入れ替え制度がシーズンを救う
同じ日本に住む外国人なのだが、どうも北米の人たちはスポーツに対する考えが違うと感じる事が多い。
大方のアメリカ人にとっては、野球、アメリカンフットボール、バスケットボール、そしてアイスホッケーが4大スポーツとされる。
これら4大スポーツのうち、バスケットボールだけがフットボール(彼らは混同を避けるためサッカーと呼ぶ)と同じくらい人気があると言って良いようだ。サッカーという名称はもちろん英語で、ラグビー・フットボールとアソシエーション・フットボール(サッカーの正式名称)とを区別するため1800年中頃につけられたものだ。
少々話がそれてしまったようだ。
そのアメリカ人にとって、サッカーが野球より面白いと思える一面がある。それがチームの入れ替えである。
日本のJリーグとプロ野球を例にとってみよう。
Jリーグの優勝はすでに決まってしまっている。しかし土曜日の最終戦を控えて、まだまだ多くのファンの注目を集めているのは、3チームが降格争いをしているからだ。 (*11月29日現在)
コンサドーレ札幌は数週間前にJ2降格が決まってしまったが、サンフレッチェ広島、ヴィッセル神戸、そして柏レイソルのうちのどこかが来期はJ2でプレーすることになる。
つまり、ジュビロ磐田の選手、そしてファンはアウェーで行われる対名古屋グランパスエイト戦を余裕を持って楽しめる一方で、サンフレチェ、ヴィッセル、そしてレイソルはJ1生き残りをかけてシーズンの最終戦を戦うことになる。この3チームが戦うシーズン最後の3試合は、最後の瞬間まで何が起こるかわからないというドラマで大きく盛り上がるだろう。
さて今度はプロ野球に目を向けてみよう。
読売ジャイアンツはシーズン終了の数週間前にセントラルリーグ優勝を決めた。パシフィックリーグの西武ライオンズもまた然りである。
各リーグわずか6チームしかいない中、残りのチームは長く退屈なシーズンをダラダラとプレーすることになる。
シーズンはペナントレースがすべてであり、そのレースから脱落したものはそこでシーズンは終わると言っても良い。
例え、下位に低迷していても降格の心配もない。選手たちもファンも早くシーズンが終わり新たなシーズンが始まるのを待ちながら惰性の中でシーズンが続く。
私のアメリカ人の知人の何人かも、チームの入れ替えはシーズン最後まで興味を失わせない良いアイデアだと考えている。
やはり、着々と地盤を整備してきたチームがその後のシーズンで上位を占める事になるのだ。
来シーズン、大分トリニータとセレッソ大阪の2チームはJリーグ優勝を考えるわけではない。再降格を避け、J1に残留することが彼らの最大の仕事となるはずだ。その目標が達成された時に、初めて彼らは将来のシーズンのための下地作りができるのだ。
Jリーグに入れ替え制度が導入された1999年以来、シーズンの目標は単に勝つだけではなくなった。
アメリカ人がサッカーという競技の何に賛同しているのか、これで明らかになったと言えるのではないだろうか。
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