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ヴェルディの楽観的な選手補強

2003/01/19(日)

 東京ヴェルディ1969がパトリック・エムボマを獲得した事には、少なからず驚いた。 そして、それがきっと大勢の正直な感想であろう。
 昨シーズン終了後にエジムンドを失ったヴェルディは、ファンのためにも新たなスターを連れてくる必要があった。
 1997年、1998年とガンバに在籍し、ヒーローとして活躍したエムボマなら最適だろう。 しかし32歳になった彼は、ヴェルディやメインスポンサーである日本テレビが費やした額に見合う活躍を今もできるのだろうか?
 これは答えに窮する難しい質問だが、私が思うのはもしこのカメルーン人CFがシーズンをフルに活躍できるとヴェルディが考えているなら、それはあまりにも楽観的過ぎるということだ。

 ここ数シーズンというもの、エムボマはとても好調といえるものではなかった。
 私はスカイパーフェクトTVで中田英寿を追い続けているが、エムボマは不調にあえぐ先シーズンのパルマでさえ自分の居場所を得る事ができなかったではないか。
 シーズン途中でエムボマはパルマからプレミアリーグのサンダーランドに移籍した。
 その移籍が成立した頃、英国のジャーナリストから取材を受けた私は、「彼がガンバにいた頃は絶好調で多くの素晴らしいゴールを決めたとはいえ、それも過去の話で、今はイングランドのサッカーについていくには遅すぎる。エムボマ獲得は良いとは思えない」と話した。

 ワールドカップでエムボマはカメルーンの全3試合、対アイルランド戦、対サウジアラビア戦、対ドイツ戦のいずれも途中交代している。
 1−1の引き分けに終わった新潟での対アイルランド戦で先制ゴールを決め、そしてFIFAよりリゴベール・ソング、サミュエル・エトー、サロモン・オレンベと並んでカメルーンの4人のベストプレーヤの1人に選ばれた。
 従って、彼がまだスターである事は証明されたが、それが長いシーズンを通してコンスタントに発揮されるかどうかは疑問である。
 ヴェルディは大胆なことをしたと思うが、1つ確かな事はJリーグに有名選手を連れてくる事でメディアからの注目度が上がるということだ。


 ガンバにいた頃のエムボマは、まさにセンセーショナルな選手であった。34試合に出場し29得点を挙げ、1998年ワールドカップの後、イタリアのカリアリに移籍した。  彼のパワフルな左足は彼に、“ブームブーム”というニックネームをつけさせた。そしてカメルーン代表を率い、アフリカ最優秀選手にまでなった。
 来シーズンのヴェルディはエムボマをかばいつつ、主力エジムンドの抜けた穴を彼が埋めてくれる事を願うことになるだろう。
 しかしエムボマにとって、それは容易な事ではない。

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