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和多田充寿的責任の取り方

2002/08/01(木)

 日本各地でゴールが量産されたこの週末、和多田充寿がとった行動について考えて欲しい。
 ジェフユナイテッド市原所属の26歳のストライカーは散々な思いをした。ホームでジュビロ磐田と2-2で引き分けた試合で、和多田はペナルティー・キックを2度外したのである。
 問題なのは、彼がペナルティー・キックを外して監督であるジョゼフ・ベングロシュの不興を買ったことではなく、試合の序盤に一度ペナルティー・キックを外した後に、チームの規律を破って2度目を蹴ったことである。
「プロには、絶対に破ってはいけないルールがある」ゲームの後、ベングロシュが説明した。
「それは、一度ペナルティー・キックを外したら、同じ試合でもう一度蹴ってはいけないということだ。自信を失っているんだからね」

 その試合では、ジェフに3回、ジュビロに2回、合計で5回のペナルティー・キックが宣告された。
 ジェフの最初のペナルティー・キックを蹴ったのは和多田。ベングロシュによれば、最初からそう決められていたそうだが、和多田はボールを噴かしてしまい、ゴールを大きく外す。
 後半の序盤、ジェフが2度目のペナルティー・キックを獲得したときにも、和多田は自分が蹴るつもりでボールを手に持っていた。
 しかし、阿部勇樹に蹴らせろ、とベングロシュが指示を出した。和多田はしぶしぶボールを阿部に手渡した。阿部は難なくゴールを決め、スコアは1-1となった。

 数分後、ジェフが3つ目のペナルティー・キックを得た。ベンチから、これも阿部が蹴るようにベングロシュが指示を出した。阿部は一度ゴールを決めていて、ジュビロのゴールキーパー、アルノ・ヴァンズワムに対しても明らかに心理的に優位に立っているからだ。
 しかし、和多田がすでにボールを拾い上げていた。和多田はペナルティー・スポットにボールを置き、助走のため後ろに下る。そして、シュート。しかし、ヴァンズワムが左にダイブして、ボールをセーブ。
 ベングロシュは怒り狂い、ファンも怒り狂った。和多田はその後すぐに交替を命じられ、ブーイングとヤジを浴びながらピッチを去った。
 和多田は最善を尽くそうとしただけだが、彼はまずチームのことを第一に考えるべきで、自己満足のためだけに失敗を埋め合わせようとすべきではなかったと、ベングロシュはきわめて正確に指摘した。
 腹は立てていても、監督が和多田にしようとしていたのは、建設的批判であった。

 普通、一度ペナルティー・キックを外した選手は、2度目は蹴りたがらないものである。失敗が本当に影響を及ぼした場合、その試合で2度とペナルティー・キックは蹴りたくないという選手だけでなく、そのシーズンで2度と蹴りたくないという選手もいるし、残りの選手生活で2度と蹴りたくないという選手だっている。
 つまり、ある意味においては、和多田の勇気と決断力は非難されるべきものではない。最初に失敗した後も、彼は責任を受け入れる心構えをしていたからだ。
 今後のシーズン、重要な試合でジェフがペナルティー・キックを得るときが来るかもしれない。その時には、積極的にキッカーの役目を買って出るような勇敢な選手が必要となるだろう。
 ベングロシュは、そんな挑戦の意欲を持った選手が自分のチームに少なくとも一人はいることを知っている。和多田充寿だ。
 しかし、和多田がシュートを決めるかどうかは、誰にもわからない。

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