FC東京はJ1でも指折りの安い予算でチームを運営しているため、新しい選手の獲得にさいしては、石橋を叩いて渡らなければならない。
ブラジル人センターバック、ジャーンは、今シーズンのリーグでもっとも過小評価されていた選手の一人であった。
リベロのサンドロの後任としてバイーアFCよりやって来た25歳のこの選手は、FC東京の青のユニフォームに袖を通し、見事なデビュー・シーズンを飾った。
たとえば先週土曜日の東京スタジアム。ジャーンは東京ディフェンスの中心として見事なプレーを見せ、延長にもつれこんだ浦和戦での1−0の勝利に貢献した。
浦和が誇るブラジル人ストライカー・コンビ、エメルソンとトゥットは、ジャーンと将来性豊かな21歳、茂庭のコンビが仕掛ける積極的な守備により、ゴールのチャンスを得ることがほとんどなかった。
どのチームでもディフェンスの頑張りは攻撃陣にも伝わるもので、東京のフォワード、ミッドフィールダーもしっかりとしたチームプレーを見せ、36,000人以上の観客が見守るなかでエキサイティングな試合を演出した。
ジャーンが何よりも満足したのは、東京のチームとしてのパフォーマンスであり、その次が、日本での最初のシーズンにおける自分のプレーであった。「最初は、チームに適応することだけを考えたんだ。そしてその次は、Jリーグに適応すること」ジャーンは謙虚である。
「日本での初めてのシーズンだったから、試合のたびに自分のプレーに集中しなければならなかった。みんながちゃんとプレーすれば、結果はついてくる。今年の東京は、そういうことなんだよ」
セカンドステージ全15試合中14試合が終了した時点で、FC東京は4位に位置し、勝ち点は22。ジュビロ磐田との勝ち点差は10。ちなみに、ガンバ大阪が2位で勝ち点27、鹿島アントラーズが3位で勝ち点23である。
最終節の土曜日、東京はアウエーで鹿島と対戦する。
「アウエーの最終戦も、勝つことが大切なんだ。できるだけ上の順位で終わりたいからね」とジャーン。
将来については、こう語る。「チームには若い選手がたくさんいる。彼らも経験を積んで、うまくなっていくだろうね。」「最終的には、みんながそれぞれの力を伸ばすことができるだろう。」
「監督(原博実)は、しっかりしたディフェンスとカウンターアタックというコンセプトを持っているけど、今年はみんながこのコンセプトを守って、強いチームになろうとしているんだ。」「選手全員が監督のコンセプトを信じているから、ピッチでも良いプレーができるんだよ」
12月16日の夜、毎年恒例のJリーグ・アウォーズでジャーンがベスト・イレブンに選ばれることはなさそうだが、彼がリーグでも屈指のディフェンダーであることは、FC東京のファンが知っている。
それに、トゥットとエメルソンも知っている。