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またも驚きのジーコ流

2002/11/14(木)

 ジーコが選んだ選手の顔ぶれと彼の手法には、本当に驚くばかりだ。
 月曜日の午後、私は東京で開かれたジーコの記者会見に出席していたのだが、全くわけが分からなくなってしまった。
 まず、ジャマイカ戦の前と同じように、11月20日のアルゼンチンとの親善試合の先発メンバーを発表したことに仰天した。
 代表チーム監督はたいてい、試合の当日まで先発メンバーの発表はしないものだ。
 それには、相手チームを疑心暗鬼にさせておくという意味合いもある。
 さらに、選手の気を引き締めるだけでなく、やる気と、自らがチームの一員であるという意識を保たせるという意味合いもある。
 ジーコが先発メンバーを発表してしまったあとでは、選手たちは練習、調整に熱が入らないようになるかもしれない。
 たとえば、坪井慶介、遠藤保仁という2人の前途有望な若手選手は、すでに自分たちが試合の先発メンバーからはずれることを知っている。
 このことは、練習に臨む2人の姿勢に影響しないのだろうか?
 もし自分たちがスタメンに入るかもしれないと思うと、調整にも、より一層やる気が出るというものだ。スタメンに入るチャンスがあると思って練習したときよりも、現在は動きに溌剌さが欠けるかもしれない。

 もちろん、ジーコがこんなに早く先発メンバーを発表してくれてメディアは大歓迎だろうが、それは監督がわざわざすべきことでもない。
 アルゼンチンの監督、マルセロ・ビエルサにとってもこの発表は大歓迎だろう。相手に合わせて先発メンバーを選べばいいからだ。
 アルゼンチンの選手たちのレベルの高さを見れば、ビエルサが攻撃的な布陣を組んでくるのはまず間違いないだろう。ビエルサのチームは脅威であり、埼玉スタジアムの試合でアルゼンチンを封じるためには、日本はモチベーションを高くし、戦術上の規律を強く保たなければならない。

 選手選考の面では、29歳の中西永輔の再招集は、典型的なフルバック・タイプの選手が不足している日本の現状を際立たせる結果となった。日本では、多くのチームが4−4−2より3−5−2の布陣を採用しているからだ。
 1998年ワールドカップ・フランス大会のアルゼンチン戦、岡田武史監督が採用した3バックで中央の井原正巳、左側の秋田豊と並んで右側を守った中西は、見事な働きを見せた。 中西がクラウディオ・ロペスをマークして、何も仕事をさせなかったのを今も憶えているが、あれは素晴らしい活躍ぶりであった。
 ジェフにおいては、中西は3バックのディフェンスのどの位置も守ることができる。しかし、繰り返すが、中西は3バックでプレーしているのであり、オーソドックスなフルバックの選手ではない。本来右利きである中西の、左サイドでのプレーを見るのは、興味深いものとなるだろう。

 さらに私は、ジーコがなぜ上野良治を招集したのかも理解できない。守備的ミッドフィールダーに福西崇史と中田浩二の2人を起用しようとしているのなら、なおさらである。
 上野をスタメンで使う気がないのなら、代表チームにいるだけでもさまざまな経験を積むことのできる、阿部勇樹のような若手を抜擢したほうが良かったのではないか、と私は思った。
 とはいえ、ジーコが守備的ミッドフィールダーを二人配するというのは好ましい兆候である。ジーコの代表監督デビュー戦では、この部分が弱くてジャマイカにつけ込まれていたからだ。
 日本代表のフォワードは強力に見えるが、ゴール前でチャンスを掴んだ時には思いきり良くプレーしなければならないだろう。
 気迫に満ちたアルゼンチンとの試合は日本代表にはとても厳しいものになるだろうが、ジーコにとっても監督としての技量が問われる厳しいテストの場となるだろう。

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