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タレントは揃ったが・・・

2002/10/10(木)

 ジーコの代表チームが月曜日に東京で初めて発表されたが、少なくともある一点については予想通りだった。それは、「スター選手」の人数だ。
 前任者のフィリップ・トルシエはスターのいないチームを好んだ。彼が好んだのは、プロフェッショナルかつビジネスライクな方法で自分の仕事を果たそうとする選手による、機能的なチームである。
 ジーコの哲学は、まったくその逆である。ジーコがやろうとしているのは、まず最高の選手を選んで、それからチーム作りを始めようというものだ。

 トルシエの考え方は、自分のシステムに適応できる選手を選ぶというものであり、最高の選手が最高のチームを作るとは限らないというものであった。
 この考え方ゆえに、中村俊輔はワールドカップに出場できなかったのである。
 トルシエは、小野伸二、服部年宏、アレックスらが激しく競う中盤の左サイドの位置でも、あるいは中田英寿、森島寛晃、小笠原満男がポジション争いでリードしている攻撃的ミッドフィルダーの役割でも、中村の入り込む余地はないと考えた。
 それゆえ、中村俊輔がファンからも、メディアやスポンサーからも絶大な人気を博していたのにもかかわらず、トルシエは自身の哲学を貫き、中村を選ばなかったのだ。
 トルシエが終始こだわり続けた二人の選手、戸田和幸と明神智和をジーコが外したのも、二人の思考プロセスの違いを示すものである。

 かつてトルシエは、完ぺきなチームとは明神が8人いるチームだと語ったことがある。つまり、しゃれたプレーやスター気取りもなしに、ひたすら自分の仕事を果たそうとする明神のような選手が8人いて、残りの3人がチームの個性、成績を決定するというわけだ。
 8人どころか、ジーコは1人の明神も入れずにチームを作ろうとしている。
 名波浩の招集も予想できたことであった。ただし、ジーコといえども名波、中村、アレックス、小野の全員を同じチームで一度に使うことはできない。
 もちろん、ジーコの選考はファンやメディアをハッピーにしたし、スター選手の起用を好む、日本サッカー協会の会長、川淵三郎氏をもハッピーにした。
 しかし、チームのバランスは大丈夫なのだろうか?
 素晴らしい才能に恵まれた選手たちとはいえ、全員を同時にプレーさせることは不可能である。とすれば、ジーコは、メンバーを最大限に活用するだけの戦術的知識を持っているのだろうか?
 ピッチ上で自我の強い選手が多くなりすぎて、相互に競い合うかわりに、目立つことだけを考えてプレーしてしまうことにはならないのだろうか?

 波戸康広がまたも選に漏れたのは残念だが、名良橋晃が招集されたのは嬉しいことだ。
 ここ6年かそれ以上、名良橋は日本最高の右ライトバックであった。トルシエが5人の中盤の右サイドになぜ名良橋を選ばなかったのか、私には不可解であった。
 たしかに、タックルする時や攻め上がるがどうかの決断を下す時に自制心を失うことはあるが、名良橋は激しく、積極的で、そしてプライドと勇気を持ってプレーをしている。
 魅力的なプレーヤーは用意された。
 しかし、勝つためのシステムはどうだろう?

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