« 完ぺきだったカーン、そうでなかったリバウド | トップページ | Jリーグのお手本、イングランドとアイルランド »

チャンスだ、イナ

2002/07/15(月)

 ワールドカップは、日本の稲本潤一にとって最高の舞台となった。
 そして今、稲本は最高の移籍先を獲得した。イングランド・プレミアリーグのクラブ、フルハムである。
 アーセナルの監督、アーセン・ベンゲルは、稲本はガンナーズ(アーセナルの愛称)では実力不足だとはっきり感じとり、1シーズンで稲本を放出した。
 Jリーグからやって来た稲本のほうはロンドンを去るのを嫌がっていたので、今回のガンバ大阪からフルハムへの移籍は誰もが満足のゆくものであった。

 フルハムには潤沢な資金がある。エジプト出身のオーナー、アル・ファイド氏は、ロンドンの名門百貨店、ハロッズのオーナーでもあるからだ。
 とはいえ、同じくロンドンを本拠とする他のクラブ、アーセナルやトットナム、チェルシーに比べると、フルハムはまだスモール・クラブにすぎない。
 昨シーズンは、3番目の重要度しかないリーグ・カップやUEFAチャンピオンズ・リーグの試合の終盤に2、3回交替として起用されただけの稲本にとっては、1軍でプレーするチャンス、とくにプレミアリーグでのチャンスはずっと多くなるだろう。
 ポジション争いも激しくなるだろうが、毎週プレッシャーを感じながらプレーすることも、稲本のためになるだろう。
 もっとも、ベンゲルが築き上げたヨーロッパ最強の軍団、アーセナルに匹敵するような激しいポジション争いはどこにも存在しない。
 つまり、稲本も、多くいる日本人の稲本ファンも、彼がハイバリー(アーセナルの本拠地)で成功できなかったと言ってがっかりする必要はないのである。

 アーセナルの練習場とベンチでほとんどの時間を過ごしてきた稲本は、ワールドカップの期間、闘争心を全面に出し、自身の良い点をアピールしようとする若手選手のようなプレーを見せた。
 ベルギー戦とロシア戦では、見事なゴールを2つ決め、彼の自信と技術レベルは依然高いレベルにあることを示した。
 元ガンバ大阪のミッドフィールダーはまだ22歳で、ヨーロッパのクラブ・サッカーの最高レベルで実力を発揮する時間はたくさんある。

 稲本はプレミアリーグで成功するだけのフィジカル面の強さとパワーを備えている。しかし、レギュラーとしてプレーする場合、ゲーム展開の速さに対応できるようになるには時間がかかるかもしれない。
 試合勘が欠けていることは、ワールドカップの準備に日本に帰国したときに明らかであったが、新しいチームメートとうまくプレシーズンを過ごすことによって、チームに対応できるようになり、さらに新しいシーズンで先発レギュラーの座を獲得できるようになるかもしれない。
 稲本は、ガンナーズでの物足りない思いから多くを学んだかもしれない。かつてのフランス代表ミッドフィールダー、ジャン・ティガナが率いるフルハムでは、稲本は臆せず、ためらわず、ゲームを支配しようとしなければならない。

固定リンク | | コメント (0)

コメント

この記事へのコメントは終了しました。