« 帰ってきたゼリッチ | トップページ | ジーコの抜擢は、田中? »

エメルソンが日本に与える困惑

2002/09/16(月)

 浦和レッズのブラジル人スター、エメルソンが日本代表入りを考えているという報道に、私はいささか困惑気味だ。
 もちろんエメルソンは素晴らしいプレーヤーであるのは事実である。彼には爆発的なスピード、コンスタントな得点能力があるだけでなく、ディフェンス面でもタックルやプレッシャー等、きちんとこなしている。現時点では彼なら容易に日本代表の座を獲得できる事は間違いない。

 私が心配しているのは、日本がブラジル代表入りには一歩及ばないブラジル人選手達の「裏口」になってしまうのではないかという事だ。
 こうした事が頻繁に行われるようになると、ブラジルのみならず、他の国から将来の日本代表入りを狙って来日する選手が増え、結果として日本代表チームのアイデンティティーが失われてしまうのではないだろうか。
 これは非常に危険な事だと思うし、起こってはならないと祈るばかりである。

 1988年のワールドカップではラモス瑠偉、呂比須ワグナー、そして2002年ワールドカップでの三都主アレサンドロ。これまでに3人のブラジル人が日本代表としてプレーした。
 今、エメルソンはいかなるレベルのいかなる大会であろうと日本代表としてプレーするのは光栄な事だと語る。
「日本も日本人も大好きだし、日本の人々が僕に良くしてくれる事にとても感謝しているよ。僕はいつだって全身全霊でプレーしているし、それは代表チームに入っても同じ事だ」
 仮にエメルソンが日本代表入りを希望しても、実現にはまだ1〜2年はかかるだろう。
 ただし、彼が日本帰化を決意し、日本サッカー協会の後押しを受ければ、2006年のドイツワールドカップに日本代表としてプレーする事は、あながちあり得ない事ではない。

 21才のリオ・デ・ジャネイロ出身のストライカーは2000年、当時J2にいたコンサドーレ札幌に入団。34試合で31得点を挙げた。
 おかげでコンサドーレはJ1昇格を果たしたが、資金的にエメルソンを手放さざるを得ず、彼は同じJ2の川崎フロンターレに移籍し、J1浦和へシーズン途中で移籍するまでの18試合で19得点を挙げた。
 そして、浦和移籍後は11得点を挙げ、ナビスコカップ準決勝進出の原動力となった。

 個人的にはエメルソンの日本代表入りは実現しないと思っている。
 その最大の理由は、彼が祖国ブラジルの代表入りをできる実力を十分持っているからだ。
 彼は間違いなく1〜2年の間にスペイン、イタリア、ドイツといったヨーロッパのリーグへ移籍することになるだろう。
 そして蓋を開けてみれば、2006年のドイツワールドカップで彼が袖を通すのは、日本代表のブルーではなく、ブラジル代表のカナリアイエローかもしれない。

※本コラムに関しまして、BBSにたくさんの書き込みをしていただき、ありがとうございました。
 ジェレミー氏本人からの返信を11月5日付けで掲載しておりますので、どうぞご覧下さい。

固定リンク | | コメント (0)

コメント

この記事へのコメントは終了しました。