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柳沢のウイング起用

2002/05/02(木)

フィリップ・トルシエの筋書きが狂ってしまったのか?

柳沢敦は自信だけではなく、スピリットまで失ってしまったのか?

 フランス人監督が、月曜日東京国立競技場でのキリンカップ、スロバキア戦で鹿島アントラーズのストライカーを中盤の右サイドに起用するという奇抜な策に出たあとでは、上記の2つの疑問も当然であろう。

 試合前日、トルシエはびっくりするようなメンバー構成を予告し、まさにそれを前面に押し出した。

 西沢明訓をワントップにした3-4-2-1というフォーメーションを採用しただけでなく、トルシエは柳沢を中盤4人の右サイドに起用したのである。

 柳沢はスピードとパワーを併せ持っており、チャンスをモノにするよりはチャンスを作るタイプであると自分自身を表現してはいるものの、ウイング・バックの選手ではない。守備力が無いも同然であるからだ。

 このことが赤裸々にされたことが前半に1度あったが、それでも柳沢は失敗には懲りず、右サイドで与えられた仕事を遂行しようとしていた。

 後半の早々にはシュートも放ったが、キーバーに楽々とセーブされ、56分には監督から交代を命じられた。

 柳沢は明らかに不満そうであったが、トルシエは物事が計画通りに運んでいないときのスケープゴートとして柳沢を巧妙に利用したのかもしれない。

 はっきり言えば、より論理的な選択は西沢を外して柳沢をフォワードに移し、ベンチにいる2人の中盤右サイドのスペシャリスト、市川大祐と波戸康広のうち1人を起用することであったはずだ。

 実際には波戸が入ったものの、柳沢との単純な交代であり、カヤの外であった西沢はそのまま前線に残った。

 セレッソ大阪のフォワードは38分に日本の勝利を決定づけるゴールをあげたと言っても、それは公式記録がきわめて寛大であったということに過ぎない。西沢は右サイドから低いクロスを上げただけなのだが、ゴール前で混戦となり、ボールがゆっくり転がってゴールラインを割ったのである。

 一見したところ、2人いたスロバキア・ディフェンダーのうち1人のオウンゴールであったし、ゴールを西沢に与えるか、スロバキア人ディフェンダーにサンドイッチされていた森島寛晃に与えるかでマッチ・オフィシャルの意見が分かれるようなケースであったとも思える。

 しかし、だれがゴールをあげたのかということ以上に気になったのは、ワールドカップまで5週間しかない時点での柳沢の心理状態である。

 昨年末、柳沢は疑いなく日本のナンバーワン・ストライカーであった。だが、今の彼はチームでの役割を模索して混乱し、自信を失っているにちがいない。

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