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久保の苦渋の決断

2003/01/09(木)

 1人の選手がチーム全体よりも重要ということは絶対にありえない。
 しかし、シーズン最終日に降格が決まったサンフレッチェ広島の場合、1シーズンでのJ1復帰を目指すとしたら、センターフォワードの久保がいるといないでは大きな違いがあるだろう。
 現時点では、久保は将来を決めかねている。
 サンフレッチェからは契約更新の申し出を受けているが、横浜F・マリノスをはじめとするJ1の複数のクラブも久保獲得へ興味を示している。
 将来については口を閉ざしたままの久保の態度から、サンフレッチェでは広島に残るかもしれないとかすかな望みを抱いているようだ。
 クラブの広報部長である真鍋茂はこう説明する。「久保はチームにとってとても重要な選手ですから、ぜひサンフレッチェ広島に残って欲しいと思っています。
 「そのため、クラブの社長も、コーチ陣も、チームメートも、チームに残るよう久保を説得しているところです。しかし、複数のチームが久保の獲得を目指しているという情報も、もちろん知っています」

 久保はサンフレッチェの柱となる選手であり、1996年のデビュー以来リーグ戦で67ゴールを記録している。
 空中戦に強く、スピードも勇気もある選手であるが、トルシエが率いた23人のワールドカップ代表チームに選ばれなかったとても不運な選手でもある。
 私なら西沢明訓の代わりに久保を選んでいただろう。
 たしかにワールドカップの先発レギュラーというわけにはいかなかっただろうが、久保は途中出場で何か違ったこと、何か予測不可能なことをやってくれていただろう。
 たとえば、トルコ戦。日本チームはまったく機能していなかったが、元気と意欲に溢れた久保を後半に投入していれば何らかの結果が得られたかもしれない。
 もちろん仮定の話に過ぎない。しかし久保が何かをしてくれる選手であるというのは、確かである。

 ジュビロ磐田も久保獲得に興味を示している。高原直泰の代わりという意味もあるが、中山雅史がいつまでも溌剌としたプレーを続けられる保証はないという事情もあるからだろう。
 高原と同じように、久保もボールから離れた位置でも精力的な動きを見せるので、中山とのコンビは効果を発揮するかもしれない。
 さらに、タレント揃いのジュビロなら、点をとらなければならないというプレッシャーも広島のときより軽くなるかもしれない。
 ピッチを離れた久保は物静かな性格で、静かな生活を好むタイプなので、幼い子供のいる家族とともに広島の地に残り、1シーズンでチームをJ1に復帰させることを目指す可能性もないとは言えない。

 また、久保のチームメートであり、調子の良いときにはとても理知的でクリエイティブなプレーを見せる藤本主税の動向にも大きなクエスチョンマークが付いている。
 藤本は名古屋グランパスエイト入団の可能性が高い。トヨタ出資のクラブが中盤でイマジネーションを発揮できる選手を求めているからだ。
 現在はサンフレッチェにとって苦難のときかもしれないが、ブラジルのベテラン選手セザール・サンパイオを柏レイソルから見事獲得したという明るい話題もある。
 ただし、来シーズン、久保と藤本がサンパイオと同じチームでプレーするかどうかは未だ不明である。

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