2を得るのである。
名古屋グランパスを例にして、考えてみよう。
グランパスは今シーズン4勝6引き分けで、リーグでは唯一の無敗チームである。
引き分けの6試合を延長戦で勝っていると仮定したら、現在の勝ち点は24(90分以内で勝った4試合の勝ち点12と延長戦で勝ち点2を獲得した試合が6試合で同じく勝ち点12)。この数字なら、順位表のトップに立つことになるが、90分以内で4試合しか勝てなかったことの言い訳にはならない。
引き分けの6試合を延長戦で負けていると仮定したら、勝ち点はわずか12で、首位から遠く離れた位置にいることになる。これもまたアンフェアーで、グランパスの安定した実力は上位に位置してしかるべきものでもある。
グランパスにとっては、4位は妥当な位置なのである。
延長戦の試合内容は、大味なものになりがちであった。選手の疲労ぶりは、夏の季節にはことさら目立った。決勝のゴールも、見事なプレーから生まれたものではなく、ミスが原因となることがよくあり、ぱっとしない結末となることもあった。
これからJリーグがすべきことは、2シーズン制の廃止とヨーロッパのような1シーズン制の導入だろう。
ただし、これはまた別のお話だ。