大観衆に湧くビッグスワン
新潟のビッグスワンではJ2のアルビレックスのゲームに多くの観客が訪れる。
例えば、先週末のJ2の首位争い、アルビレックス対セレッソ大阪の試合には42,211人ものファンが訪れた。これは鹿島アントラーズ対横浜Fマリノスという好カードよりも10,000人も多い。
1999年にJ2の発足とともに参加したアルビレックスには2つのホームスタジアムがある。一つはワールドカップでも使用されたビッグスワン、そしてもう一つはやや小さいが、新潟市陸上競技場だ。
今シーズンのアルビレックスの平均観客数はビッグスワンでは30,111人、そして新潟市陸上競技場では11,687人だ。
一試合平均23,025人の観客数はJ1全16チームのうち、なんと12チームの平均観客数よりも多いのだ。
アルビレックスよりも平均観客数が多いのは、浦和レッズの29,040人、横浜Fマリノスの27,192人、鹿島アントラーズの24,882人、そしてFC東京の24,307人だけである。
「まったく驚異的な数字だと思います」Jリーグ事務局企画部のチーフスタッフ、佐野毅彦氏はそう言う。
「J1のチームでさえ観客数を上げる事には苦労しています。20,000人の観客数は決して簡単な事ではないですよ」
佐野氏は、アルビレックスが浦和レッズや鹿島のようにファン獲得について急成長を遂げているのには、いくつかの理由があると考えている。
「まず、新潟は札幌、仙台、そして福岡のように東京から離れた大都市であると言う事、そして市民がホームタウン意識を持っているという事です」
「そして新潟にはプロ野球のチームもありませんので、市民がアルビレックスを“我がクラブ”、“我がチーム”と考え易いのではないでしょうか」
また佐野氏はワールドカップが新潟に与えた影響も少なくないと見ている。「ワールドカップはこれまでサッカーにあまり興味のなかった年輩の人々にもサッカーに対する興味を持たせました」
「これまでこうした人々は野球や、スキー、そしてスケートにはある程度興味を持っていたものの、サッカーについては興味の範疇外でした。しかしワールドカップがこれらの人々にサッカーというスポーツを強く印象付けたのです」
佐野氏をはじめ、リーグ企画部のスタッフ達はクラブの運営組織にも満足している。1998年に横浜フリューゲルスが経営破綻して以来、Jリーグは常に各チームが経営難に陥らないように注意してきた。
「1955年に現在のアルビレックスの基となるチームが作られて以来、長い年月をかけて彼らは堅固な組織を作ってきました」
「彼らは決して焦る事なく、1999年にJリーグに参加、そして鹿島、浦和、そして清水のようなチームを常に参考にしてきました」
「もちろんすべてが良いことばかりじゃあありません。アルビレックスはそれらの中からベストだと思われる事を吸収して、地域の中でしっかりとしたチーム作りを行ってきたのです」
こうした多くの観衆を引きつけるチームを来期こそJ1で見たいと思うのは、何もアルビレックスファンだけではないと思う。
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