まさに”Real”な時間の無駄
ワールドカップの期間ずっとツキに恵まれ、そのうえピッチが水浸しでプレー不可能な状態であれば、共催国の日本はなかなかのものだろう。
それはさておき、火曜日の夜に行われた、サンチャゴ・ベルナベウ・スタジアムでのレアル・マドリードとの親善試合は完全に時間の無駄であった。
26分のコンゴのゴールによって日本が敗れ、昨年10月から7試合続いた不敗記録が途切れたから言うのではない。
5月31日ソウルで開幕するワールドカップへのカウントダウンが続くさなか、代表監督であるフィリップ・トルシエにとってなにひとつ得るものがない試合だから言うのである。
なぜ日本が無意味な試合の相手を務めることに同意しなければならなかったのかがどうしてもわからない。レアル・マドリードは、グラスゴーで行われるヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグの決勝であるバイヤー・レバークーゼン戦を5月15日に控えており、二線級のチームで試合に臨んだ。
マドリードの選手はやる気がなかったが、それはファンも同様であった。雨がやむことなく降り続き、有名なスタジアムの観客席は閑散としていた。
スペイン・リーグの試合であったなら、レフェリーは90分間プレーさせることはなかっただろう。選手たちがドレッシング・ルームから水たまりだらけのフィールドに再登場する後半開始の時点で、試合は中止を宣告されていただろう。
結果的に、今回の試合はお笑いとなってしまった。ボールは深い水たまりで止まってしまうか、ピッチの外に蹴り出されて試合が中断するかのどちらかであった。
いわゆる創設100周年記念試合にマドリードが関心を抱くことができなかったという事実は、先発メンバーを見れば明らかであった。守備陣にはフェルナンド・イエロがいなく、中盤にはジネディーヌ・ジダンがいなく、前線にはラウルもいなかった。
ロベルト・カルロスはキャプテンであったが、前半の最後までプレーすることもなかった。フィーゴも同様で、チャンピオンズ・リーグの決勝戦とワールドカップを間近に控え、明らかにケガだけは避けようとしているようであった。
結局、日本はオフサイド戦術の失敗によって得点されてしまった。
ロベルト・カルロスが左足で蹴ったフリーキックの低い弾道のボールがゴール・マウスを横切ったとき、日本の守備陣はわずかに陣形を押し上げ、レアルの選手からオフサイドを奪おうとした。
しかし、ファーのポストにいた中田浩二がほんの少しラインから取り残されたため、中田と同じライン上にいたコンゴが方向を変えたボールは曽ヶ端準の手に触れることはなかった。
非は中田にあるのではない。このような戦術は、ペナルティー・エリア内の紛らわしい、混乱した状況ではトラブルを引き起こすだけであるということだ。ロベルト・カルロスがフリーキックを蹴るような状況ではなおさらである。
とはいえ、中田は日本チームでは最高のプレーをしていた。ピッチがまだプレー可能な状態であった前半には、完ぺきなタイミングのタックルもいくつかあった。
トルシエにとってもう一つ良かったことは、ひどい状況で90分プレーした稲本潤一のプレーぶりであった。アーセナルでトレーニングとベンチだけのシーズンを過ごした稲本は、ワールドカップの開幕までに試合勘を取り戻さなければならないのである。
総じて言えば、完全に時間の無駄であった。
終了数秒前にキーパーにブロックされた服部のゴール前のボレーがゴールに入っていたとしても、なんの意味もなかっただろう。
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