アメリカの勝利は番狂わせなのか?
アメリカがポルトガル戦に3−2のスコアで勝利を得た事には確かに驚いた。
しかしそれがワールドカップ史上に残るほどの大番狂わせだったとは私には思えない。
多くのメディアがアメリカの勝利をワールドカップ開幕戦、セネガルがフランスを下した大番狂わせに匹敵するかのような報道をしている。
しかし私はどうしてもそう思う事ができない。
理由はいくつかある。
最初にセネガルのフランス戦1−0の勝利はもちろんワールドカップ史上に残る大番狂わせだ。なぜなら、セネガルにとっては初出場、初試合だったし、一方フランスは前大会の覇者だからだ。
この一事だけでワールドカップ史上に刻まれる大番狂わせに値する。セネガルがフランスの植民地であった事、また彼らの監督はフランス人だという事実がまた興を誘う。
さて、一方のアメリカ対ポルトガル戦に目を向けてみよう。
アメリカはこれまで6回のワールドカップに出場し、1930年には準決勝進出を果たし、1950年には1−0であのイングランドに勝っている(この試合は1966年に北朝鮮がイタリアを破った試合に継ぐ大番狂わせとされている)。
しかも1990年のイタリア大会から4大会連続でワールドカップに出場しているのだ。
したがって、アメリカは多くの人が考えているほどワールドカップ新参者ではない。しかも彼らの中心選手の多くは長年にわたってヨーロッパでプレーしているのだ。
一方ポルトガルと言えば、我々はもちろん個々の有名な選手、ルイス・フィーゴ、ルイ・コスタ、そしてフェルナンド・コートなどはよく知っている。
しかしチームとしてのワールドカップでの成績はどうだろう。
今回はたかだか3回目の出場で、しかも1986年以来の出場なのだ。
すなわち、ポルトガルが出場できないでいた過去3大会でアメリカは勝てないまでも貴重な経験を積んできたのだ。
前半終了時点でアメリカが3−0と大きくリードしている事は確かにショッキングであったし、実際3−2と勝利を得た事は驚きであった。
しかし、ポルトガルの有名主力選手達の存在がチーム力を実際以上に見せ、結果としてそれが敗戦を大げさに見せているだけだろう。
ユーロ2000大会では準決勝でフランスに延長戦の末サドンデスPKで破れたのだが、考えてみると彼らはチームのピークを早く迎えすぎたのかもしれない。
ただ、次回、いや次々回のワールドカップではアメリカ3、ポルトガル2の試合結果は今大会のセネガルの大番狂わせほどではないにしても、番狂わせだと見られるのかもしれない。
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