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素晴らしい藤枝市のもてなし

2002/05/23(木)

 日曜日、静岡県の小さな町はワールドカップの熱気で溢れ、躍動していた。

 藤枝市は、セネガル代表の受け入れ先である。初めてのワールドカップを戦う韓国に渡るまで、セネガル代表はこの藤枝市で過ごすのだが、その風景は絵はがきのように美しい。
 小さなスタジアムは森とお茶の段々畑に囲まれており、車やタクシー、バスの駐車場からスタジアムへ行くのにも、かなりの坂を上らなければならない。

 スタジアム内部の雰囲気は友好的で、セネガルの「心優しきライオンたち」とJリーグの柏レイソルの練習試合であるのに、まるで夏のカーニバルのようであった。
 片方のゴールの裏では、セネガル人の小グループが、代表チームと同じ明るい緑、黄色、オレンジ色の衣装でアフリカン・ボンゴを叩き、90分間ひっきりなしにビートを刻んでいた。その回りには、地元のクラブである清水エスパルスのファンも駆けつけ、Jリーグのライバルと戦うライオンたちを応援していた。

 スタジアムのもう一方の側では、我らがチームを追いかけ千葉県からやって来た、黄色いシャツのレイソル・ファンが、いつもより控えめな態度で集まっていた。人数が少なかったし、会場の雰囲気ものんびりしていたからだろう。
 試合は両チームとも無得点で終わったが、8000人以上のファンは幸福な気分で、まもなく始まるワールドカップの祝祭に参加できたと感じながら、帰途についた。

 静岡駅に到着したときも、地元の人々の態度はとても礼儀正しく、暖かいもてなしぶりで藤枝行きの乗り換え電車まで外国からの訪問客をエスコートしていた。
 小さな駅のキオスクはどれもカラフルに飾り付けが施されており、たくさんのボランティアが待機して、タクシー乗り場やバス乗り場への道順を間違う人がいないように心配りをしていた。また、タクシーのドライバーもクリップ・ボードを持ち、海外から来たカスタマーにクリップ・ボードに書きつけられた英語のフレーズを読み上げる用意をしていた。セネガルの人々が話すのはフランス語だが、大切なのは、その心である!

 今後の数日間が本当に重要となる。ピッチの内外で物事を進めるのは、より大変になるし、情熱も必要となるだろう。
 しかし、日本は藤枝市を誇りにすればいい。セネガルの選手も、関係者も、サポーターも、ワールドカップで、とても暖かい歓迎を受けている。
 これからの5週間、このようなもてなしと規律正しさが提供されるなら、日本でのワールドカップは忘れることのできない経験となるだろう。

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