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完ぺきだったカーン、そうでなかったリバウド

2002/07/03(水)

 2002年ワールドカップの最高の選手に贈られる、ゴールデン・ボール賞の候補者10人のうち4人は、ブラジルの選手である。
 しかし、日曜日の投票では、私はドイツの選手を選ぶつもりだ。
 私にとっての最高の選手は、ドイツのキャプテンにして、ゴールキーパーのオリバー・カーンである。

 カーンはこれまで6試合で1ゴールしか許しておらず、ドイツの決勝進出の最大の功労者であった。
 私はドイツの全6試合のうち5試合を現場で見ており、サウジアラビアに8-0で圧勝した試合だけは、ソウルから成田に戻った後のテレビ観戦であった。
 どのゲームでも、カーンは少なくとも1点、ほとんどの場合は2点か3点、確実に失点となるピンチを、その勇気と機敏さ、予測能力で防いできた。
 欠点もなかった。あえて言えば、ボールをキャッチせずにパンチングで処理したことが多すぎたくらいだろうか。
 しかし、これは新しい試合球である、アディダス社のフィーバーノヴァが原因かもしれない。
 大会が始まって間もない頃、アイルランドのゴールキーパー、シェイ・ギブンが言っていたのだが、フィーバーノヴァをキャッチするのは濡れた石鹸の塊をキャッチしようとするようなもので、彼もボールをパンチングでクリアしなければならない場合が普段より多くあったそうだ。

 念のため残りの9名の候補者を紹介すると、ミヒャエル・バラック(ドイツ)、ロベルト・カルロス、リバウド、ロナウド、ロナウジーニョ(いずれもブラジル)、エルハジ・ディウフ(セネガル)、フェルナンド・イエロ(スペイン)、ホン・ミョンボ(韓国)、ハッサン・シャシュ(トルコ)がFIFAのテクニカル・スタディー・グループによりノミネートされている。
 カーンが受賞すると思うが、ブラジル選手の可能性もある。
 ロナウドかロナウジーニョが受賞するのなら構わない。ロナウジーニョは、準々決勝のイングランド戦で退場の憂き目に遭っているからなおさらだ。
 もしリバウドが最優秀選手に選出されるなら、私はその決定はばかげたものだと思う。

 今回のワールドカップの開幕前から、よく見られる2種類の反則行為はレフリーが厳しく取り締まることになっていると、FIFAは述べてきた。その反則行為とは、シャツを引っ張ることと負傷したように見せかけ、相手チームを不利な状況に陥れることであった。
 ブラジルの初戦のトルコ戦でリバウドがしたことは、ゲームを冒涜する行為であったし、イングランド戦でも負傷したふりをして、時間稼ぎを2、3回続けた。
 トルコ戦では、リバウドはボールが顔に当たったように見せかけて負傷を装い、トルコ選手が退場処分を受けた。実際には、ボールは大腿に当たっていたのである。
 これこそが、世界中の青少年への悪影響を考慮し、まさにFIFAが撲滅しようとしているものであった。
 もし子供たちにリバウドのこのような振る舞いを見せて、しかも彼をワールドカップの最優秀選手に選定するのなら、教訓はいったいどこにあるのだろう?

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