« アジアサッカーの地平を広げる新大会 | トップページ | いまも健在、ペリマン主義 »

カフー獲得が示すJリーグの向上

2003/01/26(日)

 カフーの獲得を喜んでいるのは、何も横浜F・マリノスのサポーターばかりではない。
 6月末にASローマとの契約が切れる、2002年ワールドカップ優勝チーム・ブラジルのキャプテンが日本でプレーする。それはJリーグ全体をも興奮に包むことになるだろう。
 カフーは現在32歳、そしてF・マリノスでプレーする頃には33歳になっている。
 彼の体調は万全で、クラブのトッププレーヤであり、決して峠を越えたプレーヤーではない。
 2002年ワールドカップは、カフーがカナリア・イエローに袖を通した3回目の大会であった。そして彼はブラジルの7戦全てにフル出場した。トータル630分、すなわち10時間半もの間、途中交代もせずにである。これは彼がどれだけチームにとって重要であったかという事を証明している。
 彼以外にフル出場したのはGKマルコス、DFルッシオ、そしてアトレチコ・ミネイロからアーセナルへ移籍し、イングランドスタイルのサッカーに素早く適応したMFジルベルト・シルバの3人しかいない。

 おそらくカフーはイタリアに残り、ローマより下位のチームに移籍する事もできたはずだ。
 もしくは、彼の右サイドをえぐる攻撃力、そしてリーダーシップと経験は、尊敬され、威厳のあるキャプテンを求めているチームにとってかけがえのないものとして、他のヨーロッパの国へ行くこともできたはずである。
 しかし彼は日産のバックアップを受け、セリエA並みの年俸を払える横浜を選んだ。
 来季より岡田武史が指揮を執る横浜は、レッジーナへの完全移籍が決定した中村俊輔に代わるスタープレーヤーが必要だったのだ。
 カフーの移籍はより多くの観衆をスタジアムに呼ぶことは間違いない。そして来季は、スタイリッシュなブラジル人プレーヤーを見ようと多くの人々が集まり、チームは新たなファンを獲得できるだろう。

 カフー(本名:Evangelista de Moraes Marcos)は1989年にサンパウロでデビューした(所属:1988〜1994年)。ブラジルのパルメイラスに戻る前の1994〜1995年の1年間をスペインリーグのレアル・サラゴサで過ごした。
 1997年にはイタリアのローマに移籍し、6月30日に契約が切れるまでの6シーズンを過ごす。
 かつてのローマでのチームメート、中田英寿についてカフーがどう考えているのか興味深いところだ。特に今シーズンのローマは中田の攻撃力が必要だったように思える。
 ローマにとって、ほとんどベンチで座っているだけの選手に対する2600万ドルのオファーが断りきれないものだったとしても、カフーはローマが中田を手放したことは間違いだったと思っているのではないだろうか。
 カフーが横浜に来るということは、すなわち3度のワールドカップに出場し、1994年、そして昨年と、2度の優勝を手にした男からJリーグが認められたということである。

固定リンク | | コメント (0)

コメント

この記事へのコメントは終了しました。