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ベルデニックが求める名古屋のリーダー

2002/05/16(木)

 チームはアウェーの試合を5-1で勝利したが、監督であるズデンコ・ベルデニックは失望していた。

 「精神面の問題。うちの選手たちは自分を信じることができないのです」ベルデニクの愚痴は、土曜日の午後、駒場スタジアムで名古屋グランパスエイトが浦和レッズを一蹴したあとのことであった。
 最終的には、この日の勝ち点3を加えても、グランパスはナビスコ・カップの予選D組を突破して準々決勝に進出することはできなかった。鹿島アントラーズが、1-0でサンフレッチェ広島を破り、浦和に次ぐ予選2位での準々決勝進出を決めたからだ。

 「そうですね、結果にはとても満足しています。積極的な試合ができましたし。でも、うちのチームはまだ成熟していないのです。集中力も足りないし、経験もまだ充分とは言えません。方策も浮かびません。帰りたくなる気分になるときもあるくらいです」。
 そう、今はベルデニックにとって苦悩のときなのである。トヨタがサポートする名古屋のクラブがベルデニックに監督を依頼したのは、グランパスを「ジェフユナイテッド」にして欲しいからであった。つまり、ぱっとしなかったチームを、1部に残留させるだけではなく、優勝を争えるチームに変えて欲しかったのである。
 「ジェフユナイテッドを変えるのに8か月かかりました。しかし、グランパスではもう少し早くできるのではないかと思っています」とベルデニックは付け加えた。

 ベルデニックが直面している二つの問題は、彼の言葉を借りれば、大きな年齢差と指導する選手たちの資質である。二つ目の問題は、キャプテンとしての資質を有する者がいないということだ。
 「ウエズレイ(ブラジル人ストライカー)だけはなにか変ったことができますが、チーム・リーダーがいません」
 たしかに、ドラガン・ストイコビッチのような選手はいない。ストイコビッチは名古屋での7年間、カルト的な存在であったが、昨年の夏に引退し、ユーゴスラビア・サッカー協会の会長に就任した。

 グランパスは、クロアチア人のゲームメーカー、ロベルト・プロシネツキをイングランド1部リーグのポーツマスから獲得することを目指した。プロシネツキは当初は日本への移籍に同意したが、最終的には名古屋の申し出を拒否した。
 「かまいません。彼ももう33歳ですからね。でも、日本に来たら、2、3年はプレーできたでしょう。Jリーグのスピードはイングランドほどでもないし、相手のあたりもそれほど厳しくはありませんから」とグランパス監督。
 そのあと、グランパスはこれもクロアチアの選手で、フランス・ワールドカップの得点王、ダヴォール・シュケルに目をつけたが、シュケルはドイツのTSV 1860ミュンヘンと新たに契約を結んだ。
 結局、グランパスは、シュトゥルム・グラーツに8年間間在籍し、1998年のワールドカップでもプレーした、32歳のオーストリア人フォワード、イビカ・バスティッチの獲得を決定した。

 グランパスには3人の外国人選手—ブラジル人のウェズレイとマルセロ、それからオランダ人のミッドフィルダー、タリク・ウリダ—がいるが、マルセロの立場がもっとも危ういようだ。
 理想を言えば、ベルデニックは同胞のスロベキア人選手、ゼリコ・ミリノビッチに市原から名古屋の自分のもとにやって来て欲しいのだろうが、クラブはあまり乗り気ではないそうだ。理由は、昨年末、物議を醸すような方法でベルデニックがジェフ市原を退団したことにある。
 ベルデニックは、最後に予定されていたジェフユナイテッドの役員との会見の2日前に、名古屋の申し出を受諾した—市原で5000万円であった年俸は倍になったと言われている。
 しかし、土曜日のベルデニックはそのことを後悔しているような話しぶりであった。

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